自分にとって挑戦となるような大きくて難しい目標を達成しようと決めたときには、そのことについて

「途切れることなく思考し続けている」

必要があります。

目標や成功に向かって、具体的な努力を継続しようとするとき、私たちがしばしば試みるのは

「習慣化」

ですが、多くの場合それはつまり

「ルーティーン」

を成立させようとすることですよね?

もちろん、たとえば筋トレ、あるいは語学の基本的なインプット学習など、基本的にひたすら同じことを定期的に繰り返すということがより重要な場合、とにかくルーティーンを成立させることが有効な習慣化の方法になるでしょう。

ただし、もしあなたが達成したいことが、たとえば常にその対象について調査したり思考したりする必要があるようなタイプのものである場合には……単に自分のスケージュールにそれを組み込んで、毎日同じ時間に淡々とそれを行うというやり方がうまく通用しないことがあります。

たとえば新しいビジネスを起こして軌道に乗せるといったタイプの目標です。

または、知的生産活動とかクリエイティブと呼ばれるような種類の目標を想定している場合もそうです。

……このような、ただルーティーンワークをこなすという感覚だけでは歯が立たない課題や目標がある場合です。

そういう場合には

「毎日決まった時間にやる」

という考え方よりも

「ずーっと続けている」

という感覚でそれに取り組むほうがうまくいく可能性が高いでしょう。

分かりやすく言うならば

「365日、24時間」

そのことだけを考え続けるという感じです。

集中するとはどういうことか

いわゆる成功法則としてもよく言及されることですが、かなえたい夢や目標があるなら、それを明確に思い描き、そのことだけに思考や精神を集中させる必要があると言います。

頭や心を一点に絞り込むような感じですね。

逆に言うと、それを願いながら、同時に他のいろいろなことを心に留めておくと力が分散してしまうのでほとんど有効な思考や行動ができなくなってしまうという意味です。

そういう意味で

「365日、24時間」

と言われるわけです。

ところが、当たり前ですが現実にはおそらくほとんどの人が、たった一つのことだけに365日、24時間のすべてを投入できる状況にはないでしょう。

まず物理的に無理だと感じるでしょう。

睡眠時間は絶対必要ですし。

ご飯食べないでは生きられませんし。

ライスワークにも一定の時間を奪われます。

……だからそれはある意味では単なるスローガン的な言い方にすぎないとも言えますが……しかし、少なくとも

「思考が途切れずに続いていること」

は必要ですし、これは不可能なことではありません。

というか、思考そのものが途切れてしまうと非常に非効率な努力になってしまうのです

思考が途切れることの大きなデメリット

なぜなら、一度その対象についての思考が途切れてしまうと

「前に思考している時点」

に正確に戻すだけでかなりの時間を消費しなければならないからです。

……というより、もっと現実的な感覚で言うと、一度途切れてしまった思考は、正確にその時に思考していた状態に戻すことはおそらく

「二度と不可能」

です。

たとえば、何となくおおまかにならば思い出すことはできます。

……それでも無駄に時間はかかりますけど。

たとえば、学校で昨日の授業で習ったことを復習すれば、たいていその内容をほぼ思い出すことはできます。内容そのものがきっちり決まっているからです。

あるいは、前に何について考えていたか……というくらいのごく概要だけなら思い出すことができるでしょう。

でも、その時その瞬間に頭の中にあった

「思考の全容」

を再現することはきわめて難しいことでしょう。

多くの場合……曲がりなりにもそれを実行するには、私たちは思考した結果を思い出すというよりもむしろ

「同じ思考をもう一度たどり直して、結果的に同じところまでもう一度進む」

というやり方をします。

なので、人によっては日々同じことを何度も何度も繰り返し考えているばかりで、いっこうに答えが見つからない……という状態に陥ることすらあります。

目標達成へのたゆまざる道

目標に向かうための

「継続的な努力」

イメージとしては、それはいわゆる遠泳、それも

「海峡横断泳」

に似ていると思います。

有名なところでは、たとえばイギリスとフランスを隔てるドーバー海峡は対岸まで最も短い場所で34㎞。現在でも挑戦する多くのスイマーが存在しますが、潮流が速く水温も低い中を長時間泳ぎ続けるので、必ずしも成功するわけではありません。

