お金(貨幣)の歴史というと、社会科の教科書などではふつう

「最初は物々交換であったけれども、物々交換というのは何かと不便なので、貨幣を使うようになった」

ことがお金の起源であると説明されます。

何が不便なのかというと、たとえば

「なま物や食品だと、腐りやすく保管がきかない」
「現物をいちいち移動するのが面倒」
「手持ち量の差などで、都合よく交換できない場合がある」

……といった点が挙げられます。

ちょっと変に思う点

まあ、そうなのかもしれません。

私は別にそれを詳しく研究しているわけではないし……そんな大昔のこと、実際のところは分かりません。

しかし、上の説明を聞いて、私が前からちょっとだけ違和感のある部分は、

① あげればいいじゃん!

まず、太古とは言え、人間って基本的には「群れ」で暮らしていたと思うんですよ。

たぶん、たいてい血縁関係にある複数の家族が集まったような、ごく親しい集団だったはずです。

すると、少なくともその群れの内部では、別に「物々交換」っていう感覚ではなくて、各自がそれなりの役割を持っていて、食べ物でも何でも、ほとんど共有されていたと思うんですよね。


「たとえば、Aさんは肉をたくさん持っています。それで、その一部を魚と交換したいと思い、漁の得意なBさんのところに行きました。

しかし、今日は魚があまり獲れなかったので物々交換できません。

そこで、魚の代わりに貝殻をBさんから受け取りました。

……これが貨幣の始まりです」


……ホントかいなと。

ここで例として出てくるAさん、Bさんって……どんだけ個人行動だよと。孤独か!

私のイメージ……


「肉をたくさん持っているAさん。

『今日は天候が悪かったから、Bさんはあまり魚が取れなかっただろう』
『そうね、あなた(妻)』
『うちの肉を少し持ってってやったらどうだろう』
『そうね、それがいいわ』

『Bさん。これもし良かったら、今日の食事の足しにしてくれ』
『やあ、ありがとう。いつも悪いね、助かるよ』
『何言ってるんだ……お互い様じゃないか。はっはっは』


……ってなるんじゃないかと。

だから、

「なま物や食品だと、腐りやすく保管がきかない」

という説は却下します。(勝手に)

とは言え……群れがどんどん大きくなってきたり、他の集落に住む別の群れと接触するようになってくれば、必ずしもこのような家族的な関係だけではなくなってくるかもしれません。

いわゆる「赤の他人」と取引するという機会が出てくるようになります。

しかし……たぶん、正式な取引は基本的に群れ単位で行うでしょう。互いに警戒心がありますし、群れ内部の統制や掟みたいなものもあるかもしれません。

だから、それぞれの群れの代表者が話し合って、取引する。

② 個人どうしが自由に交換する機会は少ない

と言えます。そして、そうなるとやはり基本的に物々交換だったはずです

だって、このような形で未知の人々と物品を交換するのに「信用」なんてあり得ないからです。

この前提だと、そもそも貨幣を持ち込む理由がないのです。

それに、このような機会はそうそう日常的に頻繁にあるわけでもありません。

逆に言うと、そもそも、かさばる物とか重い物は、そういう機会でなければそうそう日常的な交換の対象にならなかったと思います。

すると

「現物をいちいち移動するのが面倒」

だから貨幣を用いるようになったという説はどうなんでしょう?

却下します!(勝手に)

実は、お金の起源って「借用証」だったのではないか?

最後に残った、

「手持ち量の差などで、都合よく交換できない場合がある」

という説ですが……これは、一理あります。

却下しません!

でも、これはたぶん

「肉をたくさん持っているAさん」

の話ではないように思います。

つまり、自分が肉が余ってるから、他の物と交換したいAさん……この人は実は「貨幣」がなくてもそんなに困りません

そうではなくて、実は困っているのは食料や必需品が不足してしまった人たちのほうです

生活に困窮した人々は、もはや差し出すべき物品を持っていません。

じゃあどうするかというと、たぶん懇願するしかないです。

「今はないけど……あの人のケガさえ治ればまた、いくらでも働けますから」
「春になれば、また収穫できますから」
「あの子がもう少し大きくなれば……」

……とか、あくまで想像ですけど、そのように言って今は食べ物なりなんなり分けてもらうしかない。

温情厚い人もいたでしょう。タダでくれます。

しかし、そうでない人々はどうするかというと、

「じゃあ、この石ころに、肉2切れ(絵だけど)を描いておく。春になったら、これを持ってお前の所に行くから、その時には……お前の家も子供も全部もらうからな!」

みたいな(空想……)。

つまりこれは今の言葉で言うと「借用証」あるいは「手形」ということになります。

あと、もう一つ考えられるのは、すごく貴重な品物や、大きな仕事(たとえば家を作ってもらうとか)に対する見返りとして、たとえばそれをAさんが「肉」で御礼したいと思った場合……。

一気に大量の肉を渡すことはできないし、そんなことされても相手だって困るから……

「じゃあ、向こう1年分の肉をあげよう」

というのが良いですね。

これはつまり月賦。ローンですよね。

……と、このように。

お金の起源は「交換の道具」というのは、ちょっと違和感があるのです。

そうじゃなくて、

③ お金の起源、その本質は「負債」だ

と、私はそう言いたいわけです。