自己啓発本もそうですが、市販本に限らず著名なメンターやセラピスト、カウンセラーなどと呼ばれる人の本や音声、DVDなどがたくさん出版されています。
講演会とかセミナー、あるいは個別のカウンセリングなどもけっこうな額で開催されているようです。
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自己啓発する人はお客さん
何となく、占い師さんとか、霊感商法とかとイメージが重なっちゃってるというのも否めませんが……とにかく、興味のない人から見ると、自己啓発というのも、やはり形のある商品を売ってるわけじゃないので、どうしても客から金を奪い取ってるように見えてしまうところがありますよね?
ノウハウコレクターとかよく言うじゃないですか。でも、それって主催者側から見ると一番いいお客さんですよね? 常連客です。上客です。
だから、もしかして、わざとそうなるように教えてるんじゃないの? ……って少し訝りたくもなりますよね?
あと、しつこい勧誘などに悩まされる場合もあり得ます。
一度関わると色々面倒なことになりそう……っていうイメージはありますよね?
多くのセミナーで、受講生にセミナーのプログラムの一環として知人などを勧誘するように仕向けるという話も聞いたことがあります。やってる本人はそう思っていなくても、見ているほうは何となく集客の道具に使われてるみたいで、あまりいい印象を持ちません。
あるいは、騙されたとは言わなくても、たとえば、提供される内容に対して、あまりにも高額過ぎるのではないかと感じることもあります。
何を求めているかにも依りますが、たとえば、自分が市販の自己啓発本を買って読むだけであれば、その有効性はともかく費用としてはそれほど大騒ぎするようなほどではないでしょう。
まあ、他の本を買っても同じですからね。
教材や参加費が高額過ぎる
しかし、特別な商材や自己啓発セミナーとなると、ムダになったと言って諦められるような金額ではない場合も少なくありません。
多くの場合、そういった商材やサービスを求める人は、大きな期待や思い入れを持って契約することでしょう。
「自分を変えたい」
「人生を劇的に変えたい」
といった強い願望があって、それが実際にできると信じて購入するわけでしょう。それだけに、けっこうな高額のものでも思い切って購入するのです。
それが最終的にまったく効果がなかったということになれば、そのダメージは計り知れません。気持ち的にも。
そして、たいていは文句を言っても払ったお金は戻ってきません。
少なくとも、本人の意思で、自分がそれによって何を得たいのか?
何を価値と考えてそれを求めるのか?
冷静によく考えたうえで決断するのが良いでしょう。
しかし、けっこう大きな企業でも、自己啓発的なものに補助手当を出したり、社内に人を招いて研修をやったりするのは珍しくないようです。たぶん費用は相当なものでしょうね。
それでもやるんだから、それなりの効果があるということなんでしょうね?
それはもちろん仕事に直結する内容のもののほうが多いでしょうが、中には、けっこう精神論的なものや、いわゆる修行みたいな、自分の限界を超えろー! みたいな手法を使うものも過去にはありましたよね?
最近は稀かもしれませんが、どうなんでしょうね?
料金=価値、という信仰
セミナーでも何でもそうですが、ひとつ言えることは、ごく常識的な考え方をする人ほど、
「価格や料金が高い=それだけの価値がある」
という、ほとんど信仰とも言える感覚を持ち続けているということです。
これは、理論的には正しいようにも見えますが、正直言って、今の時代になったら、これはもはや「古き良き信仰」と言わざるを得ません。
現代、モノの値段の決め方のルール自体が大きく変わっているように感じませんか?
あるいは、価値の基準そのものが大きく揺れ動いています。あるいは……価値という言葉が表すものの中身、内容そのものがあいまいになってきているのです。
でも、人間は素朴な心理としては、値段が張るものほど価値が高いだろう。料金がそれなりに高いのは、きちんと効果がある証拠だ……というふうに判断してしまいがちです。
料金を決めている側は、もちろんそれを知っていて、自分が好きなように料金を決定できる立場にあります。ですから、値段や料金以外の部分でそれ自体の価値をどう判断するかという自分なりの基準や肌感覚を持つ必要はあるでしょう。
自己啓発にまつわるトラブル例を見て思うこと
自己啓発セミナーと聞いただけですぐ怪しいとか危険とか宗教だとか……そういうイメージを抱く人もいるかもしれません。まあ無理もないですが……。
といっても、多くはいわゆる講演会みたいなもので特に害のないものです。
役に立つのかどうかははっきりしないとしてもですね……まあ、行って終わり、です。


ですが、一部にはかなりディープな(?)ものもあるやに聞き及んでおります。
参加者をかなり精神的に追い詰めたり?
