「子供を自由にのびのび育てたい」

現在、多くの親御さんは基本的にそういう方向で子育てを考えているだろうと想像します。

しかし、一方では

「放任主義」

ではいけないとも考えているだろうと思います。

……でも、一見するとこの2つはトレードオフのような関係に見えるので難しく感じます。

教育方針としての放任主義

いわゆる放任主義というのは、次のような考え方です。

子供の将来はあくまで子供のもの……だから

「親はそれについて一切何もしない、何も言わないのが最善だ」

という考えです。

なので、もちろん年齢相応に親の保護とか援助は必要だけれども、それは必要最低限、できる限り減らすほど良い結果になる……というような考え方です。

でも私はそういう考え方にも賛成しません。

なぜなら、子供というのは年齢相応な考え方をしますから、完全にほったらかしておいたらもちろん

「大人な判断」

などしません。

でも大人になってから過去を振り返ってみると、私だってだれだって

「もっと長期的に考えて判断すればよかった……」

とか

「あの時、親の忠告に少しでも耳を貸していたら……」

という記憶はあるはずです。

別にそれを「後悔」はしてはいないとしても、客観的な判断としてやっぱりミスだったなと言える場面はいくらでもあったと思うのです。

だから、私は何でも完全にその子任せにするのが最善だとは思えないのです。

権威的な接し方の弊害

とは言え、一方で何でも親が干渉して

「ああしなさい」
「こうしなさい」

と指示命令し続けることの弊害は今や明らかで、おそらくそんな教育方針を持っている親はこの時代にはほとんどいないと思います。

現実的なことを言うと、おそらく多くの親御さんは、指示命令をするのは減らしy他方がいいと感じながらも日常つい指示命令してしまう場面が多いため

「なるべく少なくしようと意識することが、実践的にはちょうどよい方法だろう」

というくらいに考えていると思います。

「意見を言う」のと「強制する」の違い

しかし、本来を言えば私はそれも違うように感じます。

その子がどう感じて、何を選ぶかは最終的には子供自由だとしても、少なくとも

「ひとつの考え方」
「ひとつの選択肢」

として、親の意見や観点を情報として与えてやるのはやっぱり必要なことなのではないか……と思うわけです。

だから、よくあるセリフでたとえば

「自分のことなんだから、自分で決めなさい」

あるいは

「〇〇ちゃんの好きにしていいんだよ」

というような言い方をするのも良くはないと私は思います。

親が我が子に対して

「自分の意見を伝える」

ということと、直接であろうと婉曲的であろうと

「行為や判断を強制する」

こととはまったく違います

子供自身の自由意志を尊重したいと考えるあまり、親が何の意見も提案もしないほうがいいということにはならないわけです。

強制的に親の言うことを聞かせるというのはいけませんが、それとは別に

「親は子供に意見を言ってあげる必要はあります」

前提を共有しよう

ところで

「決して強制するつもりはない。ただ意見として聞いてほしい」

……と言うのは理屈の上では単純ですが、問題は親のほうがそう思っていても、子供のほうがそれを

「強制だ」

と受け取ってしまう場合が多くあり、そうなってしまえば結果は同じだという点です。

ですから、まずその場その場の接し方とか会話の仕方といったことより前に、親は子供がそれなりの年齢になった段階で

「あなたのことはあなたが決めてよい」

と、こちらがそう考えているということを明確に示さなければならないと思います。

同時に、ただそれだけを宣言してしまうと

「これから先は自己責任だから、もう知らない」

……という意味に受け取るかもしれませんから

「しかし、親はあなたを見捨てたり、放任しているわけではない」

ということもはっきりさせておく必要があります。

その前提がきちんと共有されていればこそ、親は自分の立場から意見を言うが、それは単に一意見であって最終的に何かを判断、選択するのはあなた自身でなければならないという基本的な流れが双方に理解できるのではないかと思います。

補足

以上ですが、これだけだと少し誤解を受けそうな気がするので補足しておきます。

私の個人的な考えですけど、上で言った理念みたいなものはあくまで平時の、子供との関係という面から見た場合の方針みたいなものであって、親というのはそれとは別に

「いざとなったら絶対に子供を守る」

という覚悟とか、あるいは子供自身についても

「絶対に許せない一線を越えた場合は、有無を言わせず従わせる」

という気概も持ち続けていなければならないと思っています。

私の考えでは、子供の自由というのは前提としてこのような親側の確固とした意志の範囲における自由なのです。

……自立するまでの間の話ですが。

ただ、これは別に子供に言わなくてもいいことです

実際にそういう状況になったらそうするというだけであって、もちろんそんな事態は起こらないほうが良いのですが。