上手なメモの取り方は「デキル人」の必須条件

仕事などで、適切なタイミングでしっかりメモをする人を見ていると安心できますよね?

効果的なメモの取り方を実践している人を見ると、それだけで

「この人、仕事できる人なんだろうなあ」

という印象を持ちます。

実は、メモというのは単なる備忘にとどまらない、

「一種の演技、パフォーマンス」

の側面もあります。

メモを取る

ただし、本当に上手なメモの取り方を会得している人は、実はそれほど多くはありません。

逆に、メモの取り方に関してダメ出しされることは、それだけで

「仕事できないヤツ」

というレッテルを貼られているようなものなので、ぜひとも回避したいところです。

メモの取り方が上手だという定評がある人は、いったいどこが違うのでしょうか?

メモをする意味

ここで書いている、いわゆるメモというのは、たとえば取引先から電話があったというような用件を他人に伝えるための「伝言メモ」などのことは除きます。

上司などに指示されたことや注意を受けたときにするメモ、あるいはミーティングの最中や商談中などに要点をササっとメモしておくような場合……つまり、専ら自分自身のために必要なメモの話です。

職場で新人さんが仕事を教わっている場面で、

「必要なことはメモしておくように」

と言われたりします。

もちろん、言われるまでもなく小さなメモ帳や、大学ノートなどを持参する人もいます。

けっこうしばしば見られる光景です。

ただ、そこまでは良いのですが、ほとんどの人はそれ以上そのメモを有効に活かすことができません。

ついこの間言っておいたことなのに、しかも、

「あなた、それあの時メモしてたわよね?」

……それなのに、当の本人はすっかり忘れていたり。

それは、まず

「メモを取る意味」

を意識していないからです。

そしてその流れに慣れていないからです。

そもそも、メモを取る意味というのは3つに分かれます。

① 話している相手を安心させる
② 話したこと、知ったことを忘れない
③ メモをもとに情報を整理する

実際にはこの3つが流れとして成立している必要があるのです。

「メモの取り方」だけを考えてもあまり意味がない

メモの取り方というと、もしかすると具体的な書き方を学ぶ必要があると考えるかもしれません。

たとえば

「マインドマップとかロジックツリーのような形式を用いて内容を整理する方法」

とか、

「速記術」
「連想暗記法」
「ノートの上手な使い方」
「略字や略語、記号を用いた記述のしかた」

などです。

あるいは、今だとスマホなどで使い勝手の良いメモアプリはどれか?

……といったことを考え始めます。

しかし私が思うのは、そういうことは後からいろいろ試せばよいことであって、先に必要なのは上で言ったメモの意味を踏まえて、その流れを作ることです。

① 話している相手を安心させる
② 話したこと、知ったことを忘れない
③ メモをもとに情報を整理する

……という流れです。

メモ術とは、この流れの全体を指す

そこで、実際上有効なメモの取り方を習得しようと考えたときには、上記の流れを逆から考えて行ったほうが早いと思います

つまり、自分なりのメモ術を確立しようと思った場合、意外かもしれませんが真っ先にやるべきことは、

③ メモをもとに情報を整理する

という体制というか、習慣を作ることです。

最近では仕事に必要なデータなどはすべてパソコンや、オンラインの情報共有ソフトなどを使って保存している人が多いと思いますが、それはそれで良いので、毎日、あちこちでメモしてきたことをまとめるための「場所」を作ることです。

たとえばそれ専用のファイルやホルダーを作ることもできますし、非公開のブログや、line(ライン)やTwitter(ツイッター)を使う方法もあります。

あるいは、単に一冊のノートを自分の「メモのまとめ用」として用意するのでも良いでしょう。または、情報の整理や編集はパソコンなどで行うとしても、できたものは紙にプリントしてファイルしておくという手もあります。

私も実はどちらかというとそうなのですが……ペーパーレスにこだわり過ぎると何となく落ち着かないというか、情報の価値とか関係性についてのイメージが湧きにくかったり、内容を扱う際の感覚が掴みにくかったりする人もいると思います。

こう言うアナログなやり方を好まない人もいると思いますが、そうでなければ、試しにやっていると意外に「しっくり来る」場合があります。

ちなみに、多くの人がいわゆる

「システム手帳」

みたいなものを使っていると思いますが、それ自体は良いのですが残念なことは、

「その瞬間にメモする」

という機能と、

「あとでメモを整理、編集する」

という機能を区別していないことです。

もし必要ならば用途を分けた2冊の手帳を使うか、あるいは1冊の中でも瞬間的にメモ書きするためだけのページを作っておいて、あとでそれを整理して所定の場所に書き直す部分と分けて使ったら便利なのになあ……とか思います。

いずれにしろ、どんなツールや方法にするかは各論的なことです。

後からいくらでも変更できますし、むしろいろいろ試して修正していくほうが良いです。

それよりも大切な点は、どんな方法であれ、ばらばらに書いたメモを、何かの手段で一か所に保存し、常に情報を整理しておくことです。

これはつまり単純に言えば新聞や雑誌の記事を「スクラップ」するみたいなことですが……ただし、単にメモしたものをそのまま保管しておくのではありません。

いったんメモした内容は、そのままではほとんどの場合後から利用することはほぼ不可能です

メモをした瞬間にイメージしていたことや、関連性があると思いついたこと、また、後々そのメモの内容がどんな種類のことに使えそうか、あるいは一時的な備忘のみが目的だったか……このような点は、時間とともにどんどん忘れ去られていくからです。

何日も経った時点では、そのメモそのものを見返してそれらの付帯情報まで記憶に呼び戻すことは、通常ほぼできません。たいていの場合、しばらく経つと、

「いったいその時何のためにメモしたのか?」

ということすら覚えていないことのほうが多いですよね?

