たとえば、あなたは今ただ成功したいと思っているだけだとします。

「成功法則本」

というものがあると知って、本屋さんで買おうと思っています。

目的がある場合の読書

しかし、本屋さんの

「自己啓発コーナー」

に行くと、いろいろ興味深そうなタイトルの本が並んでいます。どれもとても役に立ちそうです。

そこで、とりあえずあなたは何冊か面白そうな本を買って帰りました。

それは「成功法則本」ですか?

……世の中にある多くの自己啓発の本は、必ずしも

「成功する方法」

について書かれたものだけではありません。

考えてみれば当たり前ですけど。

……「自己啓発本」というカテゴリーに属する本は実際にはすごく多様な範囲のものがあります。

そしてその中には、形としての成功よりも内面的な成長を目指すほうが価値が高いというようなことが書いてあったり、あるいは、まず本人の考え方や精神的な力を高めることを目的にしているものもあります。

あるいは、仮にタイトルに「成功」という文字が含まれているとしても……そこで書かれている成功というのが具体的に何を示しているのかは千差万別です。

でも、少なくともあなたが、

「成功するために自己啓発的なものに関心を持った」

のがはっきりしているならば、少なくとも最初はそのテーマを直接に扱った本を慎重に選ぶことをおすすめします

ふつう、人間はだれでも、仮に成功したいという気持ちはそれはそれで強いとしても、それとは別に、ごくふつうの感覚としてたとえば

「世界の真理を知りたい」
「真実とは何なのかを理解したい」

という気持ちもあるし

「人間関係をより良くしたい」
「世の中や社会、人間心理といったものの本質を突き止めたい」
「自分の成長につながる知識を得たい」

というような気持ちも同時にあります。

そもそも自己啓発とは、実際にはそのような欲求や衝動も含んだいろんな要素を結び付けながら自分の内面に落としてゆく……というような、ある意味で非常に統合的な活動です。

で、それはある面では事実なのですが、あるいは言い方の問題とも言えるのですが……いわゆる自己啓発本を興味に任せて範囲を問わずに乱読していくと、たとえば

「自分がもともと持っていた目的意識が間違っているのではないか?」

とか

「成功というのは、もっと違うことなんじゃないだろうか?」

とか……つまり葛藤や不安が生まれてしまう可能性があります。

おそらくあなたは最初は単に

「成功したーい!」

と思っていただけですよね、素直に。

しかし、自己啓発本を読んでいるとまさに啓発されてしまうんですね

啓発されるのは自由なのですが

もちろん、自分の意思で考え方なり自分自身なりを根本から見つめてみたいと思ったなら……それはそれでも本人の自由なのですが。

ただ、仮に最初は

「成功するにはどうしたらいいんだろう?」

というテーマで成功法則本を探して読もうとしていたのに、途中からいつの間にか

「成功など関係ない、自己成長こそ人生の目的なんだから」

とか……え? まだ成功していないのに?

「お金は本質じゃない、心の安定と調和こそ真の成功なのだ」

とか……え? お金持ちになりたいんじゃなかったの?

自己啓発の目的

こういう変化というのは、ある面ではまさに

「自己啓発」

というものの意義であり本領発揮といった感もあります。

しかし、自己啓発とはあくまで自分が自分の意思や目的意識に基いて行うべきものだと思います。

……ある本が、その人の目的や状況によってはまったくミスリードだったり、むしろ逆効果になったりする可能性もあります。

もちろん、これは主には情報の受け手側の問題なのですが、このような誘導は自己啓発ではつきものだということを先によく考えてから本を選んだほうが後々有益です。

だから、もし成功したいから読む……ということがはっきりしている人の場合はやはり代表的な

「成功法則書」

をいくつか読んでみることから始める……ことを私は強くおすすめします。

啓発と、ノウハウ取りの違い

もし自分の目的意識が明確に固定している場合には、むしろ基本的に

「今自分がいるフェーズ(段階)」

というのを自分なりに明確に想定して、その段階において直接的に必要なノウハウを得ることに集中する必要があります。

逆に言って、今特に必要のないノウハウを幅広く吟味したりする必要はないということです。

……というか、それは今やっていることに区切りが付いた後にするべきです。今いる段階に直接必要なノウハウを集中的に探し、それを身に付け、利用することのほうがあなたにとっての

「中心課題」

であり、最優先事項です。

その意味では、今すべきことは厳密な意味での

「自己啓発」

ではなく、むしろ単なる

「ノウハウ取り」

のほうです。

一般的には、ノウハウやテクニックを得ることと「自己啓発すること」は同じ意味のことだと思われている場合も多いのですが、厳密にはこれはまったく別のこととはっきり区別して考えたほうが良いと思います。

また、ノウハウやテクニックばかり求める人は

「ノウハウコレクター」

などと揶揄されることも多いのですが……それはノウハウをうまく使えないとか、知っても行動しないとか、そういう問題点を言っているのであって、

「ノウハウやスキルが要らない

と言ってるわけではありません。

考えてみれば当然ですが、今やろうとしている具体的な事柄がはっきりしている場合、それに直接関連するノウハウやテクニックが必須であることは自明のことです。

「啓発」にはタイミングがある

……心配しなくても、マズローの欲求段階説にもあるように、あなたがその段階にいる必要性がなくなれば、たいていの場合、次の段階への推移はむしろ勝手に起こります

理想的に言えば、そのタイミングで自己啓発本を漁ればちょうど良いのであって、むやみに自分のステージや、内面的なレベルのシフトを焦るのは、今自覚している目的に限っても逆効果ですし……じつは、自分が想定している将来性や推移をスムーズに進んでいくことを俯瞰してみた場合にもやはり逆効果なのです。

具体的な目的意識がない場合

あるタイプの人は、具体的に特定の分野とか、行為や過程がイメージできていなくて、ただ何となく感情として、あいまいな欲求のような形で

「成功したい」

というイメージを持って自己啓発的な情報に触れ始めることになります。

ですが、すでに書いたように自己啓発というのは非常に幅広い分野に広がっているので、情報を漁っているうちにだんだん当初のテーマがずれてきます。

注意してください

このようなアプローチだと往々にしてむしろ成功することが難しくなります

本当を言えば、とにかくも何か

「具体的な行為(特定の目標設定でなくても良い)」

を始めるほうがベストなのですが、そういうものは焦って理念や思考だけで決めようとしても往々にして誤った選択をしがちなものでもあります。

ある意味、目標設定というのは成功にとって

「両刃の剣」

のようなところがあるのです。

ですからもし目的ら好き目的がすぐに思い付かないというのであれば、むしろあまり自己啓発本を読み耽るのはおすすめできません。

結局その場合にも……どうせ読むなら、いわゆる

「成功法則本」

に特化して読むことをおすすめします。

それも、最近多く刊行される、たとえば

「〇〇する人が成功する」

というような論旨が絞られている感じのものより先に、いわゆる古典あるいは王道と言えるような典型的な成功法則書、言い換えると、

「成功という現象そのものを直接に扱っている本」

をいくつか選び、じっくり読みこんだほうがいいと思います。