「スキル」とは? 「デキル」と何が違う?

スキルとは、ふつうに言えば

「特定の目的に対応する能力」

のことを言います。

しかし、あるスキルを「スキル」という言葉で呼ぶのは、そこに何か特別な意味を含みたいからですよね?

職人の技

私たちが強いて「スキル」という言葉を用いる時、その条件とは何でしょうか?

① その対象が価値のある行為、目的であること

私たちがあえて「スキル」と呼ぶとき、それは前提として、何か価値のある行為、役に立つ行為に対する遂行能力のことを指し示そうとしていることが多いです。

主にはビジネス用語として、その場合にはたいてい「経済的な価値」あるいは「労働力としての価値」といった、かなり限定されたものをイメージしていることが多いです。

② 訓練や経験などを通して後天的に獲得したものであること

言葉としては、「スキル」という語は「能力」とか「技術」「技能」といった言葉と同じようにほぼどんな事柄に対しても用いることができます。

ただ、スキルという場合には 多くの場合

「後天的に獲得したもの」

というニュアンスが強調されます。

逆に言うと、一般的な認識としてだれでも自然にできるようになるような行為については、ふつうは「スキル」という言葉を使いません。もちろん、広く考えればどんなことでも後天的に獲得したと言える部分が含まれているには違いないのですが、もっと言えば

「本人が意図的に獲得しようとした」

もの、というようなニュアンスです。

たとえば、昨今は「コミュニケーションスキル」「ソーシャルスキル」というような言葉の使われ方もします。

これも、ごく素朴な認識としては、コミュニケーションなんてそれなりの年齢になればだれだってそれなりにできるようになるでしょ?

……というイメージがあります。

でも、実はそうじゃなくて、たとえば「コミュニケーション」というのも、仕事やビジネス上必要な、意識的に高めるべき能力なんですよ……ということを強調するためにそう呼ぶわけですね。

別の言い方をすれば、自然に任せてくと苦手だったり、不十分だったりするけれども、意識的に獲得しようとするなら獲得できるものなんですよ……という意味で

「~スキル」

と言っている場合があるわけですね。

③ レベルが高いこと

スキルという場合には、それがごく一般の、平均的なレベルの人から見ると明らかに「高い」という意味もあるでしょう。

たとえば、英会話を学習していて自分なりには、それなりに英語でコミュニケーションが取れるという自覚はあるとします。しかし、それをもって

「私は英会話スキルがあります」

と……ふつうはあまり堂々と言えないでしょう。

みなさんが自己啓発の一環として取得する「資格」も、実はそういう意味がありますよね?

それは単に自力で、我流でできるようになったわけじゃなくて、正式に学習してお墨付きをもらった「スキル」であることの証明になるわけです。

④ 理由付けが伴っていること

もちろん、スキルというと、それが身体的技能であれ知的活動の範囲であれ、当たり前ですが

「実際にできる」

ことが必須です。

ただ、単に「デキル」だけでは実は不十分であって、たとえば他者から

「それはどうして、そういうふうにするんですか?」

と尋ねられた時に、それを理屈として、言葉として説明し得るということが非常に重要なポイントだと私は考えています。

つまり、自分が持っている能力や技術を意識的に理由を伴って言葉などで説明できるということです。

⑤ 体系化されていること

さらに、その一つひとつの動作や手順について、それがバラバラに蓄積されている状態ではなくて、各々の理由付けを伴って

「全体として矛盾なく、体系化されて自己完結している」

というところがポイントだと思います。

ですから、限定的に考えれば、知識を単発で知っていてもスキルにはなりません。

また、たとえば他人から教わったりして、ひとつの動作や作業に熟練して、それをとても高いレベルで提供できるようになったとしても、それは「デキル」だけであって「スキル」とは言いません。

その手順や理由付けが体系として完結していて、本人がそれを理論としても同時に体系として把握できていて、しかも

「他人にも伝え得る」

……という状態になったとき、それを私は「スキル」と呼ぶことにしています。