おそらく
「嫌いな人」
の話をする時に多くの人は学校や職場で毎日顔を合わせなければならない特定の相手を思い浮かべると思います。
その嫌いな人というのはクラスメイトだったり、仕事ならばたいてい職場の直属の上司だったり、取引先の担当者や顧客であったりするので、前提として
「嫌でも何とかして良い人間関係を構築しなければならないが、どう対処するのが最善か?」
という発想になることが多いのではないでしょうか?
だれでも、単に嫌いだと思うから無視するとか、排除するというような考え方は
「人間として良くない考え方だ」
という常識の縛りと言うか、ある種の固定観念があるからです。
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単に嫌いな人を回避する方法
ただし、一方では、たとえばたまたま参加した飲み会やパーティーでの、その場限りのお付き合いの場において、嫌な感じの、あなたが嫌いなタイプ人が近付いてきた時にどんな態度を取ったら無難に距離を置くことができるか……という状況でも
「対処法」
と言えるものはあり得ます。
むしろ、まず単純に不特定の
「嫌なタイプの人」
に対する接し方のほうから考え始めてみると案外スムーズに腑に落ちるのではないかと思います。
そこで、最終的にこの記事では14の項目に整理していますが、まずごく単純に嫌いな人と相対した時にその場をどう乗り切るかという点から考えていきます。
たとえば飲み会やパーティーに出席した際にたまたま近付いてきた人があなたの嫌いなタイプの人だった……とイメージしてみてください。
あるいは、仮に学校や職場に嫌いな人がいるという場合でも、別に直接利害関係がなく、単に関わり合いにならなければいいという状況なら同様に考えられるはずです。
……というか、そちらから考えたほうが問題が明確になると思うわけです。
まず基本的な方針を自問する
大まかに言うと、たいていそういう人というのは(少なくともあなたから見ると)
「公衆道徳を守らない人」
「常識をわきまえないタイプの人」
「失礼な人」
または
「空気が読めない人」
「馴れ馴れしすぎる人」
「あなたをぞんざいに扱う人」
「あなたを軽視する人」
などですよね?
要するに……まず前提としてあなたが嫌いな相手というのは、少なくともあなたが主観的に見たら
「明らかに相手のほうが悪い」
「相手に落ち度や欠点があると思う」
から嫌いなわけですよね?
さて、ここであなたがまず選択しなければならないことは、その嫌な相手に対して
「あなたはその人を撃退したいのか、それとも回避したいのか?」
という点です。
もちろん、いわゆる良心的な解釈の仕方として、その嫌いな人について、たとえば
「それでも長所を見るようにする」
とか
「その人の行動の背景とか真意に思いを馳せる」
……といった考えがすぐに浮かぶと思いますが、それがあなたの気持ちをむしろ混乱させる原因になりますから、その面のことはいったん置いておきましょう。
自分の気持ちを素直に感じることから始めよう
すると、あなたの気持ちとしてあり得るのは
「撃退したい」
とか
「説得して、相手を修正したい」
という場合です。
つまり相手の非を指摘して自覚させ、場合によってはきちんとした謝罪や反省を求めたい。
あるいは、相手がどれだけ悪いのかを認めさせ、その結果として周囲の人は迷惑しているし、その人自身も不利益を被ったり精神的にダメージを受けることになるのだ……というようなことを相手に思い知らせてやりたい。
少し違う側面から言うと、あなたはその嫌いな人の悪い点を悟らせ、直してあげたいと思っている。
これが嫌いな人に対して抱く感情として典型的なもののひとつです。
そして、もう一つあり得る感情としては
「回避したい」
ということですよね?
