仕事をしている「自分の価値」が分からない……と嘆く人へ

仕事をしていると、時に「自分の価値」について考えることがありませんか?

「こんな仕事をする価値があるのだろうか?」
「自分はこの仕事をする他に、何か別の価値はないのだろうか?」

……といった疑問。

就職しようとするとき、転職を考え始めた時などにも、仕事という面での、自分の価値は本当はどの程度なのかを知りたくなることがあるでしょう。

しかし、ぼんやりとした疑問や不安はあっても、それが明確な思考にならない。

いったい何をどう考えたら良いのか……思いが堂々巡りしてしまうのです。

「自分の価値」という言葉が、何を指しているのか?

こんな時には、まず私たちが使っている

「価値」

というのが何を指しているのかを考えましょう。

というか、あなた自身が「価値」ということばによって何を指したいと感じているのか?

……ということをです。

価値というもののイメージをはっきりしないと思考の発端が掴めず、時にはあらぬ方向に考えが進んでしまうことにもなります。

「人生の意味は何ですか?」「え、どういう意味?」

それぞれに自分なりの意味付けや解釈があってよいと思いますが、少なくとも今あなたが言っている「価値」とは

① 単に人員、人材、あるいは労働力としての「市場価値」

のことなのか、それとも

② 自分が仕事を通して得たいと思っている、自分にとっての「価値」

なのか、再確認してみるのが良いと思います。

人材に「市場価値」なんてある?

「自分の価値」と「仕事の価値」

もうひとつ、大事なポイントだと感じるのは、自分の価値という問題と、仕事というものにもともと存在している価値とは別のことだという感覚です。

自分の価値とは、実はあくまで主観的な価値です。

でも、仕事の価値というのは、もちろん客観的な価値です。

インティグリティ(Integrity)とは

それで、仕事に関する限り……自分の価値というものが、仕事よりも先に前提的にあると感じるのは、実は

「先回りしてメリットだけを享受しよう」

と思っているということです。

(比喩的に言えば、それは先に給料をもらってからでないと仕事できないと言っているのに似ています)

メリットとは……得られるべき収入という実体的なものだけではなくて、プライドや自意識だったり、周囲からの評価や称賛だったり、居場所だったり、必要とされているという安心感であったり、いろいろです。

つまり

「視点が自分だけに向き過ぎている」

……自分の価値といったものを先に確定したいというような願望は、そこから出てくるわけです。

仕事に「自分の価値」など本当に必要か?

区別するために単純にはっきり言うと、他者から見た場合、あなたがしているその仕事そのものには価値がありますが、もしあなたが実際にその仕事をしない限り、あなた自身には価値がありません。

しかし、あなた自身から見れば、自分の価値というのは今現実に仕事をしていない時でも感じられますよね?

というか、感じたいものですよね?

これは人格全般ではなくて、あくまで仕事をする上での「価値」に限定した話ですが、それでも、あなたは実際に仕事をしていない時でも、

「可能性として私はどんなことがどれくらいできる(はずだ)」
「私にはこれくらいのスキルと能力があるのだ」

という、予測とか、それに見合う自信とか……何らか価値があるのだという自負が自分なりにあるはずです。

しかし、自分がそう感じている「自分の価値」というのは、実際にすべき仕事があって、その仕事を通してでなければ、他人にはまったく伝わりません

伝わらないばかりか、他人からすると意味がありません。

上の前提で話を進めると……あなたの価値というのは、実はあなたが実際に今やっているその仕事の価値と、まったくイコールですよね

客観的には。

あるいは、もしあなたが転職や起業によって、これから別の仕事をするのであれば、その仕事を実際にやって、生み出したものが価値なので、それをあなたが実際にやらない限り価値なんてまったく発生しないですよね?

ていうか、他人からみたらそれ以外には価値は見えないですよね?

ですから、現実には

「実際あなたはどんな仕事をどうやって提供しているのか」
「あるいは、これから提供するのか」

ということが唯一の問題です。

仮にあなたが今までにどんな経験や実績があっても、どんなスキルに長けていても、どんな資格をいくつ持っていても、結局は、その価値というのは現実の仕事を通してでなければ発生しません。

ある意味、そう割り切って考えてみると、むしろ分かりやすくなります。

つまり

「自分の価値=自分がした仕事の価値」

なのであって、それ以外に(仕事に関する)自分の価値など存在しないし、今後も発生しないと。

仕事そのものの価値を正しく把握しよう

ところで、ここであらためて考えたときに……多くの人は

「自分がやっているその仕事そのものの価値を、実はよく知らない

ということに気が付くはずです。

もちろん、その職場でその仕事をしたら現実に給与は何円もらえるか、という意味ならだれでも知っているでしょう。

でも、現実の社会では、純粋に理論上の話のように

「価値=価格」

というふうにはなっていません。

それに、ある意味では、今あなたが得ている対価というのは、あなたがやっているからその価格なのであって、他人がやった場合にもずっと同じであるとは決まっていません

実は、もっと広い意味で、あなたがその仕事を(今やっているレベルで、そのペースで)やっていることによって現実にはだれが、どれくらいの価値を得ているのかということを把握するのは意識したとしてもかなり難しいことです。

そもそも多くの人は、そんなこと自体を気にしないで毎日仕事しています。

しかし、自分が今提供している仕事の価値が見えていないのに、自分の価値を考えようと思っても、何も見えてこないのはむしろ当たり前です。

仕事の全体像を眺めよう

なので、自分の価値を知りたいと思ったら、まず自分がしている仕事が

「全体としてだれにどれだけの価値を与えているか」
「あるいは、今の手順、方法論、またモチベーションをもって提供している仕事によって、だれにどんな影響を与えているか」

といったことを一度冷静に思い巡らせてみることをおすすめします。

端的に言って、それがまさに「あなたの価値」なのですから。

必ずしもそれに「値段」を付けなくても構いませんが、そのような全体像を自分ではっきり持った上で、だから私の価値はこんなもんだと、初めて分かるのではないでしょうか?

仕事の種類を考えよう

自分がしている仕事の全体像を考える時に、ひとつ有効な考え方として、私たちはいつも漠然と「仕事」と言っていますが、実際には仕事というのは、次のような種類に分かれます。

業種業態の区別ではなく、意味としての区別です。

① 仕組みの一部として機能する
② 仕組みをより活かす
③ 仕組みを改善する
④ 仕組みそのものを作る

……別にどれがレベルが高いとか、どれが重要で、どれはあまり重要でないとか、必ずしもそういう議論にする必要はありません。

ただ、あなたが主にどこに視点や重点を置いているかによって、一見同じような内容の仕事であっても、結果として生み出される価値はかなり大きく変わってくると思いませんか?

こういった問題について取り組むことは、単に自分の価値を考える材料となるだけではなく、結局はあなたが提供する仕事の価値を大幅に高めることにもつながるでしょう。

自分の価値云々は、その後でもぜんぜん遅くありません。

自分とは、仕事をも含めた唯一の全体

もちろん、人間は仕事をするためだけに生きているのではありません。

そもそも、あなたや私という一人ひとりの人間の価値は、仕事の成果だけで決定されるものではありません。

それは言うまでもないことですよね?

ただ……仕事を通して

「自分の価値」

を見い出そうとする気持ちが強い人は、そもそもそれ以外の面も含めた自分自身の価値全般にあまり自信がなかったり、あるいは関心がなかったりします

その場合特に、今述べたようにむしろ、あなたが提供できる

「仕事そのものの価値」

について深く考え、それを追究することは、自分という人間の価値そのものをどう認識し得るのか……というような、より幅広い視野に立つための切り口ともなるでしょう。