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説明力を向上する
よく
「頭の中で整理してから発言しろ」
「よく考えてからしゃべれ」
などと言われることがあります。
だからと言って、話の途中でいちいち考え込まれても困りますし、こういうことは注意されたとしても一朝一夕には修正できないものです。
自分の言いたいことを端的に、的確に説明する力について、たとえば言葉遣いに関するアドバイスや技術論を言われてもなかなかうまく取り入れることができません。
……そこで、いったん以下のような点から考え直してみてはいかがでしょうか?
説明力を向上する前提
そもそも
「自分が言いたいこと自体がはっきり決まっていない」
ならばいくら説明力を向上しようとしても無理な話です。
だれだって自分が想定もしていなかった事柄について話すときには、しどろもどろになってしまう可能性が高くなります。
今考え始めたことをいきなりすらすらと話せるなら苦労はありません。
今から話すというときになって考え始めても、整理のついた発言などできるはずがありません。
では、すらすらとものが言える場合とはどういうときでしょうか?
それは当然ですが
「その話題についてあらかじめ相当に考えがまとまっていて、内容がすでに頭の中にあるとき」
ですよね。
いつもすらすらと言葉が出てくる人は、要するにそのテーマについて前もってよく考えており、自分の意見がすでにはっきりしているのです。
たとえば、具体的な業務に関することだと中な言葉が出てこないという人でも、自分の趣味や好きなことについてだったらいくらでも饒舌になれる……ということがありますよね?
それは、常日頃からそのことばかり考えているからです。
テレビに出てくる評論家やコメンテーターというのはある意味「説明のプロ」みたいな職業と言えますが、そういう職業の人だって
「今思いついたことをその場で話している」
ように見えるかもしれませんが、実際はそんなことありません。
少なくとも、発言に至る過程ですでに大量の情報収集や、思索を経て、しかも収録前には自分がこの時間で何を伝えたいかを相当に準備したうえで番組に臨んでいるはずです。
だからテーマに沿った内容をとうとうと述べることができるわけです。
ですから、いわゆる
「話が要領を得ない」
というのは、多くの場合話し方そのものの問題というよりも、たとえば
「職場で何が議論されることが多いかを観察しておく」
とか、
「上司に意見を聞かれそうな問題について先に考えをまとめておく」
「業務に関連する情報を常に調べておく
とか、そういった努力をほとんどしていないというところに原因があります。
だれかに聞かれるまでもなくあらかじめじっくり考えておくのです。
考えが先にまとまっていれば、それをただ単にそのまま述べれば当然
「頭の中ではすでに話は整理されている」
わけですから、
「頭の中で整理してから発言しろ」
「よく考えてからしゃべれ」
……なんてことにはならないはずです。
話すことに苦手意識がある人は、コミュニケーションのノウハウなどより先にこういった点を考えてみたらどうでしょう。
仕事や職場を客観的に観察しておこう
仕事上の問題について上司などから意見を求められたとき、そういう問題があることに初めて気がついた……というのではもちろん遅すぎます。
「今まで考えたこともありませんでした
というのでは恥ずかしいでしょう。恥ずかしいから
「えっと、それについてはですねえ……」
などと、その時点でいきなり考え始めるしかありません。
それが結果として
「もっと整理してしゃべれ」
ということになっているわけです。
日頃から一つひとつの業務をその目的や流れに照らして観察したり、分析したりしているなら、職場で話題としてどのようなテーマが出てくる可能性があるか、上司がどんなことを聞いてくるか……といったことは十分想定できるはずです。
一つの問題について意見を求められたときは
「待ってました」
というぐらいの勢いで答えられるように、あらかじめ自分なりの意見をまとめておく必要があります。
それには、あらかじめ考えておくしかないのです。