はっきり言って、その嫌いな人がどうなろうと知ったことではない。
そこにはタッチせず、単に自分が不利益を被ったり不愉快な思いをしたりすることがないようになれば良い。
ただ単に近付きたくない。
自分のテリトリーに入ってきてほしくない。
……という気持ちです。
だいたい、素直に認めるならば、嫌いな人に対する人間の感情というのはこのどちらかしかありません。
ここがあいまいだと状況依存的になってしまい、さらに
「怒り」
「憎しみ」
「恨み」
……というような、より好ましくない感情が蓄積されてしまうことになるのです。
人間関係というのはこじれるほどに予期せぬ大ごとになったりする危険性もあります。
ですから、そうなる以前に自分の素直な気持ちを自覚してしまう必要があるのです。
つまり、嫌いな人への対処法として、私がまず挙げたいのは
① 相手と関係する自分の立ち位置をはっきり定める
ということ。これは非常に大切だと私は考えています。
繰り返しますが、人間関係において悩みがちな人の特徴は、どんな相手であろうと分け隔てせず均しく公平に接しなければならない……というように思い込んでしまっていることです。
そもそもそんな必要はありません。
さて、話を戻しますが、相手が
「嫌いなタイプ」
「苦手なタイプ」
だと感じると、ふつう直感的にはなるべく接触を断ちたいと感じます。
嫌いは人とはできるだけ話したくないに決まってます。ですから、嫌いなタイプの人と接すると、だれだって口数がいつもより少なくなってしまったり、興味なさげに黙って頷くだけになってしまったりするのです。
これは自然なことです。
そして、ふつうはこちらがそういう態度を見せれば当然それは相手に伝わる可能性が高いですよね?
ということは……ある意味当然なのですが、こういう態度をあえて(しかし、あくまでさりげなく)取ることは、相手が善意である場合には効果があります。
つまり、相手が特に悪気がなく、単にこちらが嫌がっているということに気が付いていないだけだった場合
「あなたが苦手な態度や言動」
を取っているその相手には、単にさりげなく
② こちらが困っている、嫌がっているということを仕草や態度で示す
だけで、それを察して修正してくれる可能性は高いです。
これは考えてみればだれでもすぐに分かるごく単純な嫌いな人への対処法と言えるのですが……。
ところが、人によっては
「相手がどんな人でも、そのような素振りを見せてはいけない」
という変な倫理というか、平等意識みたいな感覚が身に付いていることがあります。あるいは、自然にそのような行動パターンが身に付いてしまっている場合……それが結局自分を苦しめる原因になっていたりします。
もちろん私たちはふつう日常的にはあまり意識せずともお互いが察し合い、場の空気を読み合うことで自然に人間関係を調整しています。
ですが、本心を隠してまで
「どんな時も好意的に受け取られるように振舞わなければならない」
などというルールは存在しない、ということを意識的に確認してみましょう。
……そんなルールは存在しないのに、勝手に自分だけにそういうルールを課している場合があります。
そもそも、相手はそんなルールまったく無視してあなたに近付いてきているわけで……だからなたはその人が嫌いなんでしょう?
ならばどうしてあなたのほうだけが一方的にそんなルールを守らなければならないのでしょうか?
いわゆる「KY」な人
ただし、上で言ったことは相手が自発的に修正することを期待する方法ですから、もちろん相手が気にしなければ効果はありません。
だいたいが、嫌われやすい人というのはいわゆる
「察しが悪い」
人です。
また、中にはむしろ相手が困った表情や嫌がる素振りを示すと喜んで余計調子に乗るようなタイプの人も少なくありません。
よく考えると……先ほど言った
② こちらが困っている、嫌がっているということを、仕草や態度で示す
って、それだけで察してすぐに修正してくれる人というのは実際のところ、そんなに嫌な人でもないですよね?
