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FX会社のデモトレードとは
各FX会社には、たいてい本当に取引をする口座とは別に、いわゆる
「デモトレード」
ができる仕組みが用意されています。
「デモ」
ですから、実際にお金を賭けることなく、お試し感覚でできるバーチャルなゲームのようなものです。
単純に言うと、経験のない初心者がいきなりリアルトレードを始めるのは敷居が高いので、まずはFXの取引方法について理解し、トレード自体に慣れてもらうためのもの(?)と言えるかもしれません。
たしかに、業者の側からすれば、実際に口座開設してもらい、トレードを始めてもらうための「ワンクッション」として有効なツールと言えます。
ただし、ユーザー側からすると……実際に取引する前の段階でいったんデモトレードを試すことにどれほどの意味があるのかというと、かなり疑わしいです。
……とは言え、実は私も最初はデモトレードのアプリを使っていました。これは息子に誘われたからです。
4~5日くらいやってましたかね。
ですが、前にも書きましたが、息子が
「大人になったらFXをやりたいから、その練習として今はデモトレをやっている」
というようなことを言い出したので、私は何となく、それではたぶん逆効果になるだろうという直観が働いたので
「だったら今すぐリアルでFXを始めよう」
と言って、口座開設の手続きをしたのでした。
私がデモトレードをお勧めしない理由
もちろんこれには賛否両論ありますが、少なくとも私がなぜデモトレードをお勧めしないかというと、いくつか理由があります。
まず
① 少しくらい練習したからってFXは上手くはならないから
です。
「いきなりリアルトレードして負けると損だから」
「いきなりの実践はリスクが高いから」
こういう考え方で、まずデモトレードで練習して、勝てるようになってから実践に移ろう……という人は、おそらく大きな誤解をしていると思います。
それは、FXって、少し練習すれば、あるいは、経験を積めば積むほど順調にうまくなっていくはずだ、という誤解です。
実際にはそれほど単純にスキルは成長しませんし、実績も一次関数的に伸びていくわけではありません。
むしろ、多くの場合、最初はある程度順調な気がしても、どこかの時点でいきなり大きな損失を出す目に合ったり、知識や情報に惑わされ過ぎて訳が分からなくなります。
つまりいわゆる「挫折」というか……そういう時期を経てようやく自分なりの「型」ができてくるのだと思います。
ところが、デモトレードで、いわば本番でないバーチャルな取引を練習し続けている限り、この自分なりの「型」というのにたどり着くのは非常に難しくなると思います。
その理由としては、
「実弾を賭けていないという心理的な気楽さ」
がよく挙げられますが、実はそれだけではない気がします。
FXのスキルとは?
実践のリアルトレードというのは、もちろん環境認識やチャート分析も大事ですが、それだけにとどまらず、たとえば自分の感情をコントロールすることや、ロットやレバレッジの調整、あるいは相場の地合いや資金の量などによって戦術を使い分けるとか、どういう条件で戦うか、どこまで待つか、ポジションをいつ切るかとか……まさに実践的かつ具体的な判断がすべて自分なりのノウハウ、スキルになります。
けど、デモトレードではそのような広い視点や感覚を持つのは至難の業です。
つまり、私がデモトレードをお勧めしない理由のもう一つは
② FXに勝つのに必要なスキルは「チャートの見方」だけじゃないから
です。
多くの場合、初心者がデモで練習できるのは初歩的な相場のパターンを覚えて、どこで入る、どこで利確する……というだけの話になりがちです。
つまりデモトレードで得られるのはたいてい
「チャートの見方」
だけです。
が、リアルのトレードはそもそもそれだけで勝てるものではありません。
むしろ、相場を正しく読めさえすればFXはかんたんに勝てる……というような固定観念を持つことが危険だと思うのです。
あともう一つ。
③ もし「勝つ前提」なら、二度手間になる
ということです。
たとえば自分のFXのトレード歴を後から俯瞰的に振り返ったとしましょう。
すると、多くの場合、それは最初の時期はトータルマイナスの状態が続き、どこかで安定的にプラス(利益)が出せる状況に至り、その後のどこかの時点で最初のマイナスをすべて回収したうえで全体のトータルもプラスになり、あとは一定の利益が時間とともに積みあがってゆく……という全体像になるはずですよね。
もちろんあなたがいずれ必ず「勝ち組」になるという前提なら……ですけど。
その視点で考えると、デモトレードをやっているその期間というのは、一種の
「モラトリアム期間」
つまり、未来のどこかの時点でやってくる
「トータルプラ転」
の瞬間をそれだけ先送りにしているという意味になります。
それすなわち……後々蓄積される利益の総額にも影響するはずです。理論上。
「負ける前提」ならデモでいい
今のを裏返すとこういう言い方もできるでしょう。
もしあなたが、結局のところFXなんて「負ける前提」のものだとか、心のどこかで信じてるとします。
それだったら、逆になるべく長い期間デモトレードを続けていたほうが有利ですよね?
