よく
「決断力がある」
「決断が早い」
という言い方をします。
決断力……と言いますが、それはどこから生まれてくるのでしょうか?
また、どうしてこれほど決断の速さや信頼度に大きな差が生じるのでしょうか?
現代人に要求される「思考のスピード」
決断を早くするには、まず物事を思考するスピードが速くなければなりません。
特に現代人にとって、今の圧倒的な情報量に対処する時にまず考えなければならないのは
「思考のスピード」
です。
仮に、そもそも得られる知識や情報が限られているのであれば、何かを考えようとすればその少ない情報を用いて、さらに想像力を働かせたり、自分なりの考察や意見を十分に練ったりすることのほうに力点が置かれる傾向になるのが自然でしょう。
すると、それこそ細かい点まで考えに考え抜いて結論を出すということが多くなるはずです。
きっと昔の人はそのようにしてものを考えることが多かったのでしょう。
それしか選べなかったと言ったほうがいいかもしれないですね。
だが今はむしろ情報があふれているのです。
過剰と言ってもいいかもしれません。
もちろん、基本的にアクセスできる知識や情報が増えることは良いことだと言えるのですが……ただし、その副作用として私たちは今、すべてのことについてじっくり考えている余裕がありません。
だからいきおいスピードが要求されるわけです。
選択と集中
現代は情報を探し求めることが難しいのではなく、情報を選び取ることが難しいと言えます。
裏返して言うと、どの情報を捨てるかということの重要性が高くなっています。
もちろんよく考えなければならない問題もあります。
必要十分な知識や情報を集めて精査するという場合もあります。
……ただ、限られた時間の中で、よく考えなければならない問題にじっくり取り組むためには一方で
「その他の問題をスピーディに処理しなければならない」
ことになります。
思考にかかる負荷
スピーディであると同時に、思考という作業を行うあなた自身ができるだけ思考について
「精神的負担を感じないようにする」
ということも重視する必要があるでしょう。
現代は昔に比べて格段に理解すべき事柄、判断を要する機会の絶対量が増えているので、すべての問題にエネルギーを費やすと、脳ミソがパンクしてしまうかもしれません。
私たちは思考について
① スピード
② 負荷
という2つの課題を抱えているのです。
個人差が大きい
たとえば今あなたが判断するとしたら丸1日かけて思い悩んでやっと答えが出るような問題があったとします。
それが他の人だとまさに一瞬で判断できてしまう……という場面がしばしばありますよね?
「ほんとによく考えてんのか」
「なんでそんなに簡単に決められるの?」
というくらいあっさり結論を出す人が周りにいませんか?
……そして、それが不思議と的確であることも多いのです。
そのような人物は
「決断が早い」
と言われますが……これはただ単にスピードが速いというのと同時に、
「思考が軽量化されている」
のではないでしょうか?
その判断が正しいかどうかは別として、その人にとっては、それを思考するために必要な精神的な負担がきわめて少なく済んでいるわけです。
次から次へと問題や悩みごとが発生し、かつ重大なことからごく些細なことまで逐一判断を要する機会が多い現代においては、思考が軽量化されていることがとても有効だと感じないですか?
もちろん、それが本当にいい加減だったら意味ないんですけど。
スピーディで負担がなく、それでいて一定の信頼性を持った思考のパターンを見つけること。
そして、できればそれをいちいち特に意識しなくても使いこなせるように身に付けたいものです。
思考の軽量化するための型
思考のスピードとキャパシティを最大にすること……それをポイントと考えて、自分なりの思考法、いわゆる思考の「型」を作ることができると良いですよね?
「型」に当てはめるようにして思考するから迷うことが少ないし、負荷がそれほど大きくかからないわけです。
つまり、この思考の型のことを
「フレームワーク」
とか呼んでいるわけです。
思考のフレームワークと言えるようなものは、それこそたくさん紹介されていますが、ただしそれは、たとえば緻密な関数計算やデータ処理が必要だったり、専門的な特殊な技術を要するようなことではなくて、むしろふだんから使えるような、自分にとって分かりやすいものでなければ意味がありません。
「軽量化」
と呼びましょうか。思考の軽量化を意図したフレームワークが良いです。
錯誤や混乱、または、ものを考えるということ自体に疲労感や徒労感を伴うことなく、自分にとって最も使い勝手のよい
「ものの考え方」
を見い出す必要があります。