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働く理由を考える
「働く理由が分からない」
と言う人がいます。
「働く理由」に迷い、ある人はニートと言われる状態に甘んじる。
ある人は「お金」を絶対化して経済的成功を夢見続ける。
またある人は「働く意味」を見失って燃え尽き、うつになる。
……たとえば、転職しようとするときに
「志望動機」
に迷ってしまうのは他人に受け入れてもらいやすい理由付けを探そうとするからかもしれませんが、ではなぜ他人に受け入れられやすい理由付けを自信を持って答えられないのかと、さらに考えると……
「自分がもともと働く理由など持っていない」
からではないでしょうか?
「働かなければならない理由」を答えるのはかんたんなこと
「働く理由を答えろ」
と言われると、多くの人が困ってしまいます。
なので、いったん質問を変えてみましょう。
「あなたが働かなければならない理由は何ですか?」
ほとんどの人にとって、この質問に答えるのはすごくかんたんなことです。
「お金のため」
「生活のため」
「家族を養うため」
「国民の義務だから」
……とか。
おそらく、実際に仕事をしている人だけではなく、この質問に答えることは小学生くらいの子供でもできます。
ところが、ある程度大人になってくると……このような
「あなたが働かなければならない理由」
というのが実は
「働く理由とは言えない」
ということにうすうす気が付いてきます。
もちろん、就職時の志望動機としても適切でないことを私たちはすでに知っています。
つまり、ほとんどの場合あなたが働かなければならないという事実が先にあって、その事実に理由や根拠を与えることならだれでもすぐにできるわけだけど、それだけを言っても、それは本当は
「働く理由」
ではないはずだということを……私たちは多くの場合理屈としてよりも、体感的に、経験的に分かっているのです。
「働きたい理由」から考えるしかない
もしそうだとすると、結局
「働く理由」
とは、あなた自身が
「働きたいと思う、その理由」
という意味だということになります。
働く理由というのは「働きたい理由」と言っているのとまったく同じ意味なのです。
言い換えれば、働く理由について自分が納得できる答えを得るには、あなたが働きたいと思うその理由から考え始めるしかない……ということになります。
だから
「あなたが働かなければならない理由」
のことばかり熱心に考え続けても、それ以上何も思い浮かばないのです。
「働きたい理由」などない?
でも、そうなると今度は多くの人がこう考えます。
本音として……自ら率先して働きたい理由なんて存在するわけないだろって。
「だれが必要もないのに好き好んで仕事に行きたいかよ!」
って。
……それは、ある意味で正しい感じ方と言えるかもしれません。
素直な感じ方なのでむしろ良いと思います。
ここで優等生っぽい「答え」を探してしまうと逆にたどり着かないからです。
単に
「働かなければならない理由」
を言い換えただけの、建前論的な、規範的な
「働くべき論」
で自分を納得させようとしてしまうと、いつまでたっても答えが見えてこない。
「働きたい理由」は、探しても見つからない
なぜかと言うと
「働きたい理由」
というものは、先天的に人間に備わっている欲求みたいなものじゃないから。
そもそも、働きたい理由というのは自分が自分なりに
「描いていくもの」
「育んでいくもの」
だからです。
言い換えれば、働きたい理由を自覚するプロセスというのは、あくまで
「成長と学習」
のプロセスです。
あらかじめどこかに隠されていて
「探し出すもの」
ではありません。だから、本当言うといくら「自分探し」のようなことをしてみても、あるいはいくらネットで検索してみたところで……それだけでは見つかりようがないものです。
作るものです。
自分の中で育てるものです。

一方で、
「働かなければならない理由」
のほうは、たいていあなたが望もうと望むまいと、常にあらかじめあなたの目の前にある。
むしろあなたをいつも追い立て、あなたに迫ってくる。
つまり最初から自明のものとして存在するのです。
……なので、それは小さな子供でさえ自然に理解することができるのです。
自覚するのは容易です。
でも、そちらにだけ目を奪われていると
「働きたい理由」
のほうはいっこうに育たない。
あなたが意識して自ら作ろうとしないからです。
そんなものは存在するはずがない、虚構だ、幻想だ……とか思っているからです。
あるいは、それは向こうから勝手に自分の目の前に現れるもので、それまでひたすら待っているしかない……とかイメージしているからです。
「働きたい理由」を育む方法
ごく抽象的な言い方になってしまいますが……
「働きたい理由を作り、育てる方法」
は主に3つあります。
① 自分の意志や感情を観察すること
あなた自身の中に今ある素直な、素朴な感情や感覚を自分でじっくりと感じてみることです。
例えば仕事という範囲だけに絞って考えてみるとしても、今あなたは表面的には
「お金のため」
「生活のため」
……といったことばかり頭に浮かぶかもしれませんが、仕事を通して得たいものというのは実はもっと他にもいろいろあって、たとえば
「居場所がほしい」
「ステータスがほしい」
「評価されたい」
といった気持ちが強いかもしれません。
「立派な人だと思われたい」
「しっかりした人間だと思われたい」
「子供や家族から尊敬されたい」
かもしれません。
別にその気持ちというのが、今はそれほど高尚な、人に誇れるような立派なものでなくてもぜんぜんかまわないのです。
マズローの欲求段階説をイメージしてみると分かりやすいかもしれません。
最初、今感じているものがずっと固定される「あなたの本心」「本当の自分」だと決めつけなくてもいいのです。
そこから少しずつ育んで、作り上げていけばいいのですから。
② 実際に働くこと
さきほど、働きたい理由を自覚するプロセスというのは
「成長と学習」
のプロセスだと言いましたが、実際に
「働くという経験」
を通して学ぶこと、知ることは非常に多いです。
ただ残念なことに、現実に社会で働いている人の多くが
「働かなければならない理由」
のほうばかり意識しているので、それが
「働きたい理由」
を築き上げることに活かされていません。
だから
③ 働きたい理由について考え続けること
が必要です。
「いろんな人と出会いたい」
「自分の力を試してみたい」
「信頼できる仲間がほしい」
「人の役に立ちたい」
「世の中を変えたい」
「生きた証がほしい」
こういう言葉を聞くとすぐに
「そんなのは建前だ、きれいごとだ」
と吐き捨てる人がいますが
「自分が働きたいのはなぜか?」
と今までまったく自問してこなかった人から見たら、もちろんそういうふうにしか見えないでしょう。
でも、世の中には本心からそのように感じて、喜んで働いている人も大勢いますよね?
それは事実であって、
「そうしたいから、そうしている」
のです。
それは建前でもきれいごとでもないのです。