自由な意思で発言できないような状況を強制的に作ったり?
単純には判断できない部分
ただ、別に擁護するわけじゃないですが、これだけだったら……一昔前だったら一般の企業内でのセミナーや新人研修なんかでもけっこうふつうにやってましたよね?
程度の差はあれ。
ですから、そのようなプログラムを用いるセミナーも、そうだから100%悪いというようには言い切れないところもあります。
ただし、私個人的には、そんなものに参加したいとは思わないですけど。
AmazonPrime(30日間試用あり)なら映画、音楽、Kindle本から対象作品が無料で利用できますよ。
いずれにしろ、一部にはそういうものを経験したために、その後の日常生活や仕事上での問題が起こったり、人間関係のトラブルに発展したり、あるいは神経症のような精神的な障害、そこまで行かなくても本人が深い後悔や自責の念に苛まれるなど、明らかに
「やらないほうが良かった」
と言わざるを得ない事例も確かにあるようです。
実際に身近で見たことはありませんけど、しかしこのような被害というのはすでに社会で表面化しており、否定し難い事実でしょう。
ひとつだけ言っておくと、ごくふつう、企業向けのものとか、あるいは大々的に広告宣伝しているようなものはほとんど大丈夫ではないでしょうか?
いわゆるビジネススキルや、チームワーク論やマネージャー研修のような、仕事に直結するようなテーマのセミナーや研修であれば、仮に
「自己啓発」
という名称が使われているからといって、頭から怪しいと思い込む必要まではないように思います。
もちろん一概には言えませんが、印象として少なくとも、友人、知人から個人的に誘われる場合が最も注意が必要です。ていうか、私としてはおすすめしません。
自己啓発と「自己啓発セミナー」は同じじゃない
いずれにしろ、自己啓発セミナーと呼ばれるものの一部が非常に問題のあるものだということを私も否定はしません。
ただ、私は自己啓発セミナーを擁護する気はないんですけど……自己啓発そのものは擁護したいんですよ。
だから、一般に「自己啓発」という言葉を聞くと即そういった「自己啓発セミナー」を典型としてイメージするのは、それはまたちょっと違うんですよね?
そういう人もたまにいらっしゃいますが……少なくとも、その手の自己啓発セミナーというのは、別に「自己啓発」の代表例でもないし、典型的な形でもありません。
これは、一部の新興宗教が「宗教というもの」全体を代表しないのと同じです。それはむしろ例外であり、異端なわけです。
悪質な業者には共通点がある
私の印象ですが、はじめから客を騙してでも利益を上げようと考えているような悪質なセミナー業者や団体には共通の特徴があります。
この特徴を押さえておくことで、少なくともそのようなセミナーなどに遭遇してしまった場合に、混乱せず冷静に考えて行動することはできるように思います。
ただ、私は実際に特定の自己啓発セミナーを知っているとか、参加したことがある……あるいは、運営したことがあるとかではありません。
ですから、これはあくまで一般論です。というか、これは対象が「自己啓発だから」という、特有の特徴ではありません。
こういう特徴を持つ相手は、どんな分野であれ須らく「悪徳」だと見做せる、というものです。
私がいつも思うのは、たとえば
「最初の話からだんだん話が変わってゆく」
「契約しないといけないように圧力をかける」
「精神的に追い込む」
「こちらの反応によって急に態度を変えたりする」
というような気配が見えたら、それはまず「悪質」と考えて間違いないと思います。
内容について判断する前に判断すべき
こういうのは、常識的に見てもそうですよね?
