なぜ「顔を売る」必要があるのか?

仕事の実力をつけるためには、実務能力の問題とは別に、いわゆる「顔を売る」ということが必要になってきます。

と言っても、その戦略自体は多様に考えられますが、とにかく、そういう面での意図的な行動も必要になります。

現代は経済も社会も高度化しているので、お客様は、最初は

「人そのものの価値」

をそれほど重視していません。

これは傾向としては事実だと思います。

今の消費者は、企業や店舗、あるいはネット上のサービスでも、ほとんどの場合、そこで働く人、対応してくれる人の良し悪しとかではなくて、提供されているシステムとか、ブランドイメージに期待して利用します。

ということは、自分がモノやサービスを提供する側に回った場合、そこで働いているあなたのことなんて、だれも気にしていないという意味になります。

顧客は別にあなたと仲良くなろうと思ってアクセスするのではありません。

これは同じ組織の中で働く人どうしでも同じことが言えます。

ほとんどの場合、別に

「この人がいるからここに就職しよう」

と思って集まってきたわけではありませんよね?

上司とか、部下といった職場での関係にしてもそうです。

「この人だから指示に従おう」
「この人とだから協力しよう」

というのは後付けの話であって、そもそもは単に上司だから従うべきであるとか、利害関係上協力的に仕事しようという意識が常に先にあるはずです。

そもそも、働いている人たちだってみんな、その企業や組織のブランドイメージや、システムに対する信頼というものが先にあって、それを利用して仕事をさせてもらっているわけです。

当たり前みたいな話ですが、このことははっきりと認識しておくべきことだと思います。

そして、今後将来にわたって、一面ではこの傾向、つまり、はっきり言うと

「個人を意識しない」

という感覚はより強まっていくと予想されます。

一面では、です。

「顔を売る」ことの意味

さて……ただし最初は必ずしも意識していないわけですが、人間は次第にその場にいる相手に対する好悪によって物事を評価し、選択しようとし始めます。これは半ば無意識にそうなります。

もっと分かりやすく言うと、人間はたいてい、きっかけはどうあれ最終的には常に

「気に入った人との関係を優先する」

のです。

あなたがお客様や、職場での人との関係をそこまで深めることができれば、その場は相手にとって

「あなたがいる場所」

ということになります。

あるいは、独立で何らかのビジネスを展開する場合でも、最初は案件ありきかもしれませんが、やっているうちに、必ず

「あなたという人」

が存在するという前提で、条件が決められたり、新たな発想が提案されたりするように変わってきます。

そうなると初めて、あなたは自分の顔で仕事し、商売をしているということになるわけです。

自分の実力を考える

ですから、いつも自分が今やっていることすべてが、はじめから自分の実力によるものだと思ったら大間違いなのです。むしろ、最初のうちあなたが何とか仕事ができているのは、企業とか組織、システム、共に働いている人たちの力を使わせてもらっているのです。

仮にそれを奪われたら、いったい私たちはどれほどのことができるというのでしょう。自分だけの実力では、初めは当然たった一人のお客様を呼ぶことすら非常に難しいでしょう。

本当に実力を付けるには、

① 今の環境
② 与えられている役割
③ 権限
④ 地位
⑤ 立場
⑥ 使わせてもらっている資源

そういうものをすべてとっぱらっても、

① 自分の顔で
② 自分の頭を使って
③ 自分の腕で

できることは何かを考え、少しずつでも増やしていかなければなりません。

もちろん、周囲の人の力や組織の力は十分活用するべきです。

その意味では、単に会社とか組織というものに縛られたくないから……という理由で独立とか企業を目指すのは危険だと思います。

今あるものすらほとんの活用できていないのに、あなたがそれを奪われても「できること」というのはいったい何なのか、よくよく検討する必要があります。

かと言って、組織の中にどっぷりと浸かって、組織の力に甘えて、それを自分の実力だと勘違いしている人は見苦しい……見苦しいだけではなく、現代は、それも事実上通用しなくなりつつあります。つまり、それだけでは常に不利益を被ることになるということです。

着実に真の実力と呼べるものを蓄えようと努力する人になりたいものです。

それには、いつも「自分の顔で」「自分の頭で」「自分の腕で」何ができるか?
……と問い続けなければなりません。