つまり、たいていの人が困っている「嫌いな人」というのは、そもそもふつうの対処では通じないような人だから困るわけです。
嫌いな人ほど近付いてくる法則
ここで、ひとつ大原則です。
「嫌いな人というのは避けると余計に近付いてくる」
という性質があるのを覚えておきましょう。
単に避けるだけではうまくいかない場合も多いということです。
もちろん基本的に避けたいわけですが、避けたいからこそ一時的にこっちからアプローチする必要が生じるわけです。
そして、そのアプローチの方法ですが、実はそういう相手に対処するには、できることならば
③ あなたがその場の雰囲気や会話のリーダーシップを取ってしまう
のが最も効果的です。その嫌な相手に会話や状況のイニシアティブを奪われないようにこちらから誘導するのです。
社交的なタイプの人や、話し上手な人を観察していると気が付くと思いますが、そういう人というのは、たとえ相手が職務上は上司だったり目上の人だったとしても(もちろん言葉遣いや礼儀などを指摘されない程度を外すことなく)会話の主導権を取ったり、話の流れをコントロールしたりできていますよね?
もしあなたがそういうのが得意なタイプだったら……嫌いなタイプの相手に対してかなり有効な対処法になります。
要するに、その人を雰囲気的に
「蚊帳の外」
に追い出してしまえばいいわけです。
受け身に回りやすい人
……しかし、あなたはもしかすると、そういうことが苦手かもしれません。どうしても聞き手、受け手に回りやすい性格だったり、初対面の人と話したりすることにストレスを感じやすいのかもしれません。
すると、内心では苦々しい思いをしつつも、無理に相手に合わせて会話したり、ずっと黙ってニコニコしていなければなりません……これはけっこう苦痛ですね。
こういう時には、少なくとも内面で、つまり心理的に相手の風上に立つようにしましょう。
と言っても、別に内心で相手を蔑んだりわざと憎んだりするのは良策ではありません。
よく言われるのは
④ 嫌な相手の心理分析をしてみる
という方法です。
相手の無意識的な欲求や潜在的なフラストレーションの原因は何なのかを想像して仮説を立てます。
まるで心理学の権威か、そうでなければ小学生を相手にする担任の先生のような気持で。
それに応じて実践的な対処ができればより効果的かもしれませんが、そうでなくても単に一歩引いて分析してみるだけでも気分的にはかなり楽になり余裕を持てることが分かるでしょう。
それに直接言わなくても、あなたが内心でそう思っているだけで多少は雰囲気や言動から気持ちは洩れますから、相手も次第にあなたが発する態度や表情、雰囲気に違和感を覚えて態度が変わる可能性はけっこうあります。
たまに、そういう微妙な違和感をなぜかすごく敏感に察知して
「何か言いたいことがあるのかよ!」
というように強気で押さえつけようとしてくるような性格の人もいます。
ちょっと怖いタイプの人で、怒らせると何をするかわからない……というようなタイプの人。
当然あなたが受けに回りやすいタイプの人だとすると、そんな人は特に苦手だと思う確率も高いですよね?
ただ、もしそうなっても対決する必要は原則ありません。
「え? ぜんぜん、そんなことありませんけど~」
とか言って笑顔でかわしてください。
そこは完全にスルーです。
その時に内心で自分が悪かったのかなとか、やっぱりこの方法はダメだったのかな……とか反省しないでください。
あなたはただ、そんな態度をとってくるその相手の心理をさらに冷静に分析し続けるだけでいいのです。
高みの見物、という感覚で。
常にそうしていると、そのうち相手は勝手にあなたから遠ざかっていきます。
強制終了する
もし、これらの方法でどうにもうまくいかない時には、
⑤ とりあえずその場を中座する
という方法もあります。可能な状況ならばさっさと帰ってしまえばいいのです。
あるいは、どうしてもその場を動けない状況、たとえば同じイベントなどに参加している最中だったりする場合は……それでも、いったん会話の流れを切るために席を立ちます。
要はその場の雰囲気や会話の流れを断ち切ってしまえばいいわけですから、電話でも手洗いでも何でもいいので何かしらの理由を付けて一度その場を立ち去ってしまうのです。
流れがつかめなかったりして、うまくいかなかった場合でも、こうしていったん仕切り直して冷静になれば、次はうまくいく可能性が高くなります。
あるいは、これが少しコツみたいなことですが、自分の席などに戻った時には
