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コミュニケーション能力を鍛える特別な方法
「コミュニケーションが苦手」
「私はコミュニケーションが下手だ」
と思っている人は多くいます。
学生時代なら
「性格だからしょうがない」
とか
「人間関係なんて別にどうでもいい」
とか言っていられますが、そんな人でも就職する頃になれば嫌でも考えざるを得なくなりますよね?
どんな仕事でも、どの職場に行っても
「コミュニケーションが大切」
と言われるに決まっているからです。
仕事におけるコミュニケーション
たしかに、仕事においてコミュニケーションは重要です。
これ自体は間違いないです。
実際、一般的な企業に勤めている人は、勤務時間の中のかなり多くの部分をいわゆる
「コミュニケーション」
に費やされていることでしょう。
また職種によってはコミュニケーションそのものが仕事の成果の大部分を決めてしまうという場合さえあります。
ただ、そもそも仕事というものの「目的」はコミュニケーションではありません。
言うまでもありませんが、少なくとも職場においては仕事よりコミュニケーションのほうが重要なのではありません。
あなたは会社から「コミュニケーション」のために雇われているわけではありません。
そうですよね?
仮に、コミュニケーションが非常に上手くても、それが仕事の成果に結びついていない人というのがいたら本末転倒なのです。
仮に、コミュニケーションが良好だけど成果が出ていないチームも同じです。
職場の仲間はサークルや同好会の友達ではないのですから……「仲良しクラブ」じゃないのですから。
(仲良くするなという意味ではありません。そっちがメインの目的じゃないと言っているだけです)
つまり、良好な人間関係を構築し、コミュニケーションを維持するというのは、
「あなたがあなた自身の仕事の価値をより高めるため」
に必要な条件であり、手段にすぎません。
コミュニケーションが重要である理由
実は、多くの人は
「職場の雰囲気が悪くならないように」
とか
「より良い人間関係の中で仕事できるように」
「業務が円滑に進むように」
「仲間外れを出さないように、あるいは、自分が仲間外れにならないように」
「場の空気を乱さないように」
……といったことが
「コミュニケーションが重要である理由」
だと思っています。
はっきり言うとこれは大きな勘違いです。
というか……こういう認識だと仮にあなたの資質がどんなに優れていたとしても高いコミュニケーション能力を発揮することができないのです。
なぜなら、それではつまるところ
「他人のためにやってあげている」
という気持ちが根底にあるからです。
つまり結局、
「他人事」
だと思っているのです。
おそらく、コミュニケーション能力の高い低いという問題は、性格とかテクニックとかより根本的にはこの「認識」の違いによるところが大きいと私は感じます。
だからまず、コミュニケーションとか人間関係とか、それは
「あなたがあなた自身の仕事の価値をより高めるため」
ひいては結局
「あなたの価値を高めるため」
に考えるべき問題なんだという認識を持ってください。
職場でもどこでも、そもそもコミュニケーション能力が重要なのは
「周りの迷惑にならないように」
ではありません。
「居心地をよくするため」
でもありません。
「自分がする行為の価値を高めるために」
「あなた自身の価値を高めるために」
です。
また、コミュニケーション力というのは「感情」「情緒」「気分」といった問題ではなく、明らかに「力」です。
それも多くの場合それは後天的な能力、つまり意識して獲得すべきスキルです。
私は、まずこのように認識をはっきり変えることが、コミュニケーション能力を鍛える一番早い方法だと思っています。
コミュニケーションの目的
その上で、ではコミュニケーションの具体的な目的というのは何でしょうか?
意外かもしれませんが、あくまで自分の仕事なり、活動なりの価値を高めるという観点で考えれば、それは第一に
「情報のコントロール」
です。
そして第二に
「働きかけ」
です。
職場でも、本当はどこでも同じなのですが、コミュニケーションの主要な目的は実はこの2つです。
そして3つ目にやっと
「居心地の良さ」
「連帯感や所属意識の充足」
「人間的な幸福感」
……といったものが出てきます。
多くの人はコミュニケーションの目的というと、この3番目のことだけ考えてしまいます。
でもこの順番が非常に大事です。
多くの人は「情報の選別」とか「働きかけ」をほとんどすっ飛ばしているのでコミュニケーション能力を飛躍的に高めることができません。
または、せっかく高いコミュニケーション能力を持っていてもその効果を刈り取ることができないのです。
「情報コントロール力」を鍛えるワーク
ふつう情報というと、メディアから流れてくるニュースや、ネットで検索したりして得た知識などを想起すると思います。
もちろんそれはそれで情報には違いないのですが……コミュニケーションという面から見ると、それらの情報の使い道はほとんどが
「世間話のネタ」
くらいにしかなっていないのではないでしょうか?
