しばしば言われるように

「今目の前にある自分の仕事に一生懸命になれない人は、出世も成功もできない」

というのは、一面では核心を突いた指摘だと思います。

ただし、逆の面から言うと

「会社の仕事を一生懸命やっている」

ということが、自分にとって唯一の実質的な評価基準になってしまっている人は、意識の上でいくら

「起業したい」
「独立したい」

と思い描いたところで、現実に独立起業をするということができません。

また、仮にそれでも無理に起業すればおそらく早晩壁にぶつかります。

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「自分事」にこだわれない人は独立しないほうがいい

端的に言うと、そういう考え方が身についている人というのは

「自分事を自分で進め、自分で評価する」

というパターン、一種の思考の流れをまったく持っていないからです。

他人の意向や外部からの情報や同調圧力など……こういったものが成功や自己実現を阻害する大きな要因であることは多くの自己啓発書や成功哲学などでもすでに指摘されています。

しかし、その人にとってはそれだけが判断材料であり選択の条件になっているわけですから、 実はそもそも自分自身がその影響の範疇にある物事をいつも基本的に

「自分で進め、結果を自分で評価する」

という、いわば当たり前の習慣がない場合、外部からの何があろうとなかろうと物事を自分事として直視することが困難です。

その人はむしろ

「他人の意向や外部からの情報や同調圧力」

に依存して何でも判断したり、決定したり、行動したりするしか他に方法がないわけですから。

また、そういう人の目から見ると、むしろ世の中ですでに成功している人や、有名な経営者の人などのほうが

「物事がよく分かってない人」
「自分のことしか考えてない、他人の気持ちが分からない人」

……のように見えています。

つまり、自分事に専心するようなことは彼から見れば

「浅ましい」
「配慮に欠けた」
「恥ずべき」

態度であるというイメージが強いからです。

独立起業を目指そうとする人の中に、このような心理を隠し持っている人は少なくありません。

ある意味で、世の中の間違いを正したい、というような大望が心の中で渦巻いているのです。

しかし、そもそも成功したいとか、自由になりたいとか、自己実現したいといったことは、元をただせばそれ自体が完全な

「自分事」

です。

自分事にこだわりながら、周囲にいる自分事を着々とこなしていく人たちを憎んでいるような状況……メンタルブロックだとかドリームキラーだとかいう前に、この矛盾をまず解消しないと独立や起業で成功することは前提的に至難の業という話になってしまいます。

つまり私が言いたいのは、自分事をまず大切にできない人は、起業するのは危険だということです。

逆に言うと、自分事を大切に考える習慣が持てないなら環境にあらがったりせずに、たとえば会社など組織の中に留まって、そこで活躍する道を探したほうがうまくいく可能性が高い……ということです。

