組織力の源泉(3つのパワー要因)

前の記事で書いたように、組織が組織である理由はパワーバランス上優位に立つためです。

また、私たち個人も、そのパワーに依存するために企業などの組織に属することを望むのです。

組織とは

組織に属する

忍336



組織が持つパワーの3側面

パワーバランスを決定する特徴的な要因として、組織というものが発揮するパワーというのは次の3つの側面から挙げることができます。

すなわち

① 調達のパワー
② 選択のパワー
③ 蓄積のパワー

です。

調達のパワー

第一に「調達のパワー」です。

一般に組織が集める資源には

「人・物・金」

があると言われています。

組織は個人が行うよりも圧倒的に有利にこれらを調達することが許されます。

そしてこれら大量の資源を自らの目的のために集約し体系付け有効に活用することができます。

選択のパワー

第二は選択のパワーです。

組織はたいてい、複数の取引先や、不特定多数の個人を相手に取引を繰り返します。

その立場で見ると取引相手や顧客というのは無数に存在する中のたった一例にすぎません。

たとえばマイホームを手に入れようとする家族は、それこそ一生に一度の買い物と思っています。

しかし、仮に不動産会社の側からその家族を見れば、彼らは日常的な業務の相手、単なる一提供先にすぎません。

もちろん、それだから顧客をぞんざいに扱っても良いとか……もちろんサービスを提供する当事者がそんなふうに考えているとは限りませんが、消費者優位の風潮があるとはいえ……そもそも論を言えば、パワーバランスは個人よりも組織のほうが圧倒的に強いです。

また、仮に組織と組織を比較した場合も、基本的には規模で優位に立っている側が強くなります。

蓄積のパワー

第三に蓄積のパワーです。

もちろん目に見える資金、資源の蓄積も大きいです。

が、それとは別にいわゆる情報・知識・技術といったソフト面を考えても、その蓄積の量とスピードにおいて組織は一般の個人よりも格段に勝っています。

組織は特定の目的達成のための活動を業務として繰り返し行っています。

また関連する情報の収集、分析や技術の向上を積み重ね、たとえば一個人がどんなに熱心に研究しても追いつけないような知識量をストックします。

そしてこの蓄積は、組織の中にいる各個人が共有しているだけではなく、仮に個人が退職などによって入れ替わってもデータ、マニュアルまたは暗黙知として引き継がれ更新されていきます。

それはだれのパワーなのか?

つまり何を目的とするにせよ組織が組織である所以はパワーバランス上優位に立とうとすることです。

そして、だれもがその優位性を信じて組織に所属するわけです。

ただし……当たり前ですが、これによってパワーを獲感するのは、所属した個人ではなく原則として組織自体です。

組織に属することによって自分自身が力を得たかのような気分になるのはもちろん危険です。

私は、ここに私自身も陥っていた大きな誤謬があると思います。

だれもが組織に属することで自分の欲求や動機を満たそうとするのですが、それとは裏腹に本当のところ組織に属するのはいわば

「回避的な選択の結果」

に過ぎないのです。

つまり、今言ったことの裏面に当たりますが、各個人というのは単独で存在しているとパワーバランス上圧倒的に不利なわけです。

だから私たちは組織に属するわけです。

組織が人を惹きつける力には不思議なものがあります。

もちろん、建前としては「雇用契約」などのれっきとした根拠に基づいてそれは行使されるわけですが……所属する人の個人的な欲求や都合を抑え、いつの間にか組織の目的達成を優先するように行動させるこの力の源はいったい何なんでしょうか?

多くの人は、こういう問題を意図的に見ないように、日々の違和感や反感を何とかやりくりしながら仕事を続けているのです。

また、たいてい組織のほうも知ってか知らずか……所属する各員がなるべくこういう面に目を向けないように配慮します。

または、正直言って私も一度どっぷりと組織に浸かった経緯がありますから……その後組織を離れてあらためてこういった角度から考え直す機会があったからこそ、今こんなことを書いているわけで、それまではいくら客観的に考えようとしても、その考え自体がある種のバイアスに支配されていたような気がします。

おそらく、いわゆる処世術とか、本音と建前といった感覚を持ってある程度このようなことに気が付いている人も少なくはないでしょう。

しかし、その理解は実は非常に表面的なもので、むしろ「自分はそういう面も自覚している」と思い込んでいることがまさに危険なのです。

忍336



忍336