フラストレーション(不満)は単に発散したらもったいない

「フラストレーション (frustration)」という言葉をポジティブに捉える人は多くないでしょう。

フラストレーションはふつう「欲求不満」と訳すことが多いと思いますが、日本語だと欲求不満というと性的な欲求を連想しやすいので、ここでは単に

「不満」

と言っておきます。

要するに、仕事や家庭、人間関係、あるいは自分の人生全般について、自ら強く意識している不満です。

フラストレーションとは、問題そのものではない

考えてみれば当たり前かもしれませんが、日本語で「不満」というと、人によっては自分が不満を感じているその特定の

「問題そのもの」

を指している、というようにイメージしているかもしれません。

「いったい何が不満なの?」

とか、

「会社の待遇が不満だ」
「彼の態度が不満だ」

といった言い方をしますから。

でも、考えてみれば不満というのは本来は

「自分の感情」

のことです。

あえて「フラストレーション」という言葉を使ったほうが、その点ははっきりするようにも感じます。

フラストレーションとは、自分が、特定の対象について感じている「感情」のことです

フラストレーションに対する3つの反応

自分のフラストレーションに向き合う方法は大きく3つあります。

① フラストレーションを発散する
② フラストレーションを解消する
③ フラストレーションの原因を取り除く

ということになります。

このうち

① フラストレーションを発散する

というのは、たとえば感情に任せてだれかに怒りをぶつけたり、喚き散らしたり、あるいはもっと穏やかな方法としてはカラオケで歌いまくったり、お酒を飲んだり、好きな人と話したり……することです。

② フラストレーションを解消する

というのは、自分のフラストレーションの原因となっている特定の他人とか、出来事、あるいは自分を取り巻いている環境全般について、あらためて考え直したり、見方を変えることによって、そのフラストレーションを抱く必要をなくすということです。

よく言われるのは、

「物事の良い面も見るようにする」
「相手の立場に立って考えてみる」
自分の心や感情を客観的に見てみる

……といった方法ですね。

これらは、つまり不満の原因そのものは前と変わらないのですが、それに付随して起こる自分の考え方や視点を修正することで、感情をコントロールしようとすることです。

③ フラストレーションの原因を取り除く

最後の方法は、もちろんその不満の原因となっている人や出来事に直接アプローチして、フラストレーションの原因そのものを取り除いてしまうということです。

不満という感情は巨大なパワーを持つ

あなたは

「現状を改善するために内部保留しているアイディアのストック」

がありますか?

「一つの角度だけで物を見て安心しないこと」
「自分を取り巻くいろいろな人の視点で物事を見つめ直してみる」
「自分がまだ何か気が付いていないことがあるのではないかと疑ってみる」

……これは、前に述べた

② フラストレーションを解消する

方法論としても言えますが、

③ フラストレーションの原因を取り除く

ための有効な方法にもなり得ます。

もっと言えば、むしろ積極的に

「フラストレーションのもと」

を探していけば、今よりたくさんの問題点や課題に気が付くこともできます。

「周囲のだれも気が付いていないことはないか」
「時間の経過とともに何か変わったことはないか」

今日正しかったことが明日には間違っている……。
あるいは、昨日と今日がほとんど同じで何の進歩もない……。

こういった面は、別に気にしなければ気が付かないですよね?

あえて意識してみなければ感情のフックに引っかかりにくいです。

「いちいちうるさい人」を見習う

ところが、たとえばあなたの周りにも、細かいことにいちいち感情を乱すような人、いわゆる「うるさい人」っていますよね?

身近な周囲の人のことをいつもチェックしているような人。

自分には直接関係ないのにすぐ口出ししてくるようなタイプの人。

……こういう人は、もちろんそのフラストレーションの持って行きかたに問題があるので、周囲の人から疎まれたり、時にはその人自身が周囲のみんなのフラストレーションの原因になったりもします。

ですが、仮に

「フラストレーションの感度

という点だけに注目すればその人は非常に高いわけですから、それ自体は必ずしも悪いことではないかもしれません

言い方を変えると、そういうタイプの人はフラストレーションの引き金となる

「インプットが強い」

という言い方もできます。

むしろ、そのような人に倣って、常に周囲のこと、全体のこと、将来のことなどに、鋭く目を光らせていれば、他人が気が付かないような点に気が付くことができます。

ただし、周囲に疎まれたり迷惑がられたりするのは、

「アウトプットがまずい」

わけですね。そこは見倣わないように注意しましょう。

現状を打破するためには、フラストレーションの力が必要

③ フラストレーションの原因を取り除く

というのは、逆から言えば

「課題解決のためにフラストレーションのパワーを利用する」

ということです。

不満というのはふつう避けるべきことと考えられる場合が多いですが、問題そのものを解決したい場合、自分の感情ではなくて現状の課題そのものに対応したいという場合には、むしろ自分が持っている不満を明確に意識し、大事にするべきだと言えます。

そして、繰り返しになりますが、あなたも今まで

「どうしてこうなってしまうのか」
「でも、仕事だからしょうがない。」
「まあコレくらいでいいかな。」

という感じた場面はたくさんあったと思います。

そういった状況で、おそらく

① フラストレーションを発散する
② フラストレーションを解消する
③ フラストレーションの原因を取り除く

の、どれかを用いてそれらを乗り越えてきたはずです。

当然、自分の不満という感情を自分なりにコントロールすることも必要な能力です。その意味では

① フラストレーションを発散する
② フラストレーションを解消する

はとても大事です。ただし、いつもそれだけに頼っていると、

「課題解決のためにフラストレーションのパワーを利用する」

というやり方もあり得るということを、いつの間にか忘れてしまっているかもしれません。

自ら現状に満足し、安住する気持ちを振り払って、過去に漠然と感じた不満をもう一度思い出してみてください。

それを自分の中で明確な問題点、取り組むべき課題として捉え直し、建設的な問題意識へと育てることができる可能性もあります。

もちろん、たとえ自分ひとりの範囲のことだとしてもそれは決してかんたんではないでしょう。

ただもっと大切なことは、もし、他人との関係や、環境全体といったものを相手にするとしたら、実際にはその数倍以上のパワーがいるということです

でも、現状を打破するだけのパワーはもともとあなた自身の中にあるのです。

それがフラストレーションの力です。不満という感情の持つ爆発力です

……そして、私は思うのですが、実は感情というのは、あなたがそれを「不満」と名付ければ不満という名にふさわしいものになります

ですが、あなたが自分の内から湧き起こるその感情を「向上心」と呼べば、それはそうなります。「好奇心」と呼べばそれは好奇心になります。

もしあなたがそれを「創造性」と名付ければ、それはその通りのものになるのです。

そんな気がするのです。