「そんなの当り前だろ」
「当たり前のこともできないのか」

……と言われてしまった新人さん。

当たり前なのにできない

ここであり得る反応は、

「そんなの教えてもらわなきゃ分からないよ」……40%
「別にいいじゃん。いちいちうるさい」……25%
「うわ、どうしようヤバい」……20%

言われた次の瞬間に忘れている人……10%
言われたこと自体に気が付かない人……5%

【※数字は私のイメージです】

ほとんどの新人さんがしている勘違い

「最近の若者は……」
「最近の新入社員は……」

などという声は実はいつの時代でも繰り返し言われてきていることです。

でも……だからそんなのは相手の思い違いであって、気にする必要はない、ということにはなりません

ここが、ほとんどの新人さんがしている勘違いです。

そうじゃなくて、少なくとも、会社や上司など、新入社員や新人さんを「受け入れる側」の感覚と、当の新入社員さん、新人さんの意識、感覚にはものすごいギャップがあるということ……これはある意味普遍的な、そして明らかな事実です。

要するに、新人さんというのは当たり前のことすらできないという評価をもらうことは、実は

「あなたがその新しい職場に出社する以前からすでに確定していること

なのです。

ただし、ここで誤解してはいけません。

「あなたが、当たり前のことすらできない人間だ」

と言っているのではありません

実は、あなたの能力や、性格、人柄、それにスキルや態度はあまり関係ないのです。どうであれ……すべての新人さんが、当たり前のことすらできないという評価を必ず受けることになるということが確定している、と言っているのです。

それが本当に「当たり前のこと」かどうかは、関係ない

これはもう理屈で考えるんじゃなくて(理屈で説明もできるとは思いますけど)それよりも、そもそもこの認識のギャップというのはあるのが当然だという認識でいたほうが良いです。

また、これはだれが悪い、どっちの認識がおかしいとかいう問題ではなく、もう、そういう構造になっていると考えておいたほうがいいです

もしあなたが今、新人さんの側の立場だとして、あなたに接する上司や職場の先輩たちは、これら(他にもほぼ無限に存在する)細かい事柄とか、各々がその時、その時で感じたこと、思い付いたことを、ほとんどすべて

「当たり前のこと」
「仕事をする以前の前提的なこと」

だと認識しています。

これは良い悪いではなくて、そういう認識になってしまっているのが自然なんです

ですから、そこで言われていることが事実としてどの程度「当たり前なのか」ということも実は関係ありません

「事実当たり前と言える事柄なのか?」

……と考え始めてしまうから変な方向に進んでしまいます。

実際には、これらの一つひとつが

「できて当たり前のこと」

などではありません。つまり、その意味では新しい職場にいるあなたの上司や先輩たちの認識のほうが間違っているとも言えます。

しかし、そういう台詞を吐いている上司や先輩たちのほうが悪いのだとか批評していても何にも得られるものはないのです。

「できる道理はない」という前提でいること

そして、ここが肝心なのですが、新人であるあなたは、必ず、絶対にこれらを仕事において前提のこととして当たり前に……できません

これは絶対にできません。っていうか、できないものと初めから思ってください。できるわけがありません。っていうか、できるな。

できようとするな。

……というと冗談みたいに聞こえるかもしれませんが、実際のところほとんどの新人さんがこれを思い違いしてしまっているのです。

あるいは、もう社会人経験も豊富で、キャリアも何年もあるような人だとなおさらです。

そういう人でさえ、自分がひとたび転職や異動などで「新人さん」の立場に回るとなれば、やっぱり100%できません。そういう構造なのです。

ところで、ふつう

「新しい職場に早くなじみたい」
「早く仲間として認められ、受け入れられたい」

と考える人が意識するポイントというのも、よく考えてみるとほとんどが

「仕事以前の、まず当たり前と思えること」

と、言おうと思えば言えるでしょう?

たとえば服装や装飾品、敬語や言葉遣い、態度や動作、礼儀作法、積極性やコミュニケーション術……。

多くの人はこういった各々の点を

「あらかじめ意識して」
「自分なりに実行すれば」

あるいは、

「最初からきちんと言っておいてくれれば」
「ちゃんと説明してくれれば」

……当たり前にできるはずだ、と思っています

ですから、そういった点について現場で実際に指摘を受けると、新人さん自身も実は不本意なのです。

言い訳を考えたり、反発を感じたりします。

でも実は、そんなことは当たり前だ、それくらいは当たり前にできるはずだ……と思っているその新人さん本人の認識も実は間違っているのです

何度も言いますが、これは、あなた本来の能力とか、もともと持っている素質とか、今までの実績や経験やキャリアとか……そういうものとは一切関係ありません。

これはいわば、新人さんという立場になると構造的に絶対そうなるというだけの話であって、どんな人でもそうなのです。

だからここで最も有効な策は、実際にはこれしかありません。

「必ず当たり前みたいなことを言われるので、それを完全にやることです」

こういう、常識的なことや前提的なことを指摘された時、注意された時には、それはもう

「どうせできている道理などない。だから必然的に言われるに決まっているのだ」

と単純に認めて、すぐにそれを愚直に実行し、守ろうとすることです。

これは新しい職場で早く受け入れてもらうために最も効率的かつ有意義な対処法です。

たとえその内容が、

「過去何度も聞いたことのある、常識的すぎること、既知の陳腐なこと」

だったとしてもです。

その陳腐なことすら、その特定の環境で、相手がイメージしている通りにできる通りなどないのです。

できていないと相手が感じるのは当然なのです。

たとえその内容が

「自分は十分にできているつもりだし、実際には他のだれよりもできているのに」

と内心で反論したくなったとしてもです。だって、あなたは現に今それができていないと思われたから言われている……そしてそれは別にあなたのせいでも何でもなくて、単にそういうシステムになっているだけですから。

