目的意識を持つ意味(目標設定ではない)

これは自己啓発に限りませんが、目的意識を持つ意味について書きます。ただし最初に、私が今思っている目的意識の意味とは「目標設定」のことではありません

目的意識とは?

目的意識とは文字通りの意味だと

「行動の目的を明確に意識すること」

というふうに定義できます。

しかし、この定義を見ると多くの人は、

「それは目標設定と同じような意味だ」

と考えてしまいます。

しかし私がここで書きたいのは

「目標を持つことの大切さ」

とか、

「行動するには目標が必要」

といったことではありません。

むしろ、極端に言うと目的意識を持つ意味は

「余計な行動をしないため」

です。あるいは、

「思考が無制限に拡散しないため」

なのです。

たとえば、自己啓発と言える行為や活動の具体例を挙げ始めると収拾がつかなくなります。

あなたが今、仮に電車の中に貼ってある広告や、YouTubeの動画でも見ていてふと、

「英会話の勉強を始めようかな」

と思いついたとします。

しかし、それは直接には、あなたにとって何の意味がありますか?

もしあなたが今の仕事ですでに英語を使わなければならない場面が多くあって困っているという状況だったら、もちろん

  • 今の業務上の問題解決

のためですよね? これなら言われるまでもなく目的ははっきりしています。

しかし、別に今どうこうというわけではない、でも、もしかすると

  • 将来役に立つかもしれない

と考えているのかもしれません。たとえば、いずれは転職したいが、その際に必要になるとか?

あるいは、本当は前から憧れている職業があるとか、その方面で独立したいと思っているとか?

あるいは、単に

  • 自分の可能性の幅をなるべく広げておきたい

と考えて、一度試してみようとか。

あるいは上司に

「何か自己啓発的なことをしなさい」

と言われたので仕方なく……かもしれません。

ところで、もしここで目標設定について述べるとすれば、まったく別の話になるでしょう。

たとえば

「いつまでにTOEICで何点取る」

とか、期限と数値で目標を設定して、そのために

「一日30分は勉強をする」

と決断して、ますは3週間継続する……とか、そういった話になりがちですが、今私はそういうことを書きたいのではありません。

目的意識は階層化できる

具体例で考えると自己啓発になり得る活動というのはほぼ無限に挙げることができます。

あるいは、一般に自己啓発といった場合にイメージすることで最も多いのはやはり新たな知識の獲得や、情報収集といったものになるでしょうが、その知識や情報の種類もまた、なんら制限などありません。

なので、そこに目的意識がないと次から次へとただやみくもに情報に触れるだけになってしまいがちです。

しかし、そもそも自分にとっての「目的」というのは、ひとつの行為に対してひとつに絞ることが難しい場合が多いのです。

そこで、私は目的というものをいわば

「階層的」

に整理することをおすすめします。

階層的、というのは単純に言うと、それは何段階かのレベルに整理してイメージできる、という意味です。

ただし、別に厳密に理論的な階層構造になってなくてもいいです。あくまで主観的に、概念的に階層のようなものをイメージするだけで十分です。

自己啓発の意味は、最も集約的に言うと

「自分を変え、人生を変える」

ということです。

しかし、するとこれに対応する具体的な行為とは、あなたの人生におけるほぼすべての事柄ということになり、同時に目的は常に、どんな行為に対してもこれただ一つ、ということになってしまいますよね?

ですから、これをいくつかのレベルに分けて把握します。たとえば一般に自己啓発的な話題で良く取り上げられるものを考えてみれば、

  • 人生論(自分の人生を俯瞰した大局的な見方)
  • メンタル(自分の精神や心のあり方全般)
  • 思考法(自分の思考の傾向や、ものの考え方)
  • 成功法(主に経済的に成功する方法)
  • 仕事論、労働観(自分の仕事に対する価値観、方針)
  • 仕事上のスキル(今の仕事に関係する技術や知識)
  • 一般的な知見(ふつうに知っているべき情報、知識)

という感じでイメージすることも可能です。

あるいは、自分自身の関心や動機に照らして

  • 人生の全体を見渡すため
  • より成長するため
  • 周囲の環境や状況を良くするため
  • 今やっている行為(たとえば仕事)に活かすため
  • 単なる知的好奇心

というふうにイメージするのも良いでしょう。

人によって関心事や視点が異なるので自由に考えていいんですが、いずれにしろ階層化してみてください。

その上で、では今の時点であなた自身の目的意識をどのレベルに置くかということを判断すればよいわけです。

自己啓発本は階層横断的に書かれていることが多い

多くの自己啓発本は、その性質上、つまりたとえばその一冊なら一冊で著者の言いたい内容がまとめて提供されているため、このように階層として見た場合には各レベルに話が広がって行ったり来たりするように見えることがあります。

