たとえば、金持ちになりたいとします。でもあなたは、実際の「金持ち」を知りません。
たとえば、事業家になりたいとします。でもあなたは、実際の「事業家」を知りません。
他のことにしても同じです。
成功したい。
自己実現したい。
あるいは憧れの職業に就きたい。
理想的な恋愛して、結婚したい……。
こういったさまざまな夢や願望について思い描いている私たちのイメージというのは最初、あくまで未知であり想像の産物にすぎません。
その、自分が思っている
「成功イメージ」
というのは、あくまでイメージであって本当のところ、それがどんなものなのか今の自分に分かるわけがないです。
……と割り切ったほうが良いと私は思います。
実際には、やってみなければ分かりません
もちろん夢や憧れを持つことは、別に悪いことではありません。
(私は、別に良いこととも思っていませんが……)
それに、成功イメージを強く持つことは、行動に結びつく場合もあります。
(挫折に結びつく場合もあります)

しばしばあり得るのは、自分が作り上げているイメージに自分の心や意欲が負けてしまうことがあるということです。
まさに本末転倒なのですが、たとえば、こんなふうに思ってしまうことありませんか?
「一度は憧れて想像してみたけれども、興味を持っていろいろ調べているうちに、当初思っていたような良いところばかりではないようだ」
「一面では苦労も多い仕事らしい」
「思っていたほど儲からないらしい」
とか。
あるいは、たとえばその道で一流になるには、
「とんでもない才能に恵まれていなければ無理だ」
「裏では尋常でない努力や鍛錬をしているに違いない」
「熾烈な競争に勝ち残らなければならない」
「その道で成功するのはほんの一握りの人しかいない」
とか……。
さまざまな情報を取ればとるほど、自分にとって嫌な面も見え始める。
魅力がある職業だと思ったけれども、それは一面だけを見ていたからで、すぐに色あせてしまう。
このように、いろいろ考えれば考えるほど、最初のイメージがどんどん変化し、自分自身が望んだことなのに、なぜかだんだん嫌なことに見えています。
すると、せっかく興味を持って始めようと思い立ったのに、それを実際に始める前に最初のやる気そのものが押しつぶされてしまうんです。
ですが、そんなの、今のあなたにはそもそも正確に分かるわけがないんです。
最初に持っていた良いイメージも勝手な思い込みかも知れませんが、その後で持った悪いイメージも思い込みかも知れないですよ?
本当のところ……ネットや本などで少し知識や情報を取ったくらいで、その夢や憧れの実態なんて先に知りようがないです。
そう思っておいたほうが良くないですか?
つまりですね。
成功イメージが「正しい」必要性などない
「成功イメージ」というのは、実は
「間違っていてもぜんぜん構わないもの」
なんです。
「成功する人は、成功イメージをしっかり持っている」
などという話を聞いて、自分も試してみたものの、自分の成功イメージができない、どうしてもうまくイメージできない……と悩んでいる人の多くが、きちんと客観性のある、妥当で蓋然性のある成功イメージを持たなければならないと思い込んでいます。
でも、実際はそうじゃないんです。
というか、そんなことできるわけがないんですよ。
実際に必要だと言われていることは、はっきり言って、
「自分に都合の良い、勝手なイメージを作り上げちゃえ」
っていう意味なんですよ。
だから、あまり気まじめに「ちゃんとしたイメージング」とか考えてしまうと逆に難しくなってしまうのです。