たとえその内容が、

「仕事に直接関係しない、どうでもいいこと」

だと感じてもです。だって、少なくとも相手はそれを仕事をする上で前提的なことだと認識しているわけで、そこを議論したところで意味ないからです。

……むしろ、かんたんに反論できそうな気がする時ほどヤバいです

どうしてかというと、そういう時、人は素直に自分の行動を変えようとしないからです

そんなのムカつくし、反論したくなるし、恥ずかしいし、逆らいたくなるからです。

そして、多くの人が自分の中で反対の意見を作り上げようとします。決して口には出さないとしても新人さんだって心の中で反発します。そして、そう、すみやかに忘却します。

……実はこれもほとんど構造的にそういう心理が働くのであって、その構造に従っている限り、必ずそうなるに決まっているわけです。

でも、そもそもどうしてそのように反応してしまうのかというと、もともとを言えばそれは単純に

「当たり前のことなら、当たり前でにできるはず」

という固定観念があるからなのです。

それがそもそも違っているわけです。

というか……言い換えれば、そこを変えればこの構造からかんたんに抜け出ることができるというわけです。

その構造を逆用する

新人さんが最初に指摘されるこの手のことは実際にはだれでも当たり前にできることなどではありません。

それなのに一方で上司や先輩は「当たり前だ」と認識してしまっているところが厄介なのです。構造的に絶対そうなるんです。

しかし、この構造は、裏を返せば

「逆手に取る」

ことで有効に利用することもできます。

むしろ、実際にはほとんどの人が同じ流れにハマり、同じように

「当たり前のこともできない」

と思われたままになるわけですから。

ですから、むしろいちいち気にしたり、自分の理屈であらためて考えたり取捨選択したりしない……というように認識を変えるだけで、あなたはその構造にハマってしまうほとんどの人とは違う存在になるということですね。

もし新しい職場に出勤して、このような点について何か言われたら、それこそ

「愛される新人さんになるための必須アイテムをゲットした!」

とむしろ喜んでも良いわけです。

何か言われたら、それをそのまま受け取って、持って帰って、それを文字通り、額面通りに守ることに徹してください

そして、それを守っているということを明らかに相手にも分かるようにはっきり示してください。

「あなたに言われた通りにしましたよ」

ということを、行動で明示的に表現してみてください。

これだけで、ほぼ確実にあなたは……みんなから最もかわいがってもらえる「他の人とは違う」新人さんになれます。

難しいことかもしれませんが、これさえできれば結果はほとんど絶対に確実と言ってよいと思います。

だって、実は、本音では上司や先輩たちもこう感じているのです。

「当たり前だとは言いながら……しかし、最近の若い人は、最近の新人は、こんな当たり前のこともできないヤツばっかりだ」

って。

つまり、現実にはそれができる人などほとんど存在しないということを彼らもすでに経験から知っているのです。

言い換えれば、相手もその構造から抜け出せなくて苦しんでいる……とも言えます。

ですから、正直言って、もしあなたが意識してこの点を強調できるなら、あなたはその職場なり、会社なりで実際にはむしろかなり珍しい、貴重な、有望な新人さんとして扱われることになるほうが当たり前なのです。

これを意識しておけばいい期間は?

まあ、一応分かったと。

でも……ところで、そんなこと、いつまで続けなきゃいけないの?

それに、そういう点がどんどん増えて行ったら、いつか絶対実行し切れなくなるじゃん。

もし、別の人から矛盾するような指示や注意を受けたらどうするの?

……とか、いろいろ疑問が出てくるかもしれませんね。

でも、安心してください。

こんなの、実際のところそれほど長期間そればっかり意識してるわけにもいかないでしょう?

本業のほう、実際の実務だってどんどん覚えていかなければいけないんだし。

上で言ったような点を意識して徹底してほしい期間は、新しい職場に入ってから

「3週間だけ」

です。もし3週間だけ徹底してできれば、その次の月曜日からは……今言ったことは、もう忘れてもいいです。たぶん大丈夫です。

それだけの期間があれば、人の印象というのはほとんど固定してしまうからです

あとはもうふつうに仕事してください。3週間経てば、あなたはもうその職場でちゃんと居場所や人間関係を確保できているはずですし、基本的な業務内容などは周囲からの指導や助言も十分いただける状況ができ上がっているでしょうから、一通りできているはず。

つまり、すでに「愛される新人さん」になっているはずですから。

あとは存分に個性を発揮して活躍してけっこうです。

……でも多くの人は、これができないのです。

まとめますが、なぜほとんどの人はこれができないかというと

① 当たり前のことだと軽く考えているから
実際にはだれも当たり前にはできない
② 言われたことを自分の理屈で解釈し直すから
そんなこと考えても意味ない
③ 意識が長く続かないから
実際は最初の3週間で十分

です。