「まるでそれまでの流れを忘れてしまったかのように急によそよそしく振舞っても構いません」
まるで直前の記憶を失ってしまったかのように。別人格になったかのように。
あるいは、その瞬間が相手と初対面であるかのようにです。
遠慮がちな人や気の小さい人はこれがなかなかできないのだと思いますが……でも、安心してください。
ほとんどの場合……それは取り越し苦労です。
基本的には、そのような状況で相手がどう感じるか、そんなあなたの行動を相手がどう解釈するかといったことに気を使う必要はぜんぜんありません。
そもそも、嫌な人の多くはまったく悪意なく、ただ気が付かずにやっている場合が多いのです。なので、あなたがどうしてそのような行動を取るのか理解できません。
で、相手の行動が理解できない時、多くの人間はどう解釈するかというと……相手はおそらくまったく見当はずれな別の理由を思い浮かべて勝手に納得するだけですから。
基本的に人間はだれでも、自分にとって都合の良い理由をくっ付けて納得しようとしますから。
「あれ、もうさっきの話は終わったと思ってるのかな……」
とか
「雑談ばっかりしてる場合じゃないもんな」
とか。
そもそも、あなたが何かを気にしてわざと自分から離れたのだと相手が察したとしても、別にそれであなたを責める権利は相手にはありません。
と言うか……それで実際何か言ってくる人はほとんどいません。
いずれにしろ勝手に思わせておけばいいのです。どうせその人とそれ以上仲良くなる必要なんてないのだから。
嫌いな人を撃退する方法
さて、上記の対処法は多くの場合有効ですが……中にはこんな対応策などかんたんに突破してくる筋金入りの「嫌な奴」も世の中には大勢います。
なので、上記のようないわゆる回避策、基本的に波風立てず受けに回るやり方ですね……これだけでは対応しきれない場合が出てきます。
そこで次に大切なことは、
⑥ 越えさせてはならない一線をあらかじめしっかり考えておく
ことです。
つまり、このラインを超えたら(これはあなたの基準でけっこうです)きっぱり対応方法を変える、という具体的な一線をふだんから考えておくこと。
「これ以上やったら対応方法を変えるぞ」
という脳内シュミレーションをあらかじめしておくことです。
これは別に特定の相手を想定しなくても、自分の価値観、ポリシーとして明確にしておけばいいです。
ただし、もしあなたの頭の中で、今すでに特定の「嫌いな人」が思い浮かんでいる場合……この場合はですね、よくありがちなのが
「この前は、思わずあいまいな態度を取ってしまったけど……今度同じことをしたら、決して相手のペースにならないように……」
というふうに考えがちなことです。
これ、現実の場面ではなかなか実行できないと思います。
だってすでに一回許しちゃってるから。
相手から見ても、自分で考えても、整合性がないので自信を持って行動しにくいのです。
ですから、
「今すでに受けている迷惑、嫌なこと」
……これはいったん甘んじて受け止めるという知恵も必要です。
しかし、それ以上の、より迷惑な行為、より悪質だと思う、あなたにとって許せないこと……そこにあなたの一線を決め、しっかり胸に刻んでおきましょう。
いわば、防衛ラインを下げるということです。
外堀はすでに侵入されているので、いったん兵を引いて内堀を死守するしかない……みたいな感覚です。
話を戻しますけど、なんとかその場をうまく取り繕おうとあなたが配慮しているにもかかわらず相手が頭に乗って、越えてはならない一線を越えてきてしまった場合。
または、最初から相手を懲らしめたいとか、はっきり意思を伝えて撃退したいという意図がある場合。
こうなると当然あなたも考え方を切り替えなければなりません。
この前提だと、方法論としては
⑦ 相手を物理的に排除する
ということになります。
物理的な排除とは、
「上位者(上司や先生など)にチクる」
「無視する」
「いっしょに行動しない」
「グループから外す」
「仲間外れにする」
といった方法です。
はっきり言って……いわゆる「いじめ」ってやつに近いですね。
私は別にいじめ肯定論者ではありません。
でもですね……嫌いな奴との接し方で悩むということは、その時点ですでに相手のほうがある意味であなたをいじめてるのです。
正当防衛というか、これは対抗措置です。
仮に、手法としては同じでも目的が違います。
当然、これは上で言ったような通常の対処法が効かない相手だからです。
あるいは、例外的に自分でも本来良くないことだと分かっているのに、あえて迷惑な行為や、配慮に欠けた言動をしてくる人もいますよね?