あるいは、自分が今自覚的に重要だと思っている抽象度とは異なるレベルで言説がまとめられている場合もあります。

実際には自己啓発本と銘打った本以外でも、市販の実用書、専門書や、果ては漫画でも雑誌でも結局何でもそうなのですが、少なくとも自分にとってはこの階層上のどこかに属する情報について書かれているはずです。

または、実は文字じゃなくてもすべての情報や経験がそういうふうに解釈できます。

しかし、その時に

「これは目的というものを階層的に見た場合の、どのレベルの話なのか?」

という視点でその情報とか、自分が今するべき活動などを見れば、どんなものでも自分の目的意識に合わせた解釈や選択、判断はできるわけです。

目的意識を持つというのは、言い換えれば

「自分の目的意識が階層のような構造をしていると見做したときに、自分が決めたその階層からいつの間にか逸脱しないように意識する

ということなのです。

重要な階層から逸脱しないようにする

日常、あなたが何か個別の有益な知識や情報を得たとします。その時に、それを情報単位で見れば、それはあなたが想定している目的意識の階層の中で

「どのレベルでも関係している」

ということになることが多いのですが、情報の受け取り手があらかじめある特定の目的意識に限定してそれを解釈し、利用するならば……つまりあなたが主体的に

「自分は今、この目的に沿ってこの情報を見ているのだ」

というふうにはっきり認識するならば、それを前提にその情報に関わることになります。

たとえば本屋さんで適当に本を眺めているとき、あるいは、特にはっきりした目的もなく他人のブログを見てるときがありますよね?(今もですか?)

その時に、特に目的意識がなければ

「あ、何かの役に立ちそうだな」

と感じて、とりあえず見てみるじゃないですか?

でもその時に、

「これって今自分が重視している階層の問題ではない」

というように感じられるとすれば、少なくとも今は不要だと見切ることもできるわけです。

たとえば今は具体的に

  • 今やっている行為に活かすため

の情報が必要だと思っているときに、何となく、漠然と

  • 単なる知的好奇心

を満たせそうなものを買っても意味ない、っていうような判断ができるわけです。

逆に、たとえば今あなたが何か大切な人生の岐路に立っていて

  • 人生の全体を見渡すため

の情報を探しているときに読むべき本は……

「まあ、こんな本じゃないわな」

って判断できたりもします。

集中を学ぶ

自己啓発本を読んでも役に立たない、というのはしばしば聞かれる話です。

実は、その理由の一つが今書いたことなんですね。

つまり、

受け手の問題意識や目的意識の「階層上のズレ」です。

あるいは、最近しばしば聞かれる表現で言うなら、

「抽象度が違う」

ということです。

もちろん、仮に、最初はある特定の目的だけを意識していた場合でも、自然に任せればいろいろ見ているうちに

「どうせなら、得られるものならすべてを得たい」
「できることなら全部したい……」

というふうに思うことがあります。

まるで子供がお店でお母さんに

「どれかひとつにしなさい」

って言われてるような感じですよね?

そのように自然に任せていると、目的意識がいつの間にか薄らいで見えなくなったような感じになります。目的がはっきりしないまま多くの情報に触れるほど、たいていの人は次第に主体性を失っていきます。

いつの間にか次から次へと情報をため込んでいくだけ、あるいは右から左に流していくだけ、という状況になりがちです。

それがノウハウコレクターと呼ばれる人に見られる傾向です。

あるいは、そのようなスタンスだからこそ、自己啓発は役に立たないということになってしまうのです。

情報を提供する側もそれを知ってか知らずか(……たぶん、多くは意図的でしょう)、どうせならどんな状況でも、どんな問題意識を持ってる人にでも関連があるかのようなフックを使います。

ですから、当初の目的意識からいつの間にか逸れている、あるいは、目的が際限なく広がってしまうといったことが起こりやすいのですね。

そして、曖昧なままさらに情報を集めたり乱読したりするから訳が分からなくなってしまうのです。

もちろん、あなたが今把握した階層、あるいは抽象度というのはバーチャルなもので、実際には物事はそれぞれ互いに密接に関連しています。

たとえばあなたが実際に得た情報や、あなたがした活動はどれをとっても、本当はすべての階層上で何らかの意味を持たせることも可能なのです。

しかし、思考というのは自然に任せておくと無限に拡散してしまう性質があります。

もちろん、場面によってはあえて目的意識をあいまいにして思考を拡散させるように使う場合もあります。

しかし、ここではその関連性を考慮したり、他の面への含みを持たせたりすることが往々にして

  • 自分の考えが混乱したり
  • 目的を見失ったり
  • 意欲が減退したり
  • おかしな判断をしてしまったり

……ということになる原因であるという点を強調しておきます。

特に日頃から、

「目的意識を持ちなさい」

などと小言を言われることが多い人などは、しばしばこの点を忘れているのです。