こういう感じをかもし出してくる業者さんだったら、たとえその商品などの内容や期待される効果がいくら良さそうだったとしても関わらないほうが良いでしょう。
というか、そのような部分があることが分かっているのに、それを置いといて、一応でも「商品の内容や効果」の話に耳を傾けてしまうこと自体がマズいと私は思います。
私自身は、付き合う業者さんや営業の人はまずそういう観点で判断します。
これは自己啓発に限ったことではありません。
……というよりも。
おそらく、自己啓発業界に限らずいろんなところに、そういうセールス手法を常套手段にするプロみたいな人たちがいるのです。
そういう人たちは別に自己啓発関連の業界にだけ存在しているわけではなくて、ありとあらゆる業界にいます。というか、そういう業者は何だって同じ手法を使って売ることができるので、同じ手法でいろいろな業種に参入することができるのです。
つまり彼らは今売っているものに関する専門家ではなくて、
「そうやって何かを売ることのプロ」
なのです。
で、そういう人たちが運営に入り込んでいる場合には、だいたい同じような雰囲気や特徴があるのです。
ちなみに、そもそも自己啓発プログラムというのはその成立過程ですでに一部の宗教とか、ネットワークビジネスとか、軍事訓練で利用される人格操作の技術とか、そういったものが含まれているという話もあります。
もちろん、ふつうに市販されてる自己啓発本とそういうものと同レベルでは語れませんけど……でも自己啓発というものにも、多かれ少なかれそういったものが影響を与えているだろうな、という印象はあります。
受ける側の問題もあり得る
ただし、私は意図的にそのようなスキームやプログラムを構築している組織は全体の中ではごくわずかだと推測します。推測ですけど。
それより実際に多いのは、ごくふつうに自分の信念とか、成功体験をもとに
「本当に良いものだ」
と思って販売している場合です。
多くは、主催者側、販売者側は本当に良いと思えるものをまじめに提供しているつもりなのです。
そして、それにもかかわらず、結果的にそれに依存して金を搾り取られてしまったり、トラブルになったりしてしまう人が発生してしまうということです。
これは、実はむしろ受け手側の問題であることのほうが多いんです。
もちろん、その人から見ると結果的に騙されたようなかっこうになるので、悪徳業者だ! と叫びたくなる気持ちは理解できます。
しかし、発信している側からするとそれは
「効果には個人差があります」
ということにすぎません。
よく考えると、これも自己啓発に限りません。
英会話スクールに長い間通っているのにぜんぜん英語がしゃべれるようにならない人がいます。
何年もあなたの会社に勤務しているのにいつまでたっても仕事を覚えない部下もいます。
同じものを見て同じように感じるとは限りません。同じ成果が出るかどうかも分からない。
もし、それを利用して本当に役に立たないものを故意に売りつけているというならもちろん問題ですが、自分が結果が出なかったから、だれにとっても役に立たないのだと決め付けるのも論拠が希薄です。
錯誤に気が付いたら離れる
特に、傾向として相手がこちらを騙そうとしている場合には、こちらが意図しないままにいつの間にか話が変わってることが多いです。この場合には注意が必要です。
ふつう、仮に相手が本当にあなたを啓発しようとしているだけであれば、最初に本当の意図を隠して、違うことを期待させるような言動をわざわざする必要はないからです。
つまり、最初から
「ねえねえ、あなたの人生も考え方も一変させちゃうような激しい自己啓発セミナーがあるんだけど、一緒に行かない?」
……って誘ってくれるのなら(別におすすめはしませんけど)、それはかなり良心的なセミナーと言えるでしょう。
その場合、あなたが納得するかどうかはともかく、相手はふつうは最初から整合性のあることを言ってるわけですから。
でも、当初期待していたことと、いつの間にか話が変わっている場合は、だいたいおかしいんですよ。
それに多くの場合、特に悪い人って向こうから勧誘しに近付いて来るので、自分が特にはっきり動機を意識していない場合も多いです。
こういう時には、冷静にもともと期待していた「ご利益」を思い出す必要があります。
それで、相手が誘導した場合はもちろんですが、単に自分の思い違いだった場合とか、期待外れだった場合も含めて、
「あ、違う」
と思ったら堂々と断っていいんですよ。
錯誤は無効が原則
法律的には
「錯誤」
と言いますね。
錯誤の結果やってしまったことは
「無効」
が原則です。
もちろん法的処置に訴えろとか言いたいわけではありませんが、自分の判断や意思決定に錯誤が生じていると感じたら、相手がどう言おうと、すでにそこまでの流れが間違っているのですから先に進まないほうが安全ということです。
あなたが、そこでよくよく迷った挙句に、それでも明らかにそれは役に立つとか、むしろそっちのほうがより良い目的なんだとはっきり納得したという場合なら良いのです。
まさにそれが文字通り「啓発」ということなんですから。
ただ、それによって自分の何が満たされることになるのかをはっきりするのがポイントです。