ですから、単にそのメモ自体を取っておくのではなくて、メモをもとに情報を整理するという、2段構えで行う必要があるわけです。

後で整理、編集するという前提でメモを取る

さて、上で述べたように、仮にメモした内容を整理して保存しておくという行為がある程度無理なく習慣化できたとします。

その前提で、遡って実際に何かメモを取る場面のことを想像してみましょう。

すると、そのメモの内容というのは、実はその時点ですべてを網羅的に、たとえば一字一句正確にきちんと書く必要もないことが分かってきます。

要するに、どうせ後できちんと整理するわけだから、その時に不便のない程度の情報、キーワードや、イメージだけを書き残しておけば用が足りるわけです。

これはよく言われることですが、学校の授業において、教授の先生が板書した内容を一字一句そのままノートに書き写している学生さんがいます。

かと思うと、ほとんどノートを取らないで聞いている人もいます。

それで、実は後者の「ほとんどノートを取らない人」のほうが理解が深いというような話……聞いたことありませんか?

……まあ、テストのときになったらだれかのノートを回してもらうから、いいやって思っている不真面目な学生さんもいるでしょうが。

しかし、一般的に言って、ノートに書き写すことに集中している人は、その分授業の内容そのものについて自分なりに考えたり、言われていることの深い意図などを汲み取ることに気がいかなかったりするため逆効果になりやすい……という見方もあります。

いずれにしろ、端的に言ってメモというのは基本的に

「要点だけ書けばいい」

わけですが、多くの人がこれに馴染めないのは、その内容を後で整理して保存するという前提がないからです。

その習慣が前提にあれば、その場合「要点」とは、つまり

「後で内容を思い出して再編集する際の材料となるもの」

という意味であることが明らかです。

パフォーマンスとしての「メモ」

最後に、

① 話している相手を安心させる

という点に遡ります。

最初の話に戻りますが、職場で新人さんがメモ帳を持参して、聞いたそばからいちいちメモを取っているのは、ほとんどの場合、後で使うためというよりは、そうしないと

「あなた、ちゃんとメモ取らないで大丈夫なの?」

と言われることを避けるためです

つまり、非常に拙いやり方ではありますが、それはある意味でひとつのパフォーマンスとしてやっている面がありますよね?

これと同じように、別に新人さんでなくても、話している最中にメモをしながら聞いてくれる相手には、それだけでも

「こちらが話した内容を、重要だと思ってくれている」

というような信頼感、安心感を抱きます。

ただし、今度はこういう場合はどうでしょうか?

たとえばいちいち何回も何回も話の腰を折って、

「ちょっと待ってください、今メモしてますから」

と言われると、話しづらいですよね?

あるいは、会議や勉強会のような場面で、周囲の人はどんどん意見を出して議論が白熱して盛り上がっているのに、一人だけ黙って下向いてメモばっかり取ってたら

「おまえ、何しに来たんだ?」

という雰囲気になるかもしれません。

あるいは、接待の場面などを思い出してください。

その最中にメモを取るタイミングってありますか?

……ふつうは、そんなタイミングを見つけることのほうが難しいですよね?

このように、現実の仕事の場面では、常にゆっくりメモを取っている時間が許されない状況というのは、けっこうひんぱんに起こります。

相手は、ふつうに考えて、その人がメモを取っている間はそれ以上こちらの話を聞く態勢になっていないと考えて、待つしかありません。

それと、人にはタイプがあって、

「細かくメモを取る人は信頼できる」

と感じる人もいますが、

「あんまり細かくメモを取ることばかり気にしている人は、できないヤツだ」

とか、

「メモだけしているヤツは、本当はこっちに興味がないんだろう」

というように考える人もいます。

もちろん、まったくメモを取らないのでは信用を落とす可能性が高いです。しかし、その場の話の展開や、話しやすい雰囲気などを乱してまでメモが必要な段階というのは、おそらく

「この人は、メモの取り方がまだ分かっていない」

という印象を与えることになります。

このように、人前でメモを取るというのは一種のパフォーマンスの面があります。

でも、

「この人はとてもレベルが高いメモ術を持っている」
「この人はぜんぜんメモも取らないのに、よくなんでも覚えているな」

……というような良い評価や印象を得るには、実際にメモを取るその場のことだけを考えていてもあまり効果的ではありません

そもそも

① 話している相手を安心させる
② 話したこと、知ったことを忘れない
③ メモをもとに情報を整理する

という流れを自分のものとして作り上げた上でその場に臨むことが、実は近道なのです。