成功するには、最初に「夢」がないとダメなのか?

成功するためには明確な「目標設定」が必要だと言われます。

なので、多くの人が何はともあれ最初にまず「目標設定」しようとします

ただし、大きな成功をもたらすような「目標設定」をするには、その前にそもそも心の底から湧き起こるような強い願望、つまり

「夢」

がないとダメだ、と言われます。

確かに、実際に成功した「成功者」は、自分の現在の状況を引き起こした原因として

「最初にその動機が発生した場面」

を思い出す、ということをします。

子供の成功

「あの時、私がこう決めたから……それを信じて来たからこうなっている」

それを起点として自分の人生を振り返って筋道立てるためです。

成功の原因を逆算して整合性を保つためです。

ですから、成功者が自分の記憶を振り返れば、ほぼ必ず

「私には、夢があった」

……ということになります。

しかし、実際のところ、自分の成功の要因を本人がすべて把握しているということは、まずありません。

これは、私たちが未来をあらかじめ予測できないのと同じです。

実際には、過去を振り返ってすべての因果関係を明確にたどることは、それと同程度に困難なことなのです。

夢は「いつ」できたのか?

たとえば一流のスポーツ選手がいます。

おそらく、その人はまったく何もないところからいきなりその競技で成功しようという「夢」を

「先に決めてから」

その競技を始めたわけではありません。

少なくとも、夢や目標を想像する以前に、まず事実としてその競技をすでにやっていたはずです。

もしかすると、その競技で活躍している人の姿を見て……というくらいはあったかもしれませんが、それをもって

「夢を決めた」

と言えるかというと、かなり怪しいでしょう。

おそらく、ふつうはすでにその競技を相当に練習して、ある程度の自信と、少なくとも身近な周囲の評価を得るほうが先だったでしょう。

そのような状態になって、また自分自身がそのような状態にあることを自覚して初めて、

「じゃあ次は大会に出よう」
「優勝を目指そう」
「ライバルの〇〇に勝とう」

といった具体的な目標を設定し始めたのではないでしょうか?

そのような、おそらく最初は断続的な個々の目標設定があって、その達成(ある時には未達成)を繰り返している間に、やっとそこに

「夢といえるようなイメージ」

が自覚されてきたのではないでしょうか?

たとえば、オリンピックで金を獲りたいとか、世界的な大会に出たいとか、プロになろうとか。

個別の事実は分かりません。しかし想像してほしいのです。

これは、

「最初に目標設定した」

と言えるでしょうか?

または、

「私には、夢があった → だから成功した」

と言えるでしょうか?

もちろん、特にスポーツの場合には肉体的なピークが早いですから、明確な動機や意思を自覚する年齢も比較的早いかもしれません。

それにしても、順番としてはおそらくこうです。事実それを始めた後、夢らしきものが漠然と現れ始め、それなりに実績や評価が付いてきたことを自覚して、はじめて目標設定したのです。

実は、多くの成功者は……必ずしも、夢やビジョンを明確に描いてから、それを始めたわけではないのです

成功ストーリーと現実

でも、後から振り返って話すとすれば、本人にとってさえ

「まず動機があって行動があった」

と考えるほうが自然に思えるのです。

そしてその人も、夢や目標を設定した上で、その通りに達成できるほどの経験や能力、自信をすでに得て以降は、確かに明確な目標設定を行ったかもしれません。

そして、それは高い確率で実現するでしょう。

そういう段階に至った人が設定する夢や目標というのは、ふつうの人が想像する「夢」よりもかなり実現性の高いものであって、達成できるといえる根拠も相当あるはずだからです。

私を含めた、一般的な人々に当てはめれば……それはおそらく、私たちが言うところの「夢」というよりは、感覚としては「仕事の予定」のようなものに近いのです。

だって彼らの言っている夢とか目標とかいうのは、現状の自分自身のレベルなどとまったくかけ離れた、ぽっかりと宙に浮いているような空想の中にあるものなどではなく、むしろ現在の状況が好ましく推移していけば当然の帰結として起こり得る結果のことを言っているにすぎないからです。

もちろん、相当の努力や環境や助力も必要でしょう。でも、本人にとってそれは、十分現実に得られるという根拠のあるもので、私たちが夢見るときにしばしば行うような

「もっと、こんな素質があったら」
「もっと、こういう環境になれば」
「もっと、周囲の助力があれば」

というような、ないものねだりのような空想的なものではありません。

ただ、成功者たちはそのことに「夢」とか「目標」という言葉を当てているだけなのです。

成功の秘訣

このような一流の成功者などにたとえば

「成功の秘訣はなんですか?」

と尋ねるとします。

こういう番組や取材の記事などはどこにでもありますよね?

すると、たぶん

「それは、夢を描くことだ」
「目標を具体的にして、それに集中することだ」

……とか、そのように答える可能性が極めて高いのです。

本人はそのような記憶と経験をすでに強化している後だから、当然にそうするべきだ、それが成功の秘訣だと信じているはずです。

しかし、最初に目標を設定して、その通りに達成する力があるというならば、その人はふつうの意味で言えば

「すでにある程度成功している人」

なのです。

つまり、端的に言えば、目標設定が大切だと言っている成功者の言葉の真意は、

「自分がすでに成功している範囲のことって、けっこう思った通りになるもんだよ」

ということです。

そりゃそうです。

しかし、私たちにとっては、その言葉は輝かしくはありますがほとんどの場合、何の役にも立ちません。

たいてい、多くの人が知りたいのは、すでに成功している人がさらに成功の積み増しをする方法ではないからです。