デモトレードをしている間、あなたは時間以外に何も実損はないのですから。
つまり、なんとなくですが、デモトレードを比較的長い期間やっていて、いつまでたってもリアルに移行しないようなタイプの人は……内心で自分の手法とか、最終的に自分が勝てるようなるということを
「信じていないのです」
優等生過ぎると生き残れない
最後に
④ 結果的に、常識的なトレード法を妄信しやすい
これは反対意見もあるかもしれませんが、一般的に言って、デモトレードをするという人はたいてい
「基本的なトレード手法くらいは身に着けてから実際のトレードをしよう」
とかいう、ある意味きわめて常識的な発想の持ち主でしょう。
なので、そういう人はかなりの確率で
「一般に合理的と思われるような、すごくまっとうな手法」
を学び、それをデモ口座やバーチャルトレードのアプリなどを使って検証する……という作業を行うはずです。
たいてい、各FX会社はデモトレードのシステムと同時に必ずと言っていいほど
「〇〇先生のトレード講座」
とか、あるいは
「移動平均線とは」
とかいうテクニカルの基礎的な解説など、未経験の初心者向けに情報ツールやサービスを提示しています。
まあそれ自体は別に悪いことでもありませんけどね。
あるいは、自分でそういった本や情報サイトなどを探して、コツコツ勉強してみよう……などと殊勝なことを考えている人だって少なくないはずです。
要は、ますはデモトレードでしっかり学ぼう、とか考えるような人ほど得てしてそういう、はっきり言って「学校的な」「教科書的な」トレード手法こそ常に正しいんだと言うような優等生風の固定観念を自ら植え付けることになるような気がします。
ですが、よく言われるようにそもそも相場って海千山千、有象無象が跋扈する世界なんでしょう?
……要するに私が心配するのは
「そんな感覚で、リアルで勝てるのかな?」
ってことです。
真っ先に口座開設せよ
というわけで、私の個人的なおすすめは、とにかくいいからすぐにリアルのトレード講座を開設して、証拠金を入金して、とりあえずは「売る」か「買う」かしてみな、ってことです。
別に難しい手続きというほどではないにせよ……まず初めての人だったらこの手続きをするだけでもけっこうドキドキものだと思います。
そして、実際に自分の金が入った口座を見て、恐るおそるポジションを入れる……。
その瞬間、あなたはすでにデモトレードのアプリをいじくっているのとは全く異なる精神状態にあります。
どっちみち、リアルのトレードっていうのはそこから始まるんですね。
いずれ勝ちたいと思うなら、私はまずできるだけ早くその状態に立ったほうが良いと思うわけです。
それがあなたのスタートラインなのですから。
デモトレは後からも使える
……もし、その後リアルのトレードで問題にぶつかった時。あるいは、何か特定の手法についてデータを取りたい時。例えばそういう時に、一時的にデモトレードを使ってみるというなら良いツールになり得ます。
そういうのは後からでも、いくらでもできるんです。
一方で、リアルトレードを開始しない限りそれは永遠に畳水練。スタートラインに立ってないのですからね。