メンター制度もいいけど、メンターくらい自分で探せよ

これは私の個人的な定義ですが、メンターというのは

① 自分が本当に正しいと思っている通りのことを、そのまま言える相手

であって、かつ

② その人にどんな批判や否定的な意見を言われても、あなたはなぜかぜんぜん腹が立たない相手

のことです。

私は経験上「メンター」というのを勝手にそう定義してきました。

まず、実社会の中では、

「自分が本当に正しいと思っていること」

を発表する機会はほとんどありません。

それを吐露できる相手も稀です。

もしそれを忌憚なく話せる相手がいるとしたら、とても貴重な存在です。

でも、そうすると今企業などで推進されることが多い、いわゆる「メンター制度」って、すごい違和感があります。

もちろん……これは私の勝手な定義です。

一般には、メンターというのはまったく違う意味で使われています。

「日本メンター協会」の資料によりますと、メンターとは

「人間的にも信頼・尊敬でき、公私ともに安心して相談できる人」

と書いてありました。

間違ってはいないけれども、個人的には、これでは定義が幅広過ぎるような気もしますが……。

しかし、たいてい企業が導入するメンター制度は、単に若手社員の定着率を上げたいがための施策にすぎませんから、そもそも趣旨が違うので、これでいいかもしれません。

でも、私が思ってる「メンター」っていうのは、なんかこう

「あ、この人だ!」

っていう、何かピンとくるものがなければメンターと呼びたくない。

それ以前に、メンターと呼ぶべき人は、やっぱり自分で見つけてこそのメンターでしょ

「はい、じゃあ、あなたのメンターはこの人です」

……って社内で言われてもなあ。

話す相手を選ばないと

夢や目標を人に話すことのメリットはよく指摘されます。

あるいは、自分が今考えていること、抱えている悩み、また自分がこの先やろうとしていることや、すでに意識的に取り組んでいることなどを他人に話す機会というのはもちろん貴重です。

ただし、なんでも、だれにでも話せばいいというものでもありません。

「だれに話すか?」

はけっこう大事です。

基本的に、あなたが本当に正しいと思っていることをそのまま言える相手……が望ましいのですが、それと同時に、それを聞いた相手の反応も重要です。

ただ単に、黙って聞いてくれる人がいたら、そのほうがマシです。

なぜなら、多くの場合は、あなたにとってぜんぜん望ましくない反応が返ってくることのほうが圧倒的に多いからです。

言っときますが、これは、たとえば親とか兄弟とか、旧知の友人とか……相手がいくら親しい関係でも基本的には同じです。

たとえば日ごろからなんでも批判的に語る人っていますよね。

そういう相手に、自分の素の考えや感情を話したら、たぶん批判的な意見ばかり聞かされることになるでしょう。

当たり前ですけど。

確かに批判されたほうが良い場合もありますが……本当にあなたの事情や価値観などを理解している相手が、その上でそれでもあなたのためを思って、あえて苦言を呈してくれているっていう場合は貴重ですけど、そうでなければ害になる可能性のほうが多いです。

なんでもただ批判したいだけの人とか、頑なに自分の考えを押し付けようとばかりする人もいます。

メンター制度はどこまで効果があるか

あなたの会社にも、もしかするとメンター制度のようなものが導入されているかもしれません。

何でも遠慮せず相談できて、その内容を真剣に理解しようとしてくれて、そのたびにちゃんと適切な助言やアドバイスをくれる相手……そんな相手が社内にいれば、それはとても心強いことでしょう。

ただ、社内にいる人々が、あなたにとってのメンターとしての適性を備えた人ばっかりだったら良いのですが……そんな会社あります?

むしろ、今までの仕事のうっぷんを聞いてくれる相手を得たいと思っている人。

会社に認められない自分の勝手な主張を聞いてくれる人を求めている人。

他人事に対して自分の考えを当てはめて、自分の正当性や優秀さを確かめたい人。

……万一そういう相手があなたのメンターとして選定されてしまった場合、あなたがその人に何か相談などを持ち込んだら、飛んで火に入る夏の虫とでも言いますか、相手からするとあなたこそかっこうの餌食みたいなものです。

ここぞとばかりに自説を展開されて、あなたは自分の話を聞いてもらうどころか、逆に相手の相談に乗ってあげてるような気持になるでしょう。

どんな説にも一理はある、と考えて、他人の意見や考え方を常に学ぶというのも悪いことではありませんが……おそらく直接的な有効性は極めて低いです。

まあ、社内で上手くやっていくにはそういった方への配慮も必要かもしれません。

ただ、このような場合

「人に話すことのメリット」

としてはきわめて弱く、むしろ弊害になる危険性が高いということです。

企業の経営者などは、実質的には自分の考えを話して、いわば聞いてもらうという目的のために多額の費用を払って優秀なコンサルタントやアドバイザーといった方を雇っていたりしますよね?

もちろん、基本的にはそれなりに専門的な知識を持った、実績のある方を選ぶのは当然でしょうが、それにしても、単に専門的な知識を持った人が欲しいというわけではなくて、おそらくそこに、いわば

「信頼できる話し相手」

としての価値を見い出しているのではないかと思います。

そうやって、かなりの費用をかけて選び抜いた「メンター」だったら比較的有効でしょう。