それも悪いとまでは言えませんが、それだけでは大きな意味があるとも言えませんね。
コミュニケーション能力を高めるという観点から特に注目すべきなのは、もっとミクロな情報、つまり
「あなたが直接接している人たちから得る個別の情報」
です。
たとえば、今の職場なら職場というような特定の範囲で、あなたが日々接している人々を挙げてください。
上司、先輩、部下、後輩、経営者や役員の方、あるいは別部署でもよく顔を合わせる人、同期の人、取引先の担当者や主要顧客……とりあえず、仕事上直接かかわりがあるという人々を一定の範囲で選んでリストアップしてみましょう。
んで、それぞれの人について
「あなたが知っていること」
を書き出します。
「性格」
「好きな食べもの」
「出身地」
「口癖は?」
「住所」
「いつからそこに住んでる?」
「趣味」
「好きな芸能人は?」
「愛読書は?」
「勤続年数」
「なぜその会社に入った?」
「血液型や星座」
「家族構成や交際範囲」
「結婚した経緯は?」
「夢や目標があるか」
「子供時代のこと」
……一回、何でもいいのであなたが知っていることを書き出してみてください。
書いているうちに何となく自分がストーカーみたいな気分になってくるかもしれませんが……別に何をしようというわけでもないので気にしなくていいです(笑)
だれかに見せるわけではないので個人情報とかも別に気にしなくていいですが……ただし、流出しないように気を付けてください。
するとですね……。
おそらく、ある人についてはたくさんの項目を書けますが、他の人だとあまり書くことがないってことになりますよね?
あるいは、ある人の出身地は知っているが、他の人の出身地は知らないというように、ムラがあることに気が付きます。
もちろん、接触機会の頻度とか、関係が違うので当たり前なのですが……でも、各個人に対するミクロの情報というのは自然に任せておくとかなり偏ってしまうというのは分かりますよね?
そうしたら、今後はその「知らない項目」つまり「埋められていない穴の部分」を埋めていってください。
……といっても、その人にいきなりアンケートみたいな聞き方しちゃだめですよ?
むしろ今まで通り自然にふるまう中で、ひとつでも新しい情報を発見したら都度そのリストに書き加えていきます。
最終的に全部埋められるように自分の中だけで気にしててください。
少なくとも、一回それを聞く機会に恵まれたら、忘れないうちに書いておいてくださいね。
こうしたワークによって、コミュニケーションというのは要するに
「情報の交流」
であるということが体感できます。
それと、会話や活動の自然な流れとして、ふつうは
「相手について知ったこと」
は、同時に
「それについて、自分はどうなのか」
を開示することになります。
たとえば、自然な会話の流れで相手の出身地を聞いたら、当然あなたは自分の出身地を教えることになるでしょう?
つまり相手もまたあなたに関する情報が増えていくことになります。
ただし、相手はそれに興味を持って覚えていてくれるかもしれませんが……次に会う時にはそんな事すっかり忘れているかもしれませんよね?
