お金を貯めるのは「増やす」ため

お金を貯める目的はただ2つ……。

「使うため」
「増やすため」

です。

私は、結局これ以外にお金を「貯める」目的はないと考えています。

他の目的、たとえば

「不慮のリスクに備えるための貯金」

あるいは、

「貯めることそのものが目的の貯金」

というような考え方は(少なくとも現代社会では)正しい認識とは言えないのです。私はそう考えるべきだと思っています。

あなたの「マネープラン」に欠けている観点

もちろんあなたも、貯金があるないにかかわらず少なくとも「株式投資」「資産運用」といったものがあるということはご存知でしょう。

また、現在だとFX(Foreign Exchange:外国為替証拠金取引)とか、仮想通過といったものを用いた運用も一般的になりつつあります。もしかしたらあなたも実際に扱ったことがあるかもしれません。

当然、お金を増やす方法というのはこれらに限りませんが、でも、少なくとも

「お金というのは、増やせるものだ」
「お金は運用して増やさなければならない」

ということ自体は、みんながすでに知っていることでもあります。

ところが、一方で多くの人がライフプランやマネープランといった問題を考える時には、どうしても

「(収入)‐(支出)」

という概念だけに縛られてしまうのです。つまり、現在の収入を目安に、おおよそ今の収入が今後もずっと続くであろうというきわめてざっくりした前提に立って、支出をコントロールすることを考えます。

支出をコントロールするということは、言い換えれば「お金」のストックをコントロールするというのと同じ意味です。

そしてそれは「お金」を使うタイミングをコントロールすると言っているのとも同じです。

そのために「貯金」という概念が必要だという認識なのです。

「増やすための」貯金を始めよう

もちろん、支出をコントロールするという概念は非常に重要で、極めて有効な認識です。

ただ、「使うため」の貯金をしっかり行っている人もですが、貯金がなかなかできないと思っている人、そして、特におすすめしたいのは、今まで貯金などというものに関心すらなく、貯金など無意味だと思い込んでいる人……。

いずれの場合にも、

「お金を増やすこと」

を明確な目的とした貯金を始めることをおすすめします。

ちょっと変なたとえ話ですが、たとえば江戸時代以前、士農工商の時代……「お米」がお金みたいなものでした。お米は当然いわゆる「農民」が作っていたわけです。特に稲作に従事する人々にとっては、お米がお金そのものっていう感覚だったでしょう。

彼らは当然そのお米を自分たちの主要な食料としていたでしょうが、同時に、基本的に欲しいものはお米と交換することで調達するのが当然だったでしょう。第一、税金も「年貢」としてお米で支払うのです。

お米というのは

① 税を支払う方法
② 他の物品と交換する道具

そして、

③ 自分の食べ物

という3つの必要性を同時に満たすものです。でも、これだけじゃダメですよね?

なぜかというと、これじゃ、翌年、お米を作れないじゃないですか?

……だから、翌年の稲作の苗を作るための米、つまり

④ 種籾(タネモミ)

が絶対必要だからです。

いわば現代人は「お米がお金に変わった」ことによって

「種籾を取って置く」

という当然の習慣をすっかり見落としてしまったと言えます。

余談ですが、農民が次の稲作のために取って置く種籾というのは、その辺に適当に残った米を使うんじゃないですよ?

農民は毎年、稲刈りをする少し前に種籾にする分の米を先に田から選別して大切に保管しておくのです。種籾になる米というのは、慎重に選りすぐった特別な米なのです。

……話を戻しますが、現代、自分が持っている「お金」の中から、種籾のようにそれを選別して保管しておこうと考える人は稀です。つまり自分の収入なり、今あるお金というのをすべて

① 税を支払う方法
② 他の物品と交換する道具
③ 食べ物の調達

までに費やしているのです。

④ 種籾

となるべき「お金」を取って置くという観念がないのです。

増やすためのお金を選別して保管した上で、それを使って将来さらに大きな収穫を得ようという意識を持つ人は稀です。現代、多くの人はお金に関して江戸時代の農民以下の意識しか持っていないと言っても過言ではありません。

あなたのお金を増やす手段

農家の人は、種籾を使って翌年また大きな実りを得ることができます。

それに倣って、現代私たちも、種籾となるお金を将来実際に増やして大きな実りを得る方法を知らなければなりません。

具体的な方法をここでは書けませんが、あくまで抽象論として「お金を増やす」ために意識するべき点を整理しておこうと思います。

① 「増やすためのお金」を隔離しておく

種籾となるお米のように、私たちもそれを特別なものとして「使うためのお金」とは区別して大切に保管しなければなりません。よく「お金に色はない」などと言いますが、これは基本的に「入ってくるお金」について諭した格言であって、私たちは「出ていくお金」についてはむしろ明確に色を分けておかなければならないのです。

② 視点を「利回り」に向ける

これは言わずもがなの話かもしれませんが、お金を見るときに、絶対額やプラスマイナスという観点だけでなく、むしろ「利回り」を意識する習慣を持つことは有効です。

③ お金と時間の関係を意識する

多くの場合、お金と時間というのは一定の互換性があります。もちろん、多くの勤労者は自分の時間を提供する対価としてお金を得ています。また、たとえば今あるお金を今使わないで「貯金する」という行為は、ある面から言えば、その使わずに我慢している時間をお金に換えていると見ることもできます。

④ 無からお金を生むことは可能

基本的に、お金を増やすというのは「今あるお金を働かせることで」実現されます。ただし、お金を得る方法はそもそもそれだけではありません。一方で私たちは自分の時間や労働力を直接お金と交換することができますし、新たに価値を生み出すこともできます。

……しかし、私が今一番言いたいことはやはり

「増やすために貯める」

という認識が最初に必要だということです。仮に今より収入が増えても突発的に大きな入金があっても、この感覚がなければ長期的に見てあなたの経済的な状況がより好転する状況を見ることは難しいでしょう。