仕事上の目標を決めるのも他の面の目標でも原則はほぼ同じですが、仕事の場合に限って注意すべきポイントがありますのでここで確認したいと思います。
まず自分の目標を設定する
一見関係ないように思うかもしれませんが、たとえば会社などで自分の業務に関して目標設定をする際にうまく考えが進まない時、もっと言えば上司などから
「今期の目標を提出しろ」
と言われて初めて
「え、目標?」
とキョトンとしてしまうような場合、それはどうしてそうなるかというと端的に言えば
「自分自身が目標がないから」
です。
ここで言っているのは
「自分なりの仕事の目標」
のことではなくて、もっと広い意味で
「自分自身の目標」
「自分の人生上の、現時点での目標」
のことです。
「そんなの、余計に思い浮かばないわ!」
と思った人もいるかもしれませんが……王道としてはやはり、まず自分自身が(単に仕事とかの範疇を越えて)何か目標を持つことが先決です。
「別に自分自身の目標なんて特に思い浮かばないなあ」
と感じたなら、その時は次の記事を参考にしていただきたいと思います。
ただ、ここで言う「仕事の目標を決める」というテーマに限れば、そこで必要となる自分の目標というのは何もすごく大それた、人生の最終目標といったイメージのものでなくても構いません。
それはそれ。
今少なくともポイントとなるのは
「自分の目標と、仕事上の目標」
が主観として強く結び付いているという自覚なのです。
「仕事とプライベートは別」というタイプの人
そもそも
「仕事は仕事」
……というふうに割り切ろうとする人もいます。
プライベートや趣味、あるいは自分自身のライフプランといった問題と、今現にしている仕事の問題とを明確に切り離して考えようとしているわけです。
これは本人の主義、志向の問題でもあるので
「ダメだ」
と言うわけにもいきませんが、ただしそれでいて同時に
「仕事の目標」
を自分が納得いく形できちんと決めようと考えるのはちょっと無理があるようにも思えます。
もちろん実績やスキルによって前提が大きく変わりますけれども。
もしあなたがそのような価値観を持っていて、それなのに
「仕事での目標」
を設定しなければならないとしたら、その場合にはおそらく
「自分自身が持っている目標」
と
「仕事上設定する必要のある目標」
との関係が自分の中で直接的に結びつかないように感じられる場合があると思います。
すると話が少し面倒ですが、
「両者を結び付けるような課題」
を考えてみる必要があります。
極端な例で言うと、たとえば今あなたは
「仕事なんて、しょせん給料をもらうためのものさ」
と本音では考えているとします。
それ以外には、今の仕事にまったく何の期待も関心もないと仮定します。
しかし、あなたは主観としてそのように考えているとはいえ、現実の実際の人生とか生活のことを想像してみれば、割り切っているなら割り切っているなりに何らかの
「課題」
は発見できるはずです。
たとえば
「今のまま給料をもらい続けるには何が必要か?」
「クビにならない程度にあなたの相対的な評価を上げておくためにできることは?」
とか。あるいは
「将来的に、長期により安定的に収入を得るには?」
「自分自身の(余暇や趣味など)他の目標を達成するために今の仕事が障害とならないようにするには?」
……とか。
実際には、まったく何らの関係も必要性もないのだったら、そもそも単に給料だけのために仕事なんてする意味ないですよね?
