思考の整理ができない人におすすめする一番かんたんな方法

思考の整理ができないと感じている人というのは、実は思考そのものが苦手な人とか、そもそも「ものを考えるのが嫌い」というタイプの人ではありません。

思考の整理ができないと言っても、自分自身が自覚的に

「自分は、どうも思考の整理がうまくできないなあ……」

という感覚を持っている場合は、この人が感じていることは、たとえば学校の勉強の内容がうまく頭に入らなくて

「うわー、分からないよー」

……という場合とはわけが違うのです。

実は思考の整理ができないと感じている人ほど、多くの物事を多くの視点から「完全に」「緻密に正確に」考えようとしていることが少なくありません。

つまり、ふつう

「思考の整理ができない」

と自分から言ってる場合には、物事の内容が理解できないと感じているのではなく、

「思考の基準がはっきり特定できない」

という感覚を表現しているのです。

そして、そうなってしまうのはたいてい

「さまざまな観点や、規範とか周囲への影響とか……もろもろの判断基準を盛り込もうとし過ぎている」

ことに起因します。

思考の混乱とは、基準の混乱

仕事の問題、家庭の問題、仕事の悩み、人間関係のトラブル、お金の問題、身体や健康の問題、自分の欠点や短所。精神的な悩み……。

確かに私たちの目の前に現れる問題、人生の課題といったものは、学校の時間割のように一つずつ順序良く発生してくれたらまだ良いのだけれども、そうは行かなくて常に複数が互いに絡み合って同時に存在しているような形をしています。

あちらを立てればこちらが立たず……何か解決方法を探そうとすると別の問題が立ちはだかるといった具合です。

だから、そもそも何を基準に考えたら良いかを迷ってしまうことになります。

あるいは、どれも重要と思える複数の基準の中でどれを採用すべきか、どの基準を優先したらよいかという判断に迷っているということなのです。

混乱しているときほど、単純に考える

「問題だらけで何から手を付ければよいか分からない」
「不安や悩みごとがたくさんあって考えがまとまらない」

現状にはっきりした不満を持っている人、また多くの問題を抱えてしまい解決の糸口が見つからず悩んでいるというような人にとっては、自分が置かれている環境というのは、すべてが緻密に関連して、まるで周囲のあらゆる面がすべてあやふやで、しかもそれぞれに自分に敵対しているかのように感じられるのではないでしょうか?

いったんこうなってしまうと、それはだれだって思考が混乱して集中力や冷静な判断力を失ってしまいやすくなります。

もう自分ではどうしようもないんだ、と自暴自棄になり、無力感や自己否定の気持ちが強くなり、何事にもうわの空になり、今までできていたことまで手につかなくなったりすることさえありますね。

こんな時、どうしたら考えを整理できますか?

先に言っておきますが、一番マズいのは……そういう状況に陥った自分は

「思考が苦手なのだ」
「自分には解決する能力がないのか」

というふうに自己イメージを下げてしまうことです。

そうなると解決しようという意欲まで消失してしまいますから。

最もかんたんな思考整理法

もちろん多くの思考法やフレームワークが紹介されています。これらは特にビジネスシーンに限らず、実は日常起こるいろいろな問題に当てはめることができると思います。

ただ、ここでは私が考える最もかんたんな、ごく単純な考え方をひとつお話します。

それはつまり

「物事を単純なひとつの基準で並べ直す」

ことです。

思考が混乱したり、いろいろな事情が錯綜したりしている場合には、あえて単純な一つの基準、指標によって全体を捉え直してみます。

たとえば、人生をもっと良くしたいとか、今の最悪な人間関係を何とか良い方向に変えていきたい……といった漠然とした問題を考えるときに、それぞれの分野に分けたり、個別の事情や問題点をたくさん論ったりすると、かえって問題が複雑に見えて整理が付かなくなったりすることがあります。

また、よくある特定のフレームワークに当てはめて考えるのは、有効な場合がありますが、そうでない場合も発生します(自分の経験上)。特に、すでに混乱している場合には有効に働かないことが多いです。

そのような時には、いったん単純に並べ直してみましょう。

最も一般的なのは「時間」あるいは「金額」だと思います。

これはあくまで例ですが、たとえば、あなたの通常の一日の中で、実際に使っている時間の大きいものから順に並べてみます。

  • 仕事に使っている時間は10時間
  • 睡眠に7時間
  • 食事と休息に3時間
  • 通勤に1時間
  • 家族や同僚との雑談やコミュニケーションに1時間
  • その他の用事に1時間

……というように。

別に日単位でも週単位でも何でも構いません。

あるいは、たとえば出費を抑えようと考えた時には使っている金額順に並べてみる。

あるいは、将来やりたいことを考えるには、実行に要する期間の順に並べてみる。

……といった具合ですね。

まず、ある意味機械的に、単一の基準で捉え直してみます。複雑に絡み合った問題を整理するには、こうしてみると意外に主要な問題点がはっきり見えてくることがあります。

思考の優先順位の付けかた

もちろん、ふつうに重要性や緊急性といった面から優先順位が付けられるならそれで良いのですが……。

しかし、手を付けられないと思えるほど問題が大きかったり、複雑過ぎて身動きが取れないというように見えるときには、ごく理論的に

「最も大きな部分から先に考える」

というのが原則になります。

確かに、たとえば逆に最も着手しやすい問題から片付けたほうが良いという人もいるかもしれません。それはそれで、たとえば「早く行動を起こす」といった観点で言えば効果的な考え方だったりします。

