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自己変革は成功の手段か
よく、
「成功するには、自分自身を変えることが必要だ」
と言われます。
自己変革です。
自己啓発のようなノウハウや成功法則の知識をいろいろ知れば知るほど、自己変革の必要性、自己改革する方法……それが成功する絶対条件だと思い込むようになります。
それはもう当たり前の、前提のようなことに思えてきます。
それで結局のところ、成功したいと思っているほとんどの人は初めは文字通り
「成功する方法」
が知りたいと考えて、その方法を求めて成功法則、自己啓発のという世界に足を踏み入れるのですが、その道を進んでいけば必ず、その自己自身がいつの間にか
「自己変革する方法」
を探しているということに気が付くのです。
もちろん、私もそのように自然に信じ込んでいました。
成功者のマインドを真似することだ。その考え方や行動を身に付けなければならない。
成功するには、まず自己の考え方を変えなければならない。
過去の行動を変え、成功する人が持つ習慣を学んで、自分も成功者のように振る舞って……。
成功法則、成功哲学は常にこのようにあなたに訴えかけます。
つまり、
「自分を変える」
ということは成功する方法というより前提条件であって、いつの間にかそれが自分にとっての最重要のメインテーマになっているのです。
成功は自己否定の先にある?
だって、成功者と呼ばれるような偉人や富豪といった人々の話を読んだり聞いたりするほど、確かに自己自身がそのままでいて、それらの人々と同じような大きな成功が成し遂げられる道理がない、と思うのはある意味当然でしょう。
あるいは、よくこういう話も聞きます。
たとえば、
「私も以前はあなたと同じようにダメだったのです」
「いや、むしろふつうの人よりももっと悲惨な状態だったんです」
「能力も素質も、知識も人脈もなんにもなかったんです」
……なのに成功するんです。
否、むしろそんな状態を経験するからこそ、自己をそこまで追い込み、自己否定するからこそ
「変われたんです!」
そして、変われたからこそ
「今の自分がある」
「今の成功がある」
……って言うんですよね?
そっか……。
やっぱり、今までの自分がいけないのだ。自己自身を変革することなしに、成功という結果だけを求めるなんて愚かなことなんだって。
でも、それは本当ですか?
私自身も、長いこと
「自分を見つめる旅」
をしてきたような気がします。
そして、もちろん必要ならこれからもそうするかもしれません。
でも、実際はいくら自己自身を見つめても、結局答えは出ないのではありませんか?
自己のどこをどう改善すると成功に近付くのか……それをもっともっと明確に、完全に知ろうとするので、いつまでも情報収集や勉強が際限なく終わらないのではないですか?
もっと新しい情報、もっと新しい知見に触れ続けて、一つひとつを慎重に吟味して、考え続けて、そしてあなたは変わりましたか?
自己変革の旅はいつ終わるのか
自分自身を見つめ直し、根本的に変革する。
それはいったいいつ終わるのでしょうか?
あなたの人生の、残りの時間はあとどれくらいありますか?
そんなことをしていたら成功する暇がなくなっちゃうんじゃないですか?
本当は自己を変えたい人などいない
本来、あえて自ら自己否定して、過去の自己を捨てて、根本的に自分を変えたい……なんて考える人はたぶん(ふつうの意味では)ほとんどいないと思います。
自己啓発の話題を読んでいるあなたならば、きっと聞いたことがあるでしょう。
「人間は生理的に現状を維持しようとする機能(ホメオスタシス)が備わっており、潜在意識では決して自らを変化させようとしない」
じゃあ、あなたはどうして自分を変えようとするんですか?
……「自己啓発」したからですよね?
「自分を変えなきゃ、成功なんかできない」
って言われたからですよね。
多くの人はそもそも、単に成功したいだけだったのです。自分を変える方法が知りたかったのではありません。
むしろ、私もずっと感じていたことなのですが……。
あなたは、できることなら
「あなたのままで」
成功したいと思っていませんか?
