ジョージ・S・クレイソン著……となっていますが、ジョージ・サミュエル・クレイソン自身は1874年生まれ。

もともと彼が発行していたのは、一種の情報誌。そこに連載されていたのが本書の原型となっています。

今で言えば、イメージとしては銀行や証券会社などで無料配布されるパンフレットみたいなものですかね?

それ自体が配布され始めたのは1926年。古代バビロン……まではいかないけど、実のところ相当に古い話ということはできます。

しかし……本書の内容は、時代を問わず世の中の真実を突いていると言うしかありません。

小説風自己啓発書のパイオニア的存在?

現在書籍として出版されているものは、それを抜粋、編集したものです。

お話は古代バビロンを舞台にした物語風の話に仕立てられています。

バビロンというと、古代最も栄えた都市として代表的です。バビロンと聞いただけで、金銀財宝がキラキラ……みたいなイメージ浮かぶのではないでしょうか?

ただし、話に出てくる「アルカド」等の登場人物や設定は実際のバビロンの史実や伝記ではないようです。

おそらく、実質的な主張に神秘的な深みと臨場感を与えるために創作されたのでしょう。

つまりこの本は内容的には金融に関する実用書とも言え、ある意味では現在多く見られる「自己啓発小説」の走りとも言えます。

一方で本書は成功哲学、成功法則という分野に分けられることも多いですが、潜在意識を活用しなさいとか、願望を明確に描きなさいとかいった話は一切出てきません。

実際にお金持ちになるための「心構え」という意味では示唆がありますが、これはいわゆるマインドとかメンタルとか呼ぶよりも、

「マネーリテラシー」

と呼ぶ方がふさわしいでしょう。

あくまで実生活において

「お金持ちになるためにはどうしたらいいか?」

を指南する「蓄財の極意」の書として名高い本です。

それこそ、児童書として出したら、今流行りの「お金の教育」にぴったり……そんな内容だと私は思います。

アルカドの高説をありがたく拝聴する

前半は、アルカドが仲間たちに乞われて

「自分のお金を蓄え、増やす方法」

を語るという設定。

本書で示される方法論は、おそらくそれだけを言えば、異論をはさむ余地すらないきわめて常識的な、至極まっとうなものです

はっきり一言で言えば

「投資論」

です。

しかし、バビロンの都でともに育った仲間たちの中で、ひとり「アルカド」だけが大金持ちになったように……現実にその通りにできる人間はきわめて少ないというのは現代も変わらないようです。

後半はバビロンの王様に正式な依頼を受けたアルカドが、学びの神殿で講義をします。

これは内容としては……もう今でいうところの「マネープランセミナー」か、もっと言えば「銀行主催の商品説明会」のようなイメージに近いとすら言えるかもしれません。

しかし、これをアルカドが語ると異常に説得力があるんですよね、これが。

特に

「貯金なんて考えたこともない」
「お金なんて、必要になったら回ってくるもんだよ」

とか思っている人は、これを読むと、目からウロコが落ちるかもしれないですよ……私みたいに(笑)