あるいは、そのようにいったん着手しやすい問題を片付けた後で再度考え直してみるという解決手段もあるにはあります。

ただ、自分なりに何らか行動できる状態だとすれば、それはおそらく自分で言うほど混乱している状況ではないです。

もう頭の中がぐちゃぐちゃで手に負えないとか、あるいは、自分は思考を整理することができないのだというふうに、すでに強い苦手意識を持ってしまっている人の場合、やはり原則は

「単純な一つの基準で全体を掴み」→「大きいものから先に考える」

ということになります。

たとえ話ですが、もともと元気な人が、さらに自分の健康を増進するために行うのであれば、無理せず小さな運動から始めるのが良いと考えられます。

しかし、通常の状態でない場合というのは、比喩として大きなケガや病気にかかっている状態のようなものと言えます。

このような場合には、もちろんその大きなケガや病気を一刻も早く治療するというのが当然だと思います。

つまり、このようないわば緊急の場合には、大きな問題を後回しにするというのは意味がないどころか、きわめて危険な選択とも言えます。

それは骨折している患者さんを見て、でも先に虫歯を直しちゃったほうが治療しやすいかも……と言っているのに似ている気がします。

一気に理想を目指す必要はない

また、混乱している状況下では、そこから直接すぐに

「考え得る最も理想的な状態に持っていこう」

とするのは無理があることが多いと思います。

これも、たとえば今骨折しているその人が、治療をしないまま体力作りをして筋肉隆々のマッチョになるにはどうしたら良いかと思い巡らせているようなものです。

その前にケガ治せよと。動くなと。絶対安静だと。

ですから、いきなり理想状態を想定して一気に改善するという考えはたいていうまく行きません。

むしろ現状の中で「最悪な部分はどこか?」という観点で考え他方が有効でしょう。

とりあえずその部分にメスを入れ、いわば最も重大な病巣を摘出し、通常の健康状態に戻すことを優先します。他の部分をケアするのはその後です。

もちろん個別の事情があるので一概に言うことはできませんが。

よくある失敗パターン

たとえば、今の生活を変えよう、何か新しいことを始めようと思い立ったときに、多くの人がまず思い付くのは、おそらく

「退勤後~寝るまでの時間」

をそれに充てるのが最も妥当……って考えですよね?

それは最も自由に使える時間で、その気になれば自分が一番管理しやすい時間のように見えるからです。

もちろん、これがうまく行くならそれで良いのですが……なぜかうまく行かない場合が少なくありません。

すると、次にはたいてい

「朝早く起きて~出勤するまでの時間」

を捻出しようと考えます。つまり今までより早めに起床して、時間を確保しようとします。

できてる人います?

私は幾度となく失敗しています(笑)

余談ではありますが、早く寝て早く起きるならまだしも、睡眠時間を削って時間を捻出しようとするとほぼ100%失敗します。いえ、私は必ず失敗する自信があります。

とすると……もう考えられるパターンが限られてきた。仕方ない。隙間時間、細切れ時間の有効活用法みたいな本でも買って読もうと。あ、読む時間がない……。

(私の経験を発表してるだけですね……)

ところが……たいてい、自分が仕事をしている時間、つまり勤務時間、労働時間を削ろうと考える人って極めて少ないですよね?

「あ、じゃあ仕事減らそう」

って最初から思い付いた人っていますか?

一方ではこれだけライフワークバランスとか叫ばれているのに。

でも、こと自分自身の話になると、そんなのはもう一種のタブーと言いますか……前提としてそこは絶対動かせない時間だとハナから固定してるわけですよね?

あらためて考えると、これはとても不思議な現象だと思いませんか?

明らかに一日の中で最大の時間を割いている部分ですよね? 勤務時間って。

しかも多くの人がかなりの時間、残業していますよね? 現実には。

私は先ほど

「最も大きな部分から先に考える」

のが原則だと書きました。

隙間時間もいいけど、まずそこ何とかならないのかと。

もちろん、それが実際にかんたんに可能になると言っているわけではありません。

もちろんその職場の環境やあなたの立場や事情にもよりますけれども。

でも、私も含めてですが……どうして頭っから、そこはアンタッチャブル! ダメ! 絶対! って思い込んでいるのでしょうか?

自分でも不思議に思うのです。

多くの人にとって、仕事に費やしている時間というのは一日の中で最大を占めているのはず。また、むしろ現状に対する不満の大きな部分は今の仕事、今の職場から発生しているにもかかわらずです。

もちろん、これに限ったことではありませんが、自分で、ここは絶対動かせない部分だと前提的に思っている部分、むしろそういう部分に根本的な問題が潜んでいるかも知れないのです。

そこを疑ってみると今までとまったく違った考えが浮かんでくるかもしれません。

ところで、もちろん今の話は一例に過ぎませんが……たとえば、どうしてこういう点に気が付く可能性が出てくるかというとそれは、ふだん自分がすでに縛られている固定観念や傾向などを度外視して

「単純な基準で並べてみたから」

なのです。