いや、私はもちろん、それが簡単にできます……とか言おうとしているわけではありません。
ただ、あなた自身の、もともとの気持ちを言ってるんです。
最初にただ素直に、単純に思っていたことって、
「自分を変えることによって成功したい」
じゃなくて、
「ただ単に成功したい」
……のではなかったのかということです。
もし、成功したいと思っている自分自身を根本的に啓発しなければ成功できないと言うなら、では、成功したいという願望を抱いていたもともとの「あなた」自身はいったいどこへ行ってしまったのでしょうか?
ただ、自分探しは意外に楽しいから
自分探しを続けるのも、それはそれで自由ですし、実を言うと自己自身を振り返ったり、深く自己を見つめたりするという行為は、案外面白いものです。
私も、そういう少し哲学チックな思索や想像は嫌いじゃありません。
それに、念のために言いますが、私は
「自己を見つめること」
それ自体が無意味であるとか、やめたほうが良いとか言いたいのではありません。
しかし、とにかく一番重要なのは、結局は、そうやって自分探しを続けている間、あなたが実際には一度も成功しなかったということじゃないですか?
それどころか、世にあふれる自己啓発や成功法則の知識や、あるいは哲学や宗教に関する解釈や主張も含みますが、そういう「自分探し」にまつわる情報を集めている間に、時間はどんどんなくなり、状況はむしろ次第に悪くなり、夢見た成功からどんどん遠ざかっているように感じませんでしたか?
こんなことなら、成功法則など追い求めなければ良かった。
自己啓発などというものに、多くの時間を割いて深入りしなければ良かった。
もっとふつうの仕方で、現実的な方法で、常識的に生きていたほうがよほどマシだったのではないか?
……そんな疑念と後悔がふとした瞬間に湧き起こるのです。
ふつうに生きるって?
しかし。
一方であなたは、心の奥底でこう感じていませんか?
……いや、私もそうだから言うんですけど。
つまり、私はそもそも、ホントの本音を言えば、こう感じている気がするんです。
嫌なんです。
常識的な考え……そんな考え方を自分はそもそもできるはずなどないんです。
もっと現実を見て、現実的な生き方をすればよかった……と少しは考えることもあるかもしれませんが、でも、自分が今まで生きてきた道を振り返れば、自分の気持ちに素直に耳を傾けたなら、
「自分はそもそも、そんな生き方などできるわけがなかった」
ということも薄々気が付いているのです。
つまり、結局自分にはこの道しかなかったんです。
成功こそ自己を変える手段のひとつ
極端にはっきり言います。
私は、
「成功するには、自分自身を変えることが絶対必要だ」
とは思っていません。
しかし、私は、
「自分自身を変えるには、まず成功することが必要だ」
とは思っています。
もちろん、
「自己」というのが何を指すのか?
あるいは「成功」という言葉が何を意味するのか?
……といった詳細な論点がいろいろ出てきます。
確かに、成功法則の内容や、自己の思考の流れを具体的に見ていくと
「自分を変える必要性がある」
というのは、ある意味では正しいと言うこともできるのです。
正しく理解する必要があります。つまりこれはある意味では単なる言葉の問題なんです。あるいは、表現方法としてはあり得る言い方であり、実は間違ってはいないんです。
……しかし、この前提が往々にして私たちを成功から遠ざけ、自己啓発に長期間拘泥し、思考の罠に陥る原因になるのです。
だから私は今、あえて強く逆のことを言いたいのです。
「成功はむしろ自己変革の手段」
であり、
「自分を変えるには、まず成功することが必要だ」
と。
もしあなたが何かしらで成功したいと願っているなら、あなたとって一番重要なのはもちろん成功すること自体であって、もし成功につながらないのであれば
「自分を変える方法」
あるいは
「本当の自己自身を探す方法」
などは、実は主要なポイントではありません。少なくとも、今優先すべき問題ではないのです。
違いますか?
ただし言っておきたいのですが、世の中には、自分の、個人的な成功などそもそも望んでいない人たちもたくさん存在します。
そうなると前提が違いますから当てはまりません。
たとえば、自己自身を見つめ、常により高い自己を目指す求道的な生き方を理想としている人にとっては、成功などという言葉のほうが無意味に感じるでしょう。
というか、その人にとってはまさに
「自己変革=成功」
ということになりますね?
でも、すべての人にとってそうではありません。
少なくとも……自分自身がそもそも何を望んでいたのかをもう一度思い出してみるべきではないでしょうか?