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見渡す力
意外かもしれませんが……論理的に思考する上でまず大事になるのは、実は物事の
「全体を見渡す力」
つまり大局観というか、俯瞰力というものです。
俯瞰することから始める
目先のことだけにとらわれている場合や、最終的な結果を予測せずに目の前のことだけに没頭している場合には、人はそもそも論理的にその事柄を考えることができません。
まずその全体像をざっくりと把握し、一部は仮説も交えながら
「どこから手を付ければよいか」
「足りない部分はどこか」
といった分析を試みます。
精通する
ただし、いくら「全体から」と言っても、そもそもその事柄についてある程度知っていなければ、いきなり全体について捉えることはできません。
よって、まず一定の知識なり、経験なりを積まなければなりません。
あるいは、既存の知識に当てはめたり類推したりすることで実際に経験する過程をある程度ショートカットすることもあるでしょう。
いずれにしろ、日常、仕事の場などで一見「論理的な人」に見えるような相手というのは、そもそも知識や経験の量が圧倒的に多いからこそ論理的に見えるという場合がままあります。
逆に、もともと論理的にものを考えることができる人でも、まったく未知の分野ではその論理性を発揮することがほとんど不可能です。
論理性とは、その要素となる知識や情報が組み合わされることによってはじめて発揮されるものです。
まず知ることが必須です。
早く習得する方法
ただし……仮に、最初はまったく同じく完全な素人だったとして、しかし、ある人はいつの間にか他人より何倍もの速さでそれを習得し、コツをつかんでしまうということがしばしな起こります。
こういうタイプの人って、周りの他の人と何が違うのでしょうか?
……と考えると、おそらくそういう人は、
「以前に何か別のことを習得した際の、効率の良い習得の仕方」
を当てはめることによって、それを成し遂げていると考えられます。
習得の構造を知れば早く知ることができる
対象が何であれ
「何か新しいことを習得する」
という行為自体の構造をすでに体得している人なら、その構造を頼りにして次々に必要な知識や経験をかき集めて早期にその全体を把握することができるでしょう。
対象の全体を俯瞰的に素早く把握する方法はあるでしょうか?
ある程度法則的なものを言うとすれば
① 「切り口」を決める
ある全体を把握しようとする際に、それをどんな視点から見て内容に入っていくかという部分で工夫が必要だと思います。
たとえば、多くの人はまずそこに現れる具体的な「事例」を寄せ集めていこうとするかもしれません。
その繰り返しによって少しずつ「事例の集合」を大きくしていこうとするわけです。
しかし、それは全体からアプローチしているとは言えませんね。
要領の良い人は、何かしら「視点」と呼べるようなテーマを決め、それに頼りながら具体的に起こる事例を早期に抽象化したり、それぞれの事柄の関連性を俯瞰しようとするでしょう。
② 「本質」にたどり着く
そして、
「結局、要するにそのことは、こういうことである」
というふうに一応結論付けます。
「見渡す力」がある人は、本質にたどり着くまでの時間がきわめて短いという特徴があると思います。
そうすれば、今度は次々に起こる具体的な状況や新たな事例をその本質から逆算して理解し、整理することができるのです。
③ 「典型と例外」を分ける
全体の中で、典型的な事例あるいは最も頻繁に発生する手順を優先的に理解、実践します。
もちろん、その際に起こる「例外的な状況」も知ることになりますが、本人の中ではそのうちのどれが原則で、どれが例外なのかといった区分がはっきり見えているため、混乱する確率が低いでしょう。
④ 「ルール、関係」に注目する
それぞれの要素そのものよりもむしろ、各要素どうしの「関係性」を理解します。
それがそのように決まっている理由とか。
ある原因となる状況が起こった場合に限って特定の対処方法が発生するとか……逆に言えば、こういう条件がそろわない限りそれはする必要がないとか。
あるいは、このような場合があり得るから、あらかじめこのようなルールや手順が決まっているんだとか。
いわゆる
「ルールの意味の理解」
「経緯や課程の分析」
がスムーズにできます。
全体から把握するほうが早い
習得が早いということは、単純に言えばこの4つの側面から分析するという方を持っているということです。
何についても他人より早くその全体を把握し、習得するタイプの人はこの4つの面から物事を素早く同時に把握していくはずです。
もちろん、より大きなテーマや難解な課題、かなり抽象度の高い問題などを扱う場合には、単純にその全体から把握するわけにはいかない場合もあり得ます。
そういう場合には、
「分割して支配せよ」
という原則に従って、とりあえずいくつかの分野にそれを区分した上でアプローチするほうが有効な場合もあるでしょう。
ただし、それだって最初にどう区分して、何処から着手するのが最も適切かをまず
「俯瞰的に思考」
しなければ行き当たりばったり、当たって砕けろ……という話になってしまいます。
俯瞰的思考
もちろん、単に思考という範囲を超えて、実践としては
「恐れず自分から挑戦する」
「納得するまで確かめる」
「練習を繰り返す」
といった主体的、積極的な姿勢なども関わってくると思います。
ただ、それに加えて、ある物事を俯瞰的に全体からアプローチして、できるだけ早くその全体像を把握し、トータルで最適な対応を可能にするためには一定の要領というか、思考の型のようなものも備わっている必要があります。
そして、それらすべての前提として物事を
「全体から俯瞰することから始める」
ことが必要になります。
これが
「見渡す力」
であり、論理的思考力の第一条件と言えるのではないでしょうか?