そういう人には、こういう実力行使が有効なことがままあります。
それでも気が進みませんか?
悪に悪で対抗するのは愚かなことだと?
では、
⑧ 相手の非をはっきり伝える
ことにしましょう。
あなたは相手のどんな行動で困っているか。
どんな迷惑を被っているのか。
どんな点が嫌いなのか。
……正々堂々、とっくり説教してあげましょう。
相手が聞く耳を持たないなら、聞かざるを得ないように「ブチ切れて」もいいです。
殴っちゃダメですけど。
しかしひとつ注意点というか、ここでもコツみたいなものがあります。
⑦ 相手を物理的に排除する
⑧ 相手の非をはっきり伝える
このような手段を取るべき相手というのは、たいてい善意で「嫌な感じ」のことをしてくるというようなタイプの人ではなくて、むしろ「悪意(故意)」にそういうことをしている人です。
完全にわざとじゃないとしても、そういう人は、そのようにして今までも無理を通して道理を引っ込めさせてきたのです。
相手がそのようなタイプだからこそ、この手の手法を用いることになるわけですが……しかし、そういう人というのは逆にあなたの態度や言葉尻を捕まえて、あなたのほうが悪いというような展開に持って行こうとする可能性がけっこうあります。
本来の正論を言えば自分のほうが悪いということをある程度分かっているから、逃げ道を準備しておくくらいのワザは持っているのです。
今までもそうしてきたから、どちらかと言えば悪いことだとしても、自分のそんな行為や態度はこれまでも許されてきたんだから、これからも許されるという妙な確信を持っているのです。
そういう人の場合は少し注意が必要です。
まるで有罪の被告人を無理やり無罪に持ち込む悪徳弁護士のような狡猾さを兼ね備えているわけです。
多くの人は、嫌なタイプの人に相対すると、真っ先にその相手がどう感じるか、どう反応するか……という面に神経を奪われます。これはもちろん人間の当たり前の反応なのですが、実はそれを考えてもほとんど効果はありません。それどころか逆に相手の術中にハマります。
そこで、こういう場面で大事なのは、その相手そのものでなく、周囲であなたと相手のやりとりを見ている第三者です。つまり、周りにいる直接的には関係ない人。
これらの人を、こちらの味方に付けるということが肝要です。
つまり
⑨ 自分の側を多数派にする
という一種の策略と言うか、権謀術数が有効です。
相手が悪徳弁護士のようなタイプなら、それに打ち勝つには先に陪審員をこちら側に引き寄せておくことです。周囲の多くの人を味方に付ければ「多勢に無勢」です。
とはいえ、状況が推移するとあなた自身の感情も変化していることがあります。それによって、あなた自身が嫌な奴にならないように注意してくださいね。
一番最初に言ったポイントを思い出してください。
① 相手と関係する自分の立ち位置をはっきり定める
これは大原則です。
嫌いな人に振り回されない生き方
以上9つの対処法について書きましたが、実はこれらの方法は一般的に有効ではあるものの、あくまで相手に合わせた受け身の方法論とも言えます。
本来を言えば、そもそも嫌な人に振り回されたくないものです。
というか……そもそも嫌な人なんてあなたの周りからいなくなってくれたらどんなに良いでしょう。
よって、今度は
「嫌いな人に振り回されない自分になる」
という観点で考えてみましょう。
嫌な人より→自分に目を向けよう
「なんて嫌な奴だ」
「あんな嫌な人と、どう接したらいいの?」
と、多くの場合その相手を避けるとか、やり過ごそうとか、場合によっては無視したり仲間外れにしたりと……。
それらの対処法は、基本的に視線がその相手に向かっていますよね?


