成功したいなら、夢や願望、あるいは目標を「先に」明確にした上で、
「逆算」
するべきだと言われます。
たとえば「7つの習慣」という本でも
「終わりを思い描くことから始める(Begin with the End in Mind)」
という習慣の重要性が挙げられていますね。
逆算思考とは、いわば目標達成の王道と言ってよいでしょう。
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逆算思考は目標達成の王道
ディテールはそれぞれ異なるかもしれませんが、目標を達成する成功法則としては、次のような考え方が一般的でしょう。
① 自分の夢や願望を明確にする
まず、自分が望むものや、思い描いているものを明確にする作業が必要です。
それがあなたの目的地であり、終着点となり、それがはっきり決まらなければ、あなたはどっちに向かって進めばいいのか分からないでしょう。
② 目標を決め、紙に書く
イメージすることも大切ですが、それを明確に言葉にすることによって「目標」となります。
夢や願望というと、漠然と広がったイメージのようにも感じられますが、少なくとも「目標」というのは、明確に一定の具体的な形や状態を表すものでなければなりません。
逆に言うと、その「目標」以外のものをいったん排除するというような確固とした、はっきりした意思を自分の中で定めるということですね。
また多くの成功本では、それを紙に書けと指摘しています。
③ 達成へのSTEPを考え、期限を決める
目標が明確に決まったら、それを達成するために必要な手順や過程を思考し、その各STEPについて期限を入れます。
しばしば、
「期限のない目標は、目標ではない」
といった言われかたをしますね。
④ 具体的な方法を考え、実行する
自分で想定した各STEPを期限通りに実行する具体的な方法を考え、実行します。
期限が定まっていることで「締め切り効果」が生まれ、実行力が高まると言われています。
また、目標を明確に紙に書くことで、それに必要な情報を意識的に優先して拾うようになる(選択的注意、カクテルパーティー効果)とも言われます。
⑤ 上記の手順を繰り返し確認し、思考する
多くの成功本でも、一度だけでなく何度も読み返すことが奨励されています。
人間は一度自分で決めたことだとしても時間の経過とともに忘却してしまいます。
また、繰り返し思考することでさらなる情報処理や思索が行われ、より理解が深まっていきます。すると最初には見えていなかった観点に気が付いたり、新しい考えや発想がひらめいたりもします。
逆算思考とは?
上のような考え方を進めていくには、
「目標が先にあって」
↓
「それに至るためには今から何をするべきか?」
という順序で物事を考える必要があります。
つまり、通常は私たちは自然に
「過去→未来」
という流れを前提に物事を把握していることが多いですが、ここでは
「未来←現在」
というように、時間の流れを逆にしたような考え方をするわけで、これを
「逆算思考」
と言っているわけです。
逆算思考が成り立つ条件
ところが……。
実際には、多くの人が上記のような流れで思考しようとしてもうまく行かなかったり、自分では逆算的な考え方できちんと目標設定したつもりでも、その通りに進めることが困難だったりします。
なぜでしょうか?
……おそらくそれは、逆算思考が実質的に成り立つには、次のような条件を満たさなければならないからです。
① 夢や願望をすでに自覚していなければならない
まず、自分の夢とか願望というのがいったい何なのか?
また、それは他の物事とどういう関係にあり、どんな優先順位で自覚されているか?
……といったことが、明確に自分で分かっている必要がありますよね?
