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「残酷すぎる成功法則」は、あるタイプの人にとっては残酷すぎる

追いかける

2017年発売。

近年では最も「成功哲学っぽい」本だと思って、読んでみました。

著者は別に学者とかではなくて、いわゆるブロガー。でも著名な学者などに自らインタビューしたりもする、その辺の(私とか)単なるブログ書いてたら出版の話きた……だけの人ではありません。

先に言っておきますけど、内容濃いです。情報多いし。

一見して「残酷すぎる」とは思わなかったけど

副題が

「9割まちがえるその常識を科学する」

ということで、私は、たぶん統計的なデータに基づく「成功法則の真偽」の判定を試みる本だろうなというイメージを持っていました。

っていうか、タイトルだけ見ると、過去の有名な成功哲学書をバシバシ斬って捨てる……みたいな内容を期待してしまったんですけれども。

でも、実はそんな感じの本ではないです(そんなの大っぴらに出版できるわけないか……)。

とはいえ、成功に関して巷で実しやかに囁かれるようなこと、たとえば

「成功するのは、一部のエリートだけさ」
「世の中、いい人ほど損するように出来てるんだよ」
「成功する確実な方法、それは成功するまでやめないことだ」
「成功を掴むには、ゆるぎない自信を持つことだ」

……とかですね。

こういうのって、だれもが半信半疑というか、

「まあ、そう言われればそうだけど、でもね」

というふうに漠然と感じているものですよね?

たとえばこれらの主張が、

「実際のとこ、どうなんだ」

と。

その「現実」を突き付けてくれます。

前の記事でも書きましたが……世の中そんなに単純ではないぞと

「成功」そのものについても考えさせられる

他にも多くの示唆に富んだ指摘があって、役に立つ点はたくさんあると思います。あと、いわゆる

「エビデンス重視」

なタイプの人なら気に入る可能性は大。

ただし、いわゆる典型的な「成功哲学」「成功法則」を期待して読むとちょっと外れちゃうかも。

成功しろ、と煽るタイプの本ではありません。

むしろ、たとえばあなたがイメージしている成功というのが

「その分野で一流になること、世界的に有名になること」

なのか、あるいは

「とにかく金を稼ぐこと」

なのか、はたまた

「公私ともに充実した幸せな人生を送ること」

なのか……もちろん、それはその人の考え方やタイミングにもよるけれども、読み進めているうちに、

「成功というのは結局どういう状態なんだろう?」

なんてそもそも論から迷い始めてしまうかもしれません。

自分の望む目的に照らして何を取り入れるべきか、もちろんそれは自分で検討すれば良いのだけれど。

そして、これが本書の結論とも言えます。

「セルフ・コンパッション」について

本書には、読めば読むほど参考になる点がたくさん見いだされるのですが、私が今回特に意識した点として、最近よく耳にする言葉で(と言っても、自己啓発関連が好きな人だけかもしれないけど)

「セルフコンパッション」

があります。

あくまで私の感想としてですが、この部分こそ本書の真骨頂、おそらく一番言いたかったことなのではないかと……まあ勝手に想像しているだけですけど。

私はもともと

「セルフ・コンパッション」それ自体は、何となく、キリスト教的な意味での

「黄金律」

「何事も人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ。これが律法であり預言者である」

ー マタイによる福音書7章12節

これを自分自身に対しても当てはめる……というイメージを私は持っていました。

つまり、これって要するに

「他人に対する愛情や思いやり……それと同じものを、自分自身に対しても与えなさい

ということですね。

そして、だいたいセルフ・コンパッションの話は「マインドフルネス」などと同時にでてきますね。どちらかというとスピリチャリティ系の用語と言えるかもしれません。

少なくとも私はそう思っていました。

……だから私自身はそれに関して今まで無関心だった気がします。

なぜなら、私なりの分類だと、成功法則というのは

① スピリチャリティ系
② コンピテンシー系
③ アカデミック系

に区別すると分かりやすいと思っているのですが

現在時点から見た場合の「自己啓発」の分類

私自身は基本的にコンピテンシー系の成功法則が好きだからです。

逆に言うと、スピリチャリティ系の話にあんまり関心がなかったからですね。

ところで、それで言えば本書「非常識な成功法則」は私の分類で言えば「アカデミック系」です。

その本書の中でこの言葉が出てくるということは……セルフ・コンパッションというのは、科学的にも相応の効果というか、妥当性が証明されているということなんですよね。

でも私自身もそうだったのですが、成功法則実践中の方、中でも特に「コンピテンシー系」のものに傾倒している人にとって、実は

「セルフ・コンパッション」

という考え方を受け入れるのって、意外に難しいんじゃないかなと。

コンピテンシー系の成功哲学というのは、極端に言うと傾向として

「実力主義」
「犠牲を払う」
「行動あるのみ」
「自己責任」
「屈しない精神」

……というようなイメージがありますから。

自分を信じて、ひたすら夢の実現に向かって進み続ける。それこそ成功に至る唯一の道だ!

みたいな?

まあ、そこまで極端なものでもないんですが、でも、そういう傾向に傾きがちです。

そういう信念に支えられて、力を振り絞ってなんとか成功を目指そう……としている立場の人からすると

「他人に対する愛情や思いやり……それと同じものを、自分自身に対しても与えなさい」

って言われると、ある意味、非常に受け入れがたいような考えにも見えます。

なんだか、弱みを見せるような気がするから。

自分を甘やかしてしまうような気がするから。

今までの頑張りが、帳消しになってしまうような不安があるから。

しかしですね。

この本を読んでいて、こんなことが頭に浮かびました。

「もしかすると、そうやって常に力んでいると、実際にはそれによって自分の成功を遠ざけているという場合もあるかもしれないんですよ

それが、データとしてきちんと証明された結論だと言われると、考え直さざるを得なくなります。

ある意味で……これこそ、本書が

「残酷すぎる」

と題される理由なんじゃないかと思ったわけです。

つまり、本書を読んで、実際のところ一番「残酷すぎる」のは、そのようにして、成功哲学や成功法則を信じてひたすら努力してきた人。特にコンピテンシー系の成功哲学を真剣に実践してきた努力家の人。

いえ、今順調に行っている人は、たぶんうまく行ってるんです。

「でも、自分ではひたすら頑張っているつもりなのに……いっこうに成功できない!」

という人がもしいたら、そういう人こそちょっと立ち止まって

「セルフ・コンパッション」

について考えてみるべき……かもしれません。

林先生が驚く初耳学(残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する)