もちろん、世の中には

「人様の為を思って」
「自分よりも他人」
「周囲の人の幸せが、私の幸せ」

と考える人たちもいて、それに対して間違っているとか言う必要はないと思います。

ただ、仮にそのような人々であってさえ

「だからと言って、自分自身のことをおろそかにすることが良いことだとは言えない」

と私は思います。

でも、本人がそれを苦にしていないのであれば、少なくとも主観の上でそれに納得できて、それが幸せだと感じているのなら、まだマシです。

冒頭にあげた

「会社の仕事を一生懸命やっている」

ということが、自分にとって唯一の実質的な評価基準になってしまっている人……というのは、ほとんどの場合その状態について自分では不平不満たらたらで、幸せどころか

「自分だけがいつも理不尽な目に合っている」

というような鬱積した気持ちを抱えている分、より不幸に見えます。

独立起業は結局は「自分事」

もちろん、自ら起業する理由と言えば、たとえば

「社会を変えたい」
「もっと世の中に貢献したい」
「納得できる最高のサービスを提供したい」

……というようなものも含まれます。

もちろん、単なる虚言やきれいごとではなくて、独立起業を目指す人の多くが本当にそう思っているというのも分かっています。

しかし、

「であっても、それはやはり自分事」

であることに変わりはないのです。

つまりそれはあなたが、あなた自身の自由意思に基づいて決めることですから。

他のだれも、それをあなたに「やれ」とも「やるな」とも言ってはいないですし、そんなことはあなた以外のだれにも言えないことだからです。

ところが、このように独立起業するということは完全な、むしろもっとも典型的な「自分事」であるにもかかわらず、一方で例えば世の中に散見される

「自分事を優先しているように見える人」
「自分事にばかりこだわっている人」

というのに反感を抱き、侮蔑的に見ているならば……その人が、同時にそのような完全な自分事に集中して継続的に努力するなどという想定がそもそも成り立たないのです。

自分をだまそうとしても

そこで多くの人は、とにかく独立起業するとか経済的に成功するとか考えるならば、良いとか悪いとかは置いといてそれは必要なマインドセットなのだから……という理由で、ある意味無理やりに

「自分事だけに集中しようとする」

ように自分を方向付けようとします。

そのために、時には、現在の社会やすでに成功している人々を呪い、反骨精神のようなものを増幅させることによってそれを成し遂げようと考えます。

あるいは、あくまで必要悪なのだ、一時的なことだ……これは自分が成功するまでのことなのだから、今だけだから仕方ないのだとか言って自分を納得させようと試みるのです。

……でも、そもそも明らかに土台から矛盾しているのでは、いくら目をつぶっても耳をふさいでも心から発せられる声に逆らい続けることは困難です。

「自分事」をおろそかにするほうが罪

あなたがもしこのような心理に陥っているなら、私は言いたいのですが、実際は自分事のほうを常に後回しにしたり、他人の都合や意向に合わせてばかりで、そのために自分事のほうがおろそかになりがちだという状態って

「そのほうがよっぽど悪いこと」

ですよ。

よく、決まり文句として

「自分を愛せない者は、他人も愛せない」

とか

「自分のことにも責任を持てないヤツが、他人の問題を背負えるはずがない」

とも言います……。

まあ私はそこまで極端に自立主義者でもないので、愛するとか背負うとか、別にそんな重い話にするまでもないと思っていますが……そうは言ってもやっぱり、ごく単純に考えても、自分事に真剣になれない人は、典型的な自分事であるはずの起業とか独立とかには向かないというのは事実というしかないと私は思います。

冒頭に言った

「会社の仕事を一生懸命やっている」

という言い方ですが、実はこれって、余計なものを取り払って単純にこのセリフだけを見たら、むしろ言うまでもない当たり前のことにすぎないですよね?

「あ、そう。だから?」

……みたいな。

会社の仕事は一生懸命やるに決まってるんですから。

はた目にはどう映ろうと、だれだって自分なりには、それなりには会社の仕事を一生懸命やっているという自覚はあるでしょうから。

もしそうでなければ、独立起業といった話以前に、仕事人として、社会人としてお話にならないでしょ。

……ただ、問題はその

「一生懸命」

の中身というか、その一生懸命さに反映されている本人の心理です。

それがたとえば

「私は会社の仕事だけで自分の力を全部使い果たしている

という意味だとすれば……それはその会社から見ればある意味望ましい人員かもしれませんが、それではあなたが将来、企業や独立をするような余力はほとんど残っていないわけですよね?

あるいは、自分が自分に対して見いだせる価値が

「会社の仕事をしていること」

以外にない……という場合も、ほぼ同じことです。

その人はそこに自分の価値や役割を見出せるということですでに十分満足しています。

満足しているということは、それはそれ以外の自分事に時間や労力を費やすべき理由がないという意味で、だとすれば事実上は余力が残っていない場合と結果同じことだからです。

自分事を肯定し直視する

自分事をおろそかにすることは「悪いこと」です。

「罪」だと考えてください。

……もちろん本当のところは神様に聞かないと分かりません。

しかし、少なくとも

「あなたがいつか独立起業する」

ということ自体を「是」とするならば、必然的に、自分事を積極的に肯定し、それをおろそかにせず愚直に感じ、進めていくことも「是」と考えなければつじつまが合わないのです。

もし本心からそう思える、確かに腑に落ちたぞ……という確信が持てない間は、あなたはまだ独立起業しないほうがいいと思います。

経験上、そのまま起業すればおそらく失敗する確率がきわめて高いです。