目的意識を持たせるには?

先ほど書いたことの裏返しのような話になりますが、目的意識、あるいは目的そのものが階層のような構造をしていると見做した場合、それは

「今重要な階層に目的意識を限定し、集中させる」

ということにもつながりますが、逆に考えると

「今意識している目的というのは、それがそれだけで完結しているような限定的なものではなく、その目的自体が、常に上位の階層にある、より抽象度の高い目的意識と、繋がっているものだ」

という意味にもなります。

つまり

「目的 ← 手段」

という見方は、実際には物事の、事実や行為の連鎖のごく一部を切り取って見た場合に当てはめられる概念にすぎません。

実際には、その目的はさらに上位にある目的との関係で言えば手段の一つとなるわけです。

他人に「目的意識を持たせる」ことの意味

このように考えた場合、他人に対して

「目的意識を持て」

ということの本質は、実はこちらが想定している「特定の目的」を、あなたにとっての目的の階層上のどこかに位置付けてほしい……と言っているのと同じことになります。

つまり、他人に目的意識を持たせるには、その特定の目的が、その他人にとって自明の、さらに上位に位置する目的から見た場合には、それを達する手段となり得るという事実を示せばよいわけです。

ということは、そのためにはまず、相手が明に暗に抱いている「その人なりの何らかの目的意識」が何なんのか、それをこちらが知る必要があります。

それに合わせたアプローチが必要になるわけです。

たとえば、金銭的な、経済的なメリットを「目的化」しているタイプの人に対しては

「この仕事を立派に成し遂げれば、昇給とか臨時手当といった直接的な実利を得ることができる」

といった点を強調すればよいわけですし、精神的な満足感、充足感を「目的化」しているタイプの人だったら

「この仕事は当社だけでなく、社会的にも大きな価値があり、これが実現すれば大変なインパクトがある」

というような面を訴求すればよいわけです。

あるいは、何の目的意識も持ち合わせていないように見える、いわゆる意欲のない人、マイペースな人などの場合は、その人はおそらく

「そのようにしている自分が、それでも所属し心地良くいられるその場所ができるだけそのまま維持されること」

を無自覚に「目的化」しているかもしれません。もしそうであれば

「この仕事をやり遂げない限り……今の状況を続けることはできない」

ということをはっきり示してあげれば良いのです。