……目標を達成するにはこのように

「長い距離を泳ぎ切る」

時のイメージが有効だと私は思います。

当然、目標と言ってもさまざまなタイプのものがあり、また難易度も違います。

下の記事で言いましたが、私自身はそもそも目標というものを

① 体験目標
② 可能目標
③ 地平目標

の3つに分けて考えています。

ただし、上のどのタイプの目標であれ、達成するためには

「思考がすっと継続している感じ」

というのは非常に大事であることに変わりはありません。

上の例でいえば、目標の大きさというのは泳ぎ切る対象が25メートルプールなのか、ドーバー海峡なのかという違いを指します。

どんな距離でもそんな環境でも、ひとたび水に飛び込んだら対岸に到達するまで沈まずに泳ぎ続けなければならないということには変わりはないわけです。

思考が継続できないクセ

目標に効果的に近づくには、それに関する思考が途切れないで継続していることが大事な条件です。

で……この観点から言うと、よく言われる意味での

「スケジュール化」
「ルーティーンワーク化」

というのは効果を発揮しない場合もあるわけです。

考えてみると……実は私たちは、複数の事柄に対処するために

「時間を区切って使う」

ということに慣れています。

学校の時間割のようなものをイメージすると分かりやすいと思います。

自分の興味や好き嫌いに関係なく、50分なら50分、90分なら90分という「一コマ」が終了したら強制的に次の教科に頭を切り替えなければなりません。

慣れているというより、私たちはそのように訓練されてきたのでそのような時間に対する感覚を当たり前だと思っているのです。

しかし、実はこの感覚というのは大きな夢や目標を達成するというような場合にはかえってじゃまになります。

ひとつのことに集中して大きな成果を出すというのは

「たくさんのことに時間をうまく割り振る」

というのと正反対のことだからです。

このような時に必要なのは

「継続しているという感覚」

だからです。

思考を途切れさせないコツ

とは言え……実際にはどのようにすれば同じことを思考し続けられるのでしょうか?

① 不要な情報を排除する

まず考えられるのは、今やろうとしている事柄と無関係な情報をなるべく避けなければならないということです。

逆に言って必要な情報ほど深く求めていかなければならないわけですが……この、いわゆる

「情報の取捨選択」

というのは一定の意志というか、エネルギーが必要なものです。

② 「完全な休息」を求めない

……集中力とかそういう意味のこと以前に、多くの人は、何かを少しやってみては、思い付きですぐに他のことをするクセがついています。

「バランスを取る」とか言って。

あるいは「息抜き」と称して。

「無理はよくない」と言って。

……実際は別にそれほど無理などしていないくせに、です。

③ 不要な感情が起こるような状況を避ける

④ 書き留める

⑤ そのテーマを常にバックグラウンドに置いておく

もちろん、だれでもある程度別の用事や雑用をする必要があります。

または、生活のために一定時間を労働に費やさざるを得ないのかもしれません。

その時に、上で言ったように「学校の時間割」のように完全に頭をシフトする感覚ではなくて、いわばもっとも重要なそのことを

「常にバックグラウンドで起動させておく」

ような感覚を身につけると非常に効果的です。

この瞬間アクティブではないのだけれど、でも完全に忘れているわけではなくて、ある意味で

「脳が勝手に考えている」

ような状態にしておきたいわけです。

これはある程度意識して繰り返しやるとけっこう慣れてきて、体得することができます。

多くの著名な人々がこのようなやり方でひらめきや発想を得るという話も聞きますね。

⑥ 気晴らしや気分転換をするくらいだったら……寝る

とにかく、何か別のことに気を取られるくらいなら、寝ていたほうがマシなのです。そのほうが思考が継続するだけマシだからです

映画や動画など、受け身になって情報を取り入れるだけになりがちな娯楽もできるだけ避けたほうがいいと思います。

もちろん、もっと長いスパンで見れば思いっきり休暇を楽しんだりリフレッシュしたりすることは無意味ではないでしょう。

けれども、それをたとえば一日単位とか、一週間サイクルといったごく短い期間で常用することは思考の継続を妨げる大きな障害と言えます。

対岸に着くまでは泳ぐのをやめてはいけないわけです。

……このような習慣がある人は一度よく自分を振り返ってみる必要があると思います。

圧倒的に爆発力のあるモチベーション

最後にひとつ言えることは……そうは言っても人間は常に安きに流れる習性を持つということです。

自分にとって不要な時間や情報を排除しようと、その時には固く誓っても、少し時間がたてばすぐにいつもの

「今まで通りの日常」

に戻りたくなるでしょう。

これを回避するには、それをやると決めた当初にそもそも非常に強大な「モチベーションの力」が必須だと私は思っています。

一般的にイメージされるような長く維持できるモチベーションではなくて、むしろ瞬発力、爆発力を秘めたような

「最初のモチベーション」

です。テンション、またはボルテージと言ってもいいです。

それなしでは、おそらく日常に回帰する誘惑には勝てないでしょう。