ブログは本来、公開するためのもので、それを前提に仕組みが作られています。
当たり前ですけど。
しかし、同時にたいていのブログサービスには
「非公開モード」
「非公開設定」
という機能が付いています。
私自身も使っていますが、なぜ、わざわざ非公開なのにブログを利用する必要があるのでしょうか?
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ブログを非公開にしたい理由
もちろん、それには理由がありますが……ふつう考えられるのは
① 少数の仲間だけと記事などを共有したい
② 手軽に日記帳として使いたい
③ いわゆる「メモ帳」として使いたい
④ 写真や画像などを保管する無料スペースとして使いたい
……といった理由からだと思います。
ブログサービスが日本で普及し始めた時期には、上記のような動機であえて無料ブログサービスを完全非公開で利用するという考えは、ある意味一般的だったと思います。
しかし、現在時点で考えると、上記のような意味で便利なサービスを探すなら、それぞれに適したアプリやSNSサービスがいくらでも存在します。
おそらく、それでもなお
「非公開ブログ」
にこだわるとすれば、その理由は結局
⑤ すでにそのブログサービスを使うことに慣れているから
ということになってしまうでしょう。
……と言っても、もちろん私は別にそれを否定したいわけではありませんが。
確かにそれは今でも十分それらのツールとして機能しますし、もともと慣れ親しんでいるサービスを使ったほうが使い勝手が良いのは当然ですしね。
ただ、私自身がブログを非公開にして使う一番の理由はちょっと別のところにあります。
それは
⑥ 自分の思考を整理するツールとして適しているから
なのです。
おそらく、私と同じ考えでブログを非公開にして使っている人は多くいると思います。
非公開だから本当のところ分かりませんが。
しかし、おそらく実際にブログサービスを使っていて、私と同じ結論に達している人は相当数いるはずだと想像します。
なぜなら、たとえば
「自分の考えを継続的に練りたい」
「発想や意見を収斂する場として使いたい」
このような目的に限れば、現在のところ最も便利なツールは何かと聞かれると、結局
「ブログ」
という形になる……と感じるから。
ただし、通常のように一般に公開する形での、いわゆるブログだと都合が悪いのです。
そこで便利なのが
「非公開機能」
なんですよね。
個人が発想や意見を醸成する過程
ごく一般的に言って、自分が主体的に何らかのまとまった考え(意見、主張)を確信するまでの過程とか、あるいは何かまとまった文章を書く場合とかの過程とかを考えてみると……だいたいこんな流れになります。
① まず何らかの「気付き」や「思い浮かび」が発生する
② 関連する知識や情報を収集し、結びつける
③ しばらく寝かせる(放置する)
④ 残ったものを再吟味する
⑤ メタ化する
⑥ ひとまとまりの完結した「考え」として確定する
書いておいてなんですが……もちろん上記の流れは実はかなり雑な説明です。
実際には各段階を何度も行ったり来たりするときもあるし、逆に途中を省略して一足飛びに確定する場合だってあります。
また、もちろん思考の過程には常に経験とか行動とかも影響してきますし、場合によっては、それを他人に評価してもらったり、議論したりすることによってさらに展開する場合もあり、そのこと自体を「思考」という範囲に含めて考えることも可能です。
あるいは、それ以前の過程の各段階ですでに他人との議論や交流が含まれてくることも多々あり得ます。
が、ひとまず細かい点は置いといて、もっとも原則的な単位として、単に個人が個人としての
「私の考え」
「私の意見」
と呼ぶべき、少なくとも主観として確信できる「考え」を持つまでの過程で、だいたい①~⑤の過程を踏むのは必須であり、自然だということです。
思考を可視化し、蓄積するツールが必要
で、日常私たちは上記の流れをごく自然に頭の中だけで行うことも不可能ではないのですが……より複雑な問題を考える時や、大きすぎるテーマについて精密に考えたいときなどは
「自分の思考を可視化して」
「長期的に整理したり」
「継続的に蓄積したり」
「その全体を俯瞰したり」
するための「場」が必要になります。
たとえばそのもっとも単純なものがいわゆる「メモ」だったり「ノート」だったりします。
つまりまず文字や図表、イメージなどでもよいですが……とにかく考えていることを
「いったん書くこと」
がそれを可能にするわけです。
最近また話題になっていますが、
【思考の整理学】
という本の中で、たとえば
「カード方式」
とか
「メタ・ノート」