② 自分の決めた目標に疑念が生じてはならない
そして、それを「目標」という、かっちりした形のものにしなければなりません。
自分のことだから言われるまでもなく分かっているというふうにイメージしがちですが、実際には、多くの人にとって案外これが難しいのです。
逆算思考するには、先に「目的地」が決まっている必要があると言いましたが……たいていの人は、そこへ向かおうと歩き出してからも、
「自分が行きたいのは本当にそこなのか?」
……と迷ってしまいがちです。
目標がはっきりしていないのに、そこから逆算するというのは無理です。矛盾しています。
③ 達成に至る手順が分かっていなければならない
また、逆算が成り立つためには、そこに至る道筋があらかじめ分かっていなければなりません。
もちろん、実際には偶然の要素とか想定外の事態というのは起こり得るにしても……少なくともだいたいの道筋くらいは知っていないと、たどり着けるかどうかも分からないでしょう。
それには、あなたが今からやろうとしている
「達成に至る手順」
というのが、おおよそでもいいから先に見えていなければなりません。
④ 期限に間に合わせるスキル、実行力が必要
そうしなければ、たとえ自分で「期限」を決めたところで、そもそもその期限の設定が妥当なのか、あるいはムダに長いのか、それとも初めから無理なのか?
……判断のしようがありませんよね?
仕事や、自分にとって当たり前になっている慣れた行為の場合には、人はそれに妥当な期限を設けることはいとも簡単にできます。
しかし、ほとんど経験のないことを行うときには、期限を設けたとしてもそれは
「当てずっぽう」
でしかありません。
ビジネスにおいて、納期が遅れることは日常茶飯事だということも私たちは体感として知っているはずです。その時、私たちは何と言うでしょう?
「こんな無理な納期、守れるわけないじゃん」
……とか言います。未知の課題に期限を入れるというのは、そもそもそういう状態とほとんど変わらないとも言えます。
⑤ 当初の目的を忘れてはならない
人は日常生活の些末な事柄にもすぐ気を取られてしまいます。
何か緊急の用件や、問題が発生するかもしれません。
すでに慣れ親しんだ範囲のことであれば、もしそのような時でも、すぐにもとの思考に戻れるでしょう。
しかし、たいてい人の夢や願望というのは、自分自身にとって未知であり、私たちはそれについてほとんど無知であることが多いのです。
……今まで上げた、目標、期限、手順や過程、細かい方法論といったものは、現実には少し目を離すとすぐにあいまいになってしまうのです。
逆算が成り立つ段階に至るには
上のように考えるならば、そもそも逆算思考を成り立たせるためにはある種の
「前提条件」
が存在することが分かります。
端的に、その条件というのはたとえば以下のようなものでしょう。
① ある程度そのことに精通している必要がある
② すでに具体的な作業が習慣になっている必要がある
③ 大枠、大局観として方向性に疑いがない
④ 情報源やツールが入手可能であること
さらに縮めて一言で言うと、逆算思考するためには少なくともそれを相当程度
「すでにやっている必要があり」
「知っている必要がある」
ということです。
逆算する前に必要なこと
夢や願望はもっと先にあるもので当然だとしても、もし、そちらを起点として逆算せよと言うならば、私たちは少なくともそれを逆算するための経験と情報を持っていなければならない。
……そうであって初めて
① 妥当な期限を設定する力
② 典型的な障害をかわす力
③ 目標に対する距離感
④ 具体的な作業のボリューム感
が得られるはずです。
そうでなければ逆算思考とは、単なる机上の空論、まさにそれ自体が単なる夢、願望といっしょになってしまいます。
……まずこの地点に立って初めて、逆算思考が実質的な意味を持つはずです。
しかし、そもそも多くの人はまだこの地点に至っていないのです。至っていないのに、空論だけで逆算しようとするから、その通りに事が運ぶはずがないのです。
まず行うべき「逆算」とは?
さて、このような場合、あなたが行うべき「逆算」というのは、実はあなたが今までもそうしてきたように、形だけを真似て想像だけで作り出した空論的な逆算ではなくて……。
まさに
「上記のような条件を揃えるために、今自分に足りていない部分はどこか?」
……ということを自己発見することです。
上記のような条件下でしか、逆算思考は有効に機能しない。
……ということは、これらの条件がすべて揃っている状態というのがまさに今の段階でたどり着くべき「ゴール」です。
つまり、逆算思考によって目標達成するには、まず
「逆算思考が機能する条件」
から逆算すれば良いわけです。