仕事を続ける意味があるから仕事をしているわけで、だとすれば無自覚かもしれませんが本当は今している仕事には少なくとも何らかあなた自身にとっての「意味」や「必要性」があるはずです。
しかし、ここでは倫理的、哲学的な話をしたいわけではありません。
いずれにしろ、あなたがもともと持っている目標、あるいはそれが今思いつかないならこれから設定する必要がありますが、その
「自分自身の目標」
と
「仕事上の目標」
とを関連付けることが目標設定をうまく行うために大切なのです。
でないと、仕事や業務上の目標というのは形式的なものになりがちです。または、表面上は自分で決めたという形だとしても実質的には単に「押し付けられたもの」としか感じられないでしょう。
自分の仕事内容を明確に知る
ところで、仕事の目標を「きちんと」決めるために、もう一つの面で大変重要なことがあります。
「自分の仕事や業務の目的や内容を、明確に知る」
ということです。
経営者や自営業の方ならまた別ですが、会社勤めをしているようないわゆる「雇われ」の人というのは、そもそも自分がそこで何を求められているのかを「きちんと」把握しないまま仕事を続けている場合があります。
ある意味失礼な言い方かもしれませんが、でも実際を考えてみるとこれは事実と言わざるを得ません。
……それこそまさに「目標」を見失っているような状態とも言えますが、でも、実はそれでも会社の仕事というのは何となく成立してしまうという面もあるわけですよね?
しかし、その状態では当然、目標をきちんと決めることなどできるはずもないのです。
焦って形だけの目標を考える前に、自分の仕事そのものを掌握することを優先的に考えてみましょう。
可能ならば直属の上司などに意見をいただく機会を作ったり、自分が担当している業務のフローをすべて洗い出したりしてみましょう。
少し面倒くさいかもしれませんが……。
でも、自分にとって有益で、より周囲にも貢献できるような「目標」を設定したいという願いがあるなら、やってみる価値はあると思いますよ?
目標(あるいは課題)を細分化する
大きく2つの側面から考えてきましたが、今度はこれをきちんとした目標設定に反映するために
「目標そのものを細分化する」
必要があります。
これは職場の状況や今までの慣習にもよりますけど。
ある程度大きなテーマで、抽象的な「目標」をそのまま言えばいいというような雰囲気の会社もあると思います。
この場合の目標というのは、どちらかというと「抱負」みたいなことですね。そういう「言葉」を言えばいいという場合なら、ここまで考えてきたことをまとめて発表すれば良いことになります。
しかし、おそらく多くの場合は、これをもっと具体的な、明確な形に落とし込んで提出しなければならないでしょう。
すると、今思い描いている「目標」を達成するための、より細かい具体的な目標が必要になります。
つまり、今想定している目標を達成するプロセスを考えて、そこに発生するより細かな課題を洗い出し、結果的にはその一つひとつの課題に序列(どの順番で着手すべきか)を決めた上で、最終的には
「その課題を目標として設定する」
という作業が必要になります。
ここで、今まで考えた流れとしては、それは自分自身が持っている(仕事と関係ないことも含めた全体的な)希望や目標との関連が明確になっているはずです。
しかし、それはそれとして仕事上の目標として発表、提出する際には、その部分まで含めて伝える必要は必ずしもありません。
むしろ、通常は最終的に目標をあくまで仕事(業務範囲)に絞り込む必要があります。
実際には、より細かく具体的にした目標の中で、一番最初に取り組むべき、ひとつの目標だけを選んでそれを
「今年度の目標」
「今期の目標」
という形で提出するのが一般的でしょう。
その最終形だけを見ると結果的にはそれだけを単独で考えたのと同じように見えるかも知れませんが、今まで述べたような流れが自分の中で自覚できていれば、それは形式的なものではなくて、あなた自身にとっても根拠と動機が伴った
「きちんとした目標」
になっているはずです。
着実に「Achievable」にする
最終的に「仕事の目標」として提出する段階では、その目標は
「Achievable:達成可能であること」
が求められます。
私は、こと自分自身の願望や目的に関する自分の目標というのは必ずしも「Achievable」でないものでも設定する意味があると考えています。
しかし、会社での業務や、顧客に直接関わる「仕事上の目標」という場合には、これはそもそも必ず達成されることがむしろ前提となっており、最初から達成不可能な、できるかできないか分からないようなものを目標として掲げるのは原則に反します。
もちろん社内評価などにも影響するでしょう。
そこで「SMARTの法則」などに則って目標の形式や表現が「きちんと」整っているかを確認しましょう。