人間は最初、

才能に恋をする。

……それを愛しようとする。

しかしそれはたいてい裏切られる。

……なぜって、若すぎるから。

才能それ自体を愛せなくなる時が来て、人間はその次に、何を愛するべきかを考え始める。

考えて、考えて……結局、その考えている自分を、つまり

「思考」

を愛しようとするのだ。

その頃には、才能とか魅力とか、そんなものは過去の追憶になっている。

美しいけど、本物じゃない。

しかし、いずれ気が付く。

「思考や概念」

を愛するということの空しさに。

そして最後には、自分がそれまで歩いてきたという……

「体験」を愛するようになる。

そして自分の体験を分かち合うだれかを求める

……つまり、体験を語り合う人を最後には愛したいと思うようになる。

その時に、その人の愛を初めて実感するわけだ。

だれかの愛を得たいなら……その時を待てばよい。

ただ……それは狭き門である。