私も最初そうでしたが、たいてい初心者の人は、何も考えずごく単純に1lot(=1万通貨)で取引し始めると思います。
1万通貨が大きいか小さいかとか……たぶん最初はあまり考えません。考えられません。おそらく多くの人は、単にそのFX会社の取引ツールの仕様がそうなっているからデフォルトのまま始めるというだけです。

ある人は、長い間そのままトレードを続けます。
とは言っても……たとえばFX会社から追加証拠金を求めるメールが来たり、強制ロスカットに会ったりすることをきっかけにして、あるいは研究者気質の人だったら必然的に資金管理に関する話を知ることになるでしょうから、いつかは
「どれくらいのロットで勝負するのが適切なのか?」
という問題に行き当たります。
取引ロットの決め方
で、通常の発想だと、たとえば
「自分の資金量から考えて適度なレバレッジとは何倍くらいなのか?」
という面から当面の取引ロット数を決めることになります。
もちろん、自分の当座の資金量がいくらかというのは言われなくてもだれもが重々分かっています。
よって、たとえば総資金量の2%までポジションを持っていい、とか、たとえばそういうふうにしてルールを決めようとするかもしれません。
そうすれば、即退場というような羽目にはならないはずだ……いわゆる「安全圏」だという認識ですね。
……ところが、現実に取引し続けていると、こういう決め方で得たと思っている「安全圏」というのはあくまで机上の論理に過ぎないという事実に直面せざるを得なくなるのです。
実際には、取引が裏目と出るごとに理論上の安全圏はどんどん縮小していき、やがて限りなくゼロに近づいてゆくというだけです。
本人の感覚としては、これはまるでパチンコやパチスロを打っていると、財布のお金が尽きる寸前まで
「でも、ここで当たりを引けばまだプラ転できる!」
と思っているのと似ています。
でも、実際にお金を使い果たした瞬間に……それはまったく空論だったという現実を直視せざるを得なくなるわけです。
ロットの決め方(私流)
さて、で私流のロットの決め方についてですが……ある意味すごく単純です。理屈とも言えないくらいに「身も蓋もない」考え方です。
それはつまり
「最初は、取り得る最低ロットで取引する」
ということに尽きます。
つまり現状だともはやメジャーなFX会社ならほとんどどこでも1000通貨単位で取引できる口座を用意しています。
たとえば1,000通貨の取引だと(FX会社によって0.1ロット、あるいは0.01ロット呼ぶなど異なる)国内の25倍のレバレッジを前提にすると1玉(1個のポジション)=約4,000円という概算が成り立ちます。
あるいは、最近はもっと低いロット(100通貨~中には1通貨から)で始められると謳っているものも出現しています。
私自身は最初1000通貨から取引を始めましたが……(実を言うと最初よく分からずに10000単位でしばらく取引していましたが、途中で気が付いてロットを下げた、という経緯)
とにかく、もしFXで長期的に勝とうと思うなら……一か八かで大きなロットで勝負したくなるところですが、そこをぐっと堪えてむしろ出来得る限り低いロットでの取引から始めてください。
低ロットで取引するメリット
できる限り低ロットで取引することのメリットはいくつか考えられます。
① 自己資金をすべて溶かすリスクが極小化される② 心理的に負担がない③ 複数のポジションを持つことができるようになる④ 負けを取り返せる確率が上がる
……などです。
特に、
③ 複数のポジションを持つことができるようになる
に関して、初心者が最初のうちやりがちな、単純に「上がるか、下がるか」を予想して、1ポジションを見守っている……というような拙いトレードから早く脱却することは非常に重要だと思います。
常勝トレーダーへの道
そもそも、FXトレーダーの成長過程をごく抽象的に考えてみると、結局は
① 最初のうちは、いろいろな知識や手法を知り、試行錯誤する時期
があって、どこかの時点で
② 一定の期間損益がプラスとなる時期
が出てきます。もちろん、しばらくするとまたマイナスになったりするかもしれませんが、イメージとしては、次第にプラスが安定してくるはずです。
それは別の面から見るとすなわち
② 自分なりの常勝手法が確立できた時期
ということでもあります。
その上で、初めて
③ 追加資金の投入、利益の再投資
が行われ、最終的に
④ 目標利益額の達成、維持
が可能な時期になります。ここである人は会社を辞めてFXの利益のみで生活できるようになったり、専業トレーダーと名乗ったりすることができるというわけです。
で、この前提だと当然、何よりも①→②に至ることが先決であると同時に、実は振り返って考えた場合、①→②に至る間に必要以上にロットを大きく張る必要性も必然性もまったくない、ということが分かります。
私は「デモトレード」とか、本当に少額しか動かないようなトレード(たとえば、大きく負けても数百円しか負けない……とか)では意味がないという考えですが、逆に言って、①→②の過程においては実際のところ一定期間のトータル損益がプラスであるという事実だけが重要なのであり、利益の実額はその時点ではほとんど何の意味もないことになります。
現実的なロットの上げ方
確かに、別の面でロットの大きさは本人の心理面にも大きな影響を与えます。
その意味での経験や、一時的な調整というのも必要な場合はあります。
なので、それも含めて実践的な感覚で言うと、最初は最も低いロットから取引に入り、自分なりのトレード手法やルールを明確にした上で、その方法で取引していて一定の期間である程度の利益が出たとはっきり確認できた段階で今までより一段階ロットを上げるというのが一番妥当な方法になるかな、という感じがします。
もちろん、たとえばある月は上手く利益を出せても、まったく同じ手法なのに次月は大きく損失が出る、というような事態は当たり前に起こり得ます。
そうなれば手法やルールの具体的修正、改善を踏まえてまたデータの取り直しということになるでしょう。そうなれば元の小さいロットに戻します。
つまりFXにおけるロットの上げ下げは原則として
「一定期間勝ったらロットを上げる」
「負けこんだらロットを下げる」
ということです。
ロットを上げるには、利益をそのまま使って膨らませるのも一方法ですが、もはやほぼ常に勝てるというデータがあるならそれを信頼して一気に自己資金を追加する、ということでも良いです。
……良いです、っていうか、実際にはそれが一番早い方法ですね。
しかし、現実には多くのギャンブラー……いや、トレーダーがこれと真逆のことをしますよね?
つまり、負けた瞬間ほどアツくなって
「レートを上げよう」
とするのです。
たしかに理論上は
「マーチンゲール法」
というのも存在しますが、そもそもマーチンゲール法を成立させるにはごく小ロットから入らなければならない。アツくなってレートを倍にしようとか、そういう話では前提が違うわけです。
マーチンゲール法……倍賭け法とも言われる。まず1単位賭け、負ければその倍の2単位、さらに負ければそのさらに倍の4単位、と賭けていき、一度でも勝てばただちに1単位に戻す、という手法である。試行回数に関係なく、勝った時には1単位を得ることになる。多くの場合には少額の勝ちであるが、負ける時は大敗する。負けが連続するとたちまちパンク、もしくはテーブルリミットと呼ばれる賭けの上限に達してしまう。
Wikipediaより



また、もっと言えば……実際マーチンゲール法を常用して勝ち続けている人がいるのかどうかも疑わしいです。
私もFXではありませんが、ブラックジャックやルーレットといったカジノゲームでは何度も試したことがあります。
あなたも一度くらいやったことがあるかもしれません。
負けたらその倍額プッシュして勝てば絶対プラ転できる……これは分かりやすくて一見正当な理屈に思えますが、現実には非常に困難な方法であることは、実際やってみればすぐ分かります(^^)