でも、嫌いな人に対処する……と言っても
「嫌いだけど、でも良い人間関係を築きたい。それには、どうしたら良いのか?」
という問題意識を持っている人もいるでしょう。そうなると、前述の対処法だけではあまり有効ではありません。
もちろん、同じ職場で働く同僚なら嫌な人でも協力的な関係を維持しなければならないし、なるべくならうまく付き合いたい。
自分の上司だったりしたら余計に重要ですよね?
また取引先の担当者、顧客の中にも苦手なタイプは必ずいます。
だからこそ、相手がどうであろうと、自分自身がなるべく幅広いタイプの人と付き合えるような「許容量」を持つことが重要になってきます。
ストライクゾーンを広げるというか。
そこで一度、自分自身のほうに目線を戻して考えてみましょう。
すると、もちろん一般にもよく言われるように、
「相手の良い部分を見つける」
「避けないで、むしろ自分から積極的に近付く」
「くよくよ考えない。いつも笑顔でポジティブに」
といった心構えを持つことは非常に有効です。
(けど……そんなことはあなたもたぶん分かってると思うので、今回は、それ以外の方法を考えましょう。)
嫌な人に振り回されなくなる方法
となると私がすぐに思い付くのは、単純に言ってまず
① 人間の心理の動きに詳しくなる
ことを考えるべき、ということです。
人間の行動や、性格形成の「背景」を考える習慣を持つことが非常に有効です。
それには、まず単純に言って多くの人間とある程度の親密さを持って接する経験を増やすこと、また、本を読むことです。
もちろん心理学や社会学に関連する実用書も有効ですが、人間の心理描写の多い小説や文学作品も良いです。
また、たとえば映画やドラマなどでもシュミレーションは可能なのですが、その場合には言葉として直接的に心理描写されるわけではなくて、全部が映像や役者さんの台詞によって示されます。
すると、私たちは特に意識しない限り、そこに登場するキャラクターの性格とか、選択する行動についても
「自分の常識や、感情の傾向に沿って」
推察するだけになってしまいがちです。
しかし、当然ですがあなたの解釈は別に「唯一の解釈」ではありませんよね?
だから、自分が直感的に浮かべた理由付けとか、人の心理とかについて
「これとはまったく別の見方、解釈ができないだろうか?」
と考えてみることが有効です。
友達と話し合ったりしても意外な感じ方の違いを知ることができたりします。
ちなみに、最近の映画やドラマ、アニメや漫画もそうですが、最初は悪役だと思っていた人が実はすごく善人だったり(あるいはその逆)、または、敵対しているどちらの側にも感情移入すべき背景があって、単純に善玉と悪玉という図式では理解できないような作品が多いですよね?