たとえ何を聞かれても、自分の中にある知識や情報の集積から何かしらの意見や指摘をすばやく出すことができるようにしておきましょう。
つまり、しどろもどろになったり、的外れな反応しかできないということは、極端に言えば
「いつも漫然と、何の問題意識も持たずに仕事しています」
と発表しているようなものなのです。
職場に「素」で入るな
言葉や表現方法の問題というのは、突き詰めれば本当はその言葉の背景にある本人の意識とか姿勢の問題と切り離せません。
「話を整理しなさい」
という類の注意を受けやすい人の中には、ふだんの話し方を仕事場にそのまま持ち込んでいるとか、勤務中とプライベートの時間との間に「線引き」をしていないタイプの人がいます。
一般的に言えば仕事の場だからと言って過度に緊張したり格式張ったりする必要もないわけですが……とはいえ、そういうタイプの人は逆にそこの区別があまりにも無頓着なままになっている場合があります。
まるで自宅の居間で寝転んでいるときのような気分のまま会社に顔を出しているから
「整理した明快な話し方」
ができないという人も案外いるように思います。
明快にするには文を短くする
明快とは、言いたいことが正確にはっきり伝わり、それ以外の余計な情報を含まないことだと思います。
どうも話の要領が悪いという自覚がある場合、とりあえず実践しやすい練習方法として、とにかく
「短くする」
ということを念頭に置いてみたらよいと思います。
そもそも業務上の会話ならば基本的に費やす時間はできるだけ短い方が良いのですが、それだけでなく、短いということは、不要な部分を極限まで削るということです。
そうすると単純に言えば内容はより明快になります。
ところが、短くすると言っても必要なことまで話さないのでは言いたいことがはっきり伝わらず、今度は相手がいちいち確認しなければならないわけで……必要なものとそうでないもの、重要な部分と末節の部分、というように内容を区別しなければいけません。
原則として、話は短ければ短いほど要点のみに絞られて、末節は取り払われた言い方になるわけです。
そのように、なるべく短い文で言いたいことを必要十分伝えるということを意識すれば、その過程で自分の考えも明確になり表現力も磨かれます。
また、たとえばいちいち考えながらダラダラものをいうクセとか、余計な間投詞
「あのー」
「えーっと」
というのを自分がいかにたくさん連呼しているかとか、そういう点にも気づくようになるでしょう。
1回に1件にする
よく
「最初に要件がいくつあるか明示しろ」
と言われます。
あるいは、よく
「話が上な人はポイントを3つに絞る」
などとも。
それも悪くはないのですが、特に慣れないうちはむしろ伝えることは1回につき1件に絞るのがベストだと思います。
また、通常
「話を整理しろ」
などと言われるのは、社内で上司や先輩方と話している際に言われることが多いでしょう。
少なくとも、勤務中の会話は外部向けの営業や折衝ではないのだから、いわゆるご機嫌伺いみたいなこととか
「あの、こんなこと言っていいのかわかりませんが……」
「差し出がましいようですが……」
といった前置きもほとんど必要ありません。
とにかく、自分の話し方を意識して直したいなら、ます言いたいことを整理して必要な情報のみを伝えるという点に徹するほうがいいです。
このような練習は、いわば話術とか交渉術といったこと以前の問題で、少なくとも、それができてから自分なりの装飾を加えれば良いのです。
内面に隠し持っているものを整理すべき
もう一つ指摘しておきますが、日常的にあなた自身が
「特定の人に対して嫌悪感などマイナスの感情を持っている」
とか
「本当は会社を辞めたいと思っている」
「今の部署にはいたくないと思っている」
とか……たとえばですが、そういった気持ちを抱えていて、それを周囲に悟られないように隠し持っているとすると直接には無関係な場面でもつい言葉が不明確になります。
内面で抑圧しているものを隠しながらものを伝えようとするから、話している内容そのものに集中できないのです。
話し方とかの前に、そういった場合には自分の内面を直視して、まずそちらを整理する必要があります。
そうしない限り、表面的な
「説明力」
だけを気にしてもあまり効果的な改善は望めないのではないでしょうか?