だって、たぶん相手はあなたのようにいちいちリストを作って書き留めてませんからね、たぶん。
こういうところを意識的に観察していると、それぞれの人が情報をどう扱う傾向があるか見えてきます。
不思議と(……って別に本当は不思議でもなんでもないのですが)これを続けていると、コミュニケーション能力自体が向上していきます。
「働きかけ力」を鍛えるワーク
次のワークです。
仕事ではいわゆる
「働きかけ力」
「巻き込み力」
が重要視されますが、こういうことは知識として知っているからといってだれでもすぐにできるようになるとは限らないのが難しいところです。
「働きかけ力」とは
・協業⼒
経済産業省HP
・ネットワーキング⾏動
・多様な⼈た ちとの繋がり
・パートナー⼒
・相⼿との壁を越えて多様性を活かす対話⼒
・⼈間関係資本
・関係構築能⼒
・異⽂化集団に⾶び込み信頼を勝ち得る⼒
働きかけ力や巻き込み力を得るには何が必要かというと、たとえば
「主体性」
「積極性」
「能動性」
「協調性」
「社交性」
それに
「人間性」
……と、このような言葉を並べることはかんたんでも、ではそれをどうやって獲得するのかとなると多くは抽象論になってしまい、要するに経験がものをいうから頑張れ、というような話になってしまうことが多いでしょう。
なので即効性のある鍛え方というのはなかなかないわけですが……それでも、とりあえず具体的に実践可能なワークをひとつ紹介しますと、それは(私が勝手に名付けたものですが)
「100%レスポンス法」
です。
やり方はですね。
まず最初は特定の相手を一人決めたほうがいいかもしれません。慣れるまでは。
あなたにとって特に重要な立場の人、あるいは、今あなたが一番好きな人とかでもいいです。
とにかく、一人を決めますね。
そうしたら、その人とのコミュニケーションを特に意識してください。
「100%レスポンス法」
とは、その相手があなたに対して行った
「発言(言ったこと)」
「行為(してくれたこと)」
「態度や表情(感じられること)」
「意向や期待(してほしいと思っていること)」
これらをすべてできるだけ受け止めて、それについてあなたは必ず何かしらのレスポンス(反応、対応)を示すという意味です。
コミュニケーションというのが基本的に「情報のキャッチボール」だとすると……相手が投げてきたボールを全部取って、全部投げ返すというようなイメージです。
……説明が分かりにくいですかね。
たとえば、その人から頼まれたことは、必ずすぐにする。
といっても、もちろん奴隷のように何でもしろというのではありませんが。
もし事情などがあって期待通りにしてあげられないという場合には、その理由も含めてきちんと説明したうえで、できる部分だけしてあげるのでも良いです。
「理由をちゃんと説明する」
というのもひとつのレスポンスです。
つまり、もしあなたが頼まれごとを引き受けてくれないなら、相手は当然
「どうしてだろう?」
と思うということは、たとえ会話を交わさなくても当然想像できますよね?
その、相手が感じるであろう心情や考えに対しても100%レスポンスしていくということです。
あるいは、たとえば何気ない雑談の中で、相手が
「私この映画好きなんだ、おすすめだよ」
というようなことを言っていたとします。
そうしたら、あなたもその映画を観てみましょう。
そして、その感想などを相手に必ず伝える……それもレスポンスです。
あるいは、しばしばありますが、会話の中で
「今度ここ行ってみようよ」
とか
「私いつか~に行ってみたいなあ」
というふうに、きちんと約束したとまでは言えないけれど、半分誘われているような言い方をする時がありますよね?
それを単にその場の話題として言ってみただけだ……と受け取るのではなくて、それは本当に行ってください。
(これは異性でも同性の相手でも同じです)
あるいは、もしかすると相手はいっしょに行ってくれないかもしれませんが……だとしても、少なくともそれについて調べてみましょう。
「ここってこんな素敵な所なんだね~」
という感想を伝えるだけでもいいんです。
……こういうふうに、とにかく相手があなたに対して投げてきた情報を、あなたがスルーしたり、ただ受け止めるだけではなくて、それに対して100%何らかの反応や行動を示すということを
「途切れることなく」
続けていくのです。
……これ実は意識的にやってみるとかなり難しい、大変なことです。
そして、やってみると気が付くと思いますが、通常人はむしろ相手から受けた情報を100%どころか、実感としては30~50%前後しかレスポンスしてないんだということに思い至るでしょう。
自分がとても大事に思っている相手でさえそんな感じです。
いわんや……関心のない相手についてはもっと低いレスポンス率ということもザラにあります。
「この間言ったじゃーん」
「アレ、どうなったの?」
「……ああ、なんか前にそんなこと言ってたっけか?」
こういうの、日常茶飯事ですよね?