言ってしまえば当たり前ですが……世の中には、自分とはまったく別の価値観や、境遇や、背景を持った人々が存在します。それらを複眼的に予測、推察する力があると、結果的に
「嫌うべき人のタイプ」
というのが消去法的に少なくなっていきます。
するとその分、別に避けたり、変に相手に合わせたりする必要性そのものがなくなっていくのです。
② 嫌いな人より上の立場に立つ
次に、これは身もふたもない言い方かもしれませんが……もし特定の嫌いな人がいるとして、
「自分のほうがその人より圧倒的に立場が上」
だったら、けっこうどうにでも対応できますし、そもそも好きか嫌いかとか、そういう視点で相手を見ることすらなかったかもしれません。
ところが、特にその嫌な相手が直属の上司や、会社の偉い人だったり、先生とか、自分を指導してくれる立場の人だったり……。
つまり、嫌いなんだけれどもその相手に依存せざるを得ない状態だったりするからこそ……相手の嫌な部分がより増幅されて映ります。
さらに嫌なのは、それに耐えなければならない自分自身が許せなくなることです。
それでは否応なくストレスが蓄積され、自信を失ったり自己卑下したり、自分を責める気持ちが出てきたりと、ダメージが大きくなってしまいます。
人が特定の他人を「嫌いだ」と感じる理由というのは、相手の特性や行動パターンそのものよりも、実は相手との立場の違いや指示命令系統のような関係の構造的な問題が大きいです。
ですから、嫌いな人とうまく付き合うには、少なくともその相手より自分のほうが立場が上になれば良い。
これは理屈で言えば非常に分かりやすい単純な解決方法と言えます。
ただし……もちろん分かります。
「それができれば苦労はない」
ですよね?
もちろん、会社の中で嫌いな課長さんをいきなり追い抜いて、あなたがすぐに部長に昇格できるかというと、そんなことはあまり想定できないかもしれません。
ただ、もう少し長期的な視点に立てば考慮すべきことはあります。
仕事の進め方を見直して、相手との接触度合いや連携のしかたを変更できないでしょうか?
自分のスキルを向上することで、少しづつ関係のしかたを変化させることはできないだろうか?
短期的には難しいとしても、少なくとも、
「その嫌いな相手にどう対処するか?」
ということに日々頭を悩ませているくらいだったら
「今より少しでも自分が成長して相手に対する依存度を下げる方法はないか?」
ということのほうを考え、それに取り組むことに時間を使ったほうが自分にとって有意義だと思いませんか?
③ 自分の周りに「好きな人」を増やす
今度は、自分の主観的な感じ方を変化させることができないかと考えてみると、仮にその特定の相手との関係自体はまったく変えられないとしても、
「あなた自身を取り巻く人間関係の全体像」
が変化すれば、その中にあって嫌な人との関係の重要度や心に占める割合は違ってくると考えられます。
私が特におすすめしたいのは、いったん、嫌いな人のことは放っておいて
「自分の周囲に、好ましい人物や好感の持てる相手を増やしていく」
ことに力を注いでみることです。
人間関係に主体性を持つ
そして
④ 嫌いな人と関わる必要性をなくす
長期的に見ればそもそも
「嫌いな人とは付き合わない」
ときっぱり言えたら……理想ですよね?
たとえば、会社にしろ取引先にしろ、お客様にしろ、相手に依存せざるを得ない状態自体を解消していけば、言い換えると
「こちらが選択できる立場になればなるほど」
自分を取り巻く人間関係を主体的に構築できるようになるはずです。
もちろん、それを実現するのはそれなりにハードルが高いですが。
しかし不可能というわけでもありません。
性急に判断すべきことではありませんが、少し長期的に見て、より主体的に人間関係を選べる自分になっていくということも視野に入れておくのも悪くないでしょう?
何より、そのような大きな目標や希望に目線を移すことで、そもそも今悩んでいる人間関係のことなんてあまり気にならなくなるかもしれません。
⑤ 目的意識のフェーズを上げる
もちろん、会社に嫌な人がいるから独立、起業したい……とか(別にそれも悪い考えとは思いませんが)短絡的に決める必要はありません。
ただどんな形にせよ、あなた自身の問題意識や目的意識と言ったものを今より一段、二段と上げることに集中するならば、それに伴って
「今目の前にいる嫌な人」
に対する感じ方も大きく変わります。
「嫌な人がいつも気になって仕方がない」
「あの人のせいで私はいつもストレスを感じる」
しかし根本的なことを言えば、あなたは今、その嫌な相手と同じ土俵にいるからその人のことが嫌いなのではないでしょうか?
つまり、より状況依存的であるほど嫌いな人への対処に追われることになるという……その現象自体を問題として認識したほうが良いということです。