といった手法が解説されていますが、これらも大まかに言えば上記の流れに沿った思考過程を担保する「場」をいかに作るかという方法論を述べていると言えます。
思考過程に非公開ブログを利用する意味
で……要するに上記のような典型的な思考過程を担保するための場として見る時に、実は
「ブログというシステムの構造が非常にマッチしやすい」
ということを言いたいわけです。
たぶん多くのブログ経験者がたぶん同じ考えに至るはずだと、私は想像しているのです。
ブログサービスと思考過程の整合性
先ほど示した典型的な思考の流れに沿って言えば、まず
① まず何らかの「気付き」や「思い浮かび」が発生する
当たり前ですが、とりあえず思いついたことを書き留めるときに、ブログという仕組みを使ってそれをいわゆる「記事」としてアップしておくというのは比較的かんたんなやり方です。
② 関連する知識や情報を収集し、結びつける
そして、その後たとえば関連する情報を目にしたときや、何か関係ありそうなことが思い浮かんだ時にはコメント機能を使って、それをかんたんに紐づけて蓄積することができます。
また、それがネット上であれば関連ありそうなサイトに単にリンクを貼っておくこともできます。
……とは言え、単にここまでだったら別にエクセルでもメモアプリでもほぼ同じなわけですが。
③ しばらく寝かせる(放置する)
ただ放っておけばいいようなもんですが……当たり前と思うかもしれませんが、紙に書いたメモなどと比較すれば当然のこと、仮にパソコン上のファイルであってさえ、私たちはいつも
「あれ? アレどこ行ったっけか?」
となることがしばしばありますよね?
その点……ブログというのはそれ自体の存在を忘れてしまうとか、どこにあるか分からなくなってしまうといった面での心配がほぼありません。
また、各々の記事についても、もちろんキーワードによるブログ内検索も使うことができますし、あらかじめ適当な
「タグ」
を仕込んでおけば、それを手掛かりに関連しそうな記事だけをすぐにピックアップすることができます。
④ 残ったものを再吟味する
ブログが思考するのに最も適していると私が実感しているのは実はこの段階です。
……と言っても、最初の頃は私もいろいろ試行錯誤してました。
ブログ特有の様々な機能を、自分の思考の流れにどのように合わせるのがベストか……という点でいろいろ失敗したからですね。
多くの場合、おそらく非公開なのに通常のブログを運営するときのイメージに引き摺られてしまうのが原因です。
すると、途中で混乱したり、やってることが無駄みたいな気持ちになったりすることもあり
「だめだ、やっぱりうまく使えない!」
……と投げ出したことも実はありました。
しかし、それ以後出てくる多くの思考法とか、メモアプリとか、ノート整理術、ファイル管理術……いろんなものをみたり試したりした結果
「やっぱり、ブログを非公開設定で使うのが一番良い」
という結論で、今に至る、という感じです。
ですから、もしこれから始めるなら最初から
「思考整理の場としてのみ使う」
とはっきり認識したうえで、その目的に対して最適化しようという意図を明確に自覚していれば、この面での混乱は避けられると今は感じています。
……と、話が逸れてしまいましたが
④ 残ったものを再吟味する
という段階で、これは私流の使い方ですが、ポイントは
「カテゴリー分け」
のやり方にあります。
しばしば通常のブログがそうであるように、あらかじめテーマ的な分類を想定していくつかのカテゴリーを作り、記事を最初から分類していこうとする人もいると思うのですが、ここで想定している
「思考整理のための非公開ブログ」
という場合においては、そのようなカテゴリー分けはたぶんうまく機能しません。
いったん、書いた記事は全部をたとえば
「未使用」
といった名称を付けたカテゴリーに置いておきます。
で、しばらくたって、自分が書いた各記事(記事というほどでもない、事実上は単なるメモや走り書きのようなものなわけですが)を読み直してみると
「何でこんなこと書いたんだっけ?」
と感じざるを得ない「ゴミ」みたいなものも(けっこうな割合で)出てきます。
……これを潔く削除できる人はおそらく一定の思考スキルをすでに持っている人です。
もしそうできるなら削除するのが良いのです(理屈で考えればそのほうが良いのです)。
しかし、人情的には
「それでも一度自分の頭の中から出てきたものなのだから残しておきたい」
「何かの拍子に使えるかもしれない」
……と感じる人のほうが多いと思いますので、その場合には
「ゴミ」
というカテゴリーを作って、そっちに移動しておくのでも良いと思います。
とにかく、このようにしておくことによって、再吟味すべき記事は常に
