自己啓発は、次のフェーズへの移行を促進する

自分の人生の推移や、目的意識の変遷の仕方を「フェーズ」という形式を当てはめて認識すると、思考が整理しやすいです。

ところが、世にあるいわゆる自己啓発的な情報というのは、単に個別のノウハウを提供するだけではなく、常に

「次のフェーズへの移行」

へとあなたの目を向けさせ、そこへあなたを導こうとします。

多くの自己啓発的な情報にはそのような部分が少なからず含まれています。これはむしろ自己啓発という言葉を文字通りに解釈すれば当然のことです。

啓発というのはその言葉の意味からして

「より高い段階へ上昇させようとする行為」

なのですから。

もちろんこれは有益な面もあります。

……次の段階へ移行したい人にとっては。

しかし、多くの人にとってはこれは思考があやふやになる原因ともなり得ます。

だって本人は今いる段階で必要な情報を求めていたつもりなのに、文字通りに啓発されてしまうから。つまりもっと上の段階へと半ば強制的に視点を変えられてしまうからです。

たいていの場合、まだその段階に留まるべき人間にとっては、それははっきり言って余計なお世話でしかないのです。

ですから、自分なりの人生の段階とか、いわゆるライフプランといったものをざっくりとでも考えてみてください。

それは社会的にとか経済的に、というだけでなく自分の内面や身近な人々との関係といったことも含めて。

これは何も、

「自分の将来設計をきちんと立てなさい」

というような意味ではありません。

私は必ずしもそのようなものを推奨していません。

あくまで個別の状況によりますが、場合によってはいつもあまりに将来のことにばかり目を向けすぎて、今することについてまるでうわの空になってしまい、かえって今欲しいものがいつまでたっても手に入らなかったり、結局は自己実現を諦めてしまったりするというような残念な状況も往々にして起こりえるからです。

むしろそれは主に

「今自分はどの段階にいるのか」

という点を確認するためです。

そして、従って今欲しいのは何についてのノウハウなのか、あるいはどういった種類の知識や経験が必要なのかを自覚するためにです。

自分自身が今はそのタイミングではないと判断するなら、急いでフェーズを移行させようとする必要はありません。むしろ、各階層での知識の飽和や、経験の獲得、欲求の充足……それらが一定のレベルに満ちた時、移行は必然的に起こると考えるべきです。

それが最も自然であり、逆に言って、そうでなければそれはおそらく言葉や観念だけで

「移行した」

と思い込んでいるだけで、結局は歪みが生まれることになります。

振り返って過去を悔やむような人生とは、

  • 今あるべき段階を急いで駆け上がり過ぎたとき
  • 次に進むべきなのに、ずっと同じ段階に居続け過ぎたとき

のどちらかによって起こるような気がするのです。

忍336



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