時には自分が言ったことすら忘れてるなんてことも少なくないでしょう。
一般的には
「働きかけ力」
「巻き込み力」
というのはあくまで本人の性向というか、物おじしないでだれにでも積極的にかかわっていくとか、自分の主張や考えをはっきり言うとか……そういった面が重要であるというイメージがあるかもしれませんが、実はそれだけでは単なる
「厚顔無恥な人」
「押しつけがましい人」
「自己中心的な人」
になってしまう危険性も高いと思います。
それでも構わない、気にしない……という人ならまだしも、生来そういうタイプではないのに無理に頑張ると余計にその危険性は高くなります。
一般的な「コミュニケーション能力」のイメージに引き摺られていると結果そのように空回りしがちですよね?
もちろん、失敗を繰り返しながら経験値を上げて身に付けていくという手もありますが、私はむしろ
「相手の言葉や、態度から期待や意図を読み取る力」
「それに対して的確に対応する力」
……こういった面のほうが重要だと考えています。
そもそも、実はこっちのほうが
「働きかけ力」
「巻き込み力」
にとって決定的な条件なんです。
もともと働きかけ力の強い人を観察していると、たいていはこの点が卓越しているように感じるからです。
そして、この面での能力や技術が高いからこそ、自分の意向や主張を強く出しても周囲の人がそれを肯定的に見てくれるようになるのです。
すると、結果的により良好なコミュニケーションが可能な環境になってゆく……むしろ本来はこの順番でよいわけです。
コミュニケーションが目的であるようなコミュニケーション
最後に、3つ目の
「居心地の良さ」
「連帯感や所属意識の充足」
「人間的な幸福感」
についても少し言及しておきます。
これって、言い換えると何かのためにコミュニケーション能力を使う、というよりは
「コミュニケーションするということ自体が目的」
になっているという感じですよね。
たしかに、人間は他者との交流や共感を通して充実感や幸福感を得ます。
それはそうなのですが、ではその自分なりの充実感や幸福感のクオリティはどうなのかと考えてみると……これは人によってかなり大きな開きがあるようにも感じます。
大好きな人々に囲まれて、のびのびと自由にコミュニケーションできる人的環境を持っているか?
そのコミュニケーションが自分と相手の両方をより高め、価値を生み出し、将来につながって展開し続けられるような質のものか?
とか。
「7つの習慣」
という本の中では、人間関係は
「依存」
↓
「自立」
↓
「相互依存」
という3つの段階があるというように解説されていますが、たとえば、今あなたの周囲にいる人の中で、だれがその段階を昇華させてくれるのか?
あるいは、人間は
「ギバー」
「テイカ―」
「マッチャー」
の3タイプに分かれるとも。
ならば、周囲にいる人の中で、だれとのコミュニケーションの重要度が高いのか?
また、今の環境の中であなた自身のポジションはどこにあるのか?
……結局、こういう面を改善し、向上していくためにも、冒頭から述べたように
「コミュニケーションの目的とか意味」
についての認識を再考するということから始めるのが非常に有益であるように私は思います。
「コミュニケーション」に対するイメージを変えよう
コミュニケーションに自信がない人、苦手意識がある人はたいてい
「コミュニケーションというのは、こういう感じでなければならない」
という幻想というか、強迫観念みたいなものをすでに持っていると思います。
たとえば
「だれにでも笑顔で接しなければならない」
「明るく快活にふるまわなければならない」
「外向的、社交的な人のほうが有利」
……とかですね。
でも実はそれってコミュニケーションというものを非常に表面的に見ているだけのような気もします。
で、苦手意識を持ちながら、それでも
「周りの迷惑にならないように」
「場の空気を乱さないように」
というように根本から消極的な見方で自分のコミュニケーション能力というものを測っているだけです。
だから、私はそもそもそんな次元のことじゃなくて、もっともっと
「自分のために」
コミュニケーションしようと。
そのためにコミュニケーション能力があるのだと。
他人に合わせるためじゃなくて。
表面的なテクニックとか細かいノウハウレベルのことは自己啓発本とか見ればいくらでも載っていますが、別に全部その通りにやればいいとかじゃなくて……結局自分に合った、自分がやりやすいやり方でぜんぜんいいんですから。
だってそこは本質じゃないです。
そんなことより、まずコミュニケーションというのが
「自分にとって何なのか?」
ということを先にじっくり考えたほうがよほど有益なのではないかと私は強く思います。