「未使用」
というカテゴリー内のものだけ、ということになり意識の上ですっきりすると思います。
⑤ メタ化する
自分が書いたものを何度か読んでいると……いくつかのものが深く関連していたり、時にはほとんど同じような内容だったりすることも多いということに気が付くでしょう。
その時には、当然それらをまとめて、何かまとまった一つの「考え」として集約したい、収斂したい、という欲求が出てきます。
この段階がいわゆる
「メタ化」
です。
で、使い方としてですが、この時に初めて、そのテーマ自体をひとつの「カテゴリー」として新たに立てます。
そして、自分なりに関連性があると感じる記事、ひとつのテーマで括れると思う記事をまとめてそのカテゴリーに移動します。
ブログサービスでは、特定の記事をいくつかピックアップしてカテゴリーを移動する機能があります。
これは管理画面で行えば比較的かんたんにできます。
その上で、そこに集めた各記事を総括するような、まとまった意見なり考えなりをひとつの記事として新たに追加します。
すると、今書いたそのメタ的な記事の下に、今まで書きためてあった「元となる記事」が一つのカテゴリー内で連なって閲覧できるようになります。
⑥ ひとまとまりの完結した「考え」として確定する
単に自分なりのひとつの考えとして、それをそのまま置いておくのも別にかまいませんが、多くの場合、そもそもそれには自分なりの何らかの使用目的がある場合も多いでしょう。
たとえば、それを自分が公開しているブログの記事として出すとか?
あるいは、そもそも物書きの人なら使い道は言うまでもなく明らかですよね?
で、何にせよもう使ってしまったものは、全部まとめて
「使用済」
というカテゴリーに放り込みます。
または一応区別しておきたいなら、その下に
「子カテゴリー」
を作って、分類して保管しても良いです。
が、いずれにしろ……基本的にはそれらの記事はもう使わないはずでこの辺はそんなにこだわってもしょうがないことなのです。
とにかく、今思考の途上にあるものとは明確に区別しておきます。
思考専用のテンプレートがあってもいいと思う
以上のように、ブログの機能を使うと、構造上それは自分の考えをまとめたり整理したりするのに非常に都合が良いのです。
本来の使い方ではない、という話は置いといて……今のところ、少なくとも私が知っている範囲でこれより使い勝手のいい
「思考補助アプリ」
とか
「思考整理ツール」
とかいうのは見つかっていません。
だれか知ってたら教えてください。
……ていうか、だれか作ってください。
ブログはメタ思考を促進する
ブログの実際の公開設定方法などについては、各ブログサービスのマニュアルや、解説サイトがたくさんあるのでそちらを参照ください。
検索も含めて完全に非公開にはできないブログサービスもあるようです。
また、ワードプレスはそもそも非公開で運用するという概念はないようですね……てか、今言っている趣旨でWP使うっていう必要性がそもそもないんですけどね。
今の趣旨に限るとむしろ圧倒的に無料ブログサービスのほうが使いやすいと思います。
……ついでに、当たり前ですが、もちろんブログを使うメリットとして
「手書きより早い」
「コピペができる」
「複数の端末から何時でもアクセスできる」
「画像とか、動画とかも保存できる」
といった点もも同時にあります。
でもこれらは単独ではもはやブログサービス特有のものとも言えません……が、同じ場所でシームレスに使えるというのはたしかに便利です。
あと、私が変に気に入っている点として、ブログだと
「テンプレートとかデザインを変えて気分転換できる」
「サイドバーにいろんなツールや情報源をリンクで置いておける」
といったこともあります。
私もよくやってましたが、非公開なのにブログの見た目とかいじくって時間を費やしちゃったりもします(笑)
……でもこれ、一見遊んでるだけのように見えるかもしれませんけど、あえて思考という側面から分析すると、これは
「自分の思考の仕方をより良くするため」
に人間が自然に取る行動の一種だという言い方もできるのです。
それはたとえば、何か大事な決断をする前に、部屋とかデスク周りを整理整頓したくなる感覚にも似ています。
思考にとって全く無駄とは言えない行為なのです。
また、あえて言えば、ブログに付随する様々な機能を、自分が思考したい事柄や方法論に照らして最適化しようとする心の動きそれ自体が典型的な
「メタ思考」
です。
それは、自分の思考そのものを客観的に、構造として意識し直すことに他ならないからです。
いずれにしろ、ブログを非公開で使う良さが少しでも実感いただければ幸いです。