多くの人が

「今の仕事をもっとうまくするにはどうしたらよいのだろう?」
「仕事を通してより成長し、スキルを上げるには何を意識すればいいのだろう?」

という点について知ろうとしてビジネス書や自己啓発本を読んだりします。

ただし、それらの知識や情報をうまく活かせる人もいれば、自分の仕事にうまく当てはめることができない人もいます。

その理由はもちろんいろいろな側面から語ることができると思います。

……でも私がいつも前提的に思うのは、多くの人が

「抽象的な知見を、身近な具体的な例と関連付けることが苦手だ」

という点です。

知識の関連付けのはメタ認知が必須

ここで言うのはそもそも論です。

実はこれ自体は「仕事」に限った話ではありませんが、自分のやっている行為や活動について、それを

「より良い方向へと進化させたい」
「より大きな成果を出したい」

……というように望むなら、非常に重要なポイントとして

「メタ認知」
「メタ思考」

というものについて知っている必要があります。

メタ認知そのものは下の記事でも書いているので割愛します。

ただし、ここであらためて指摘したい点として、メタ認知というのは

「特殊なスキル」

とか

「個人差のある能力」

というようなものではありません

だから必要以上に難しく考える必要はないのです。

メタ的な思考や認知というのは、本来は人間ならだれでも自然に行うことができる(というよりも、意識しなくても本当はだれでも自然にやっている)もので、むしろそれができないなどという人はいません。

だから、単純に言えば問題は単に

「それがメタ認知と呼ばれるものだということを自覚できているかどうか」

という点だけだと言っても過言ではありません。

多くの人はそれを自然に無自覚に、ということはランダムに未整理なまま行っているのです。

しかし、人間の思考には「メタ化」という一種のシステムが備わっているのだということに気が付けば、それを意識的に、戦略的に用いることができるようになります。

つまり、うまい下手とかじゃなくて

「知ってるか、知らないか」

というだけのことです。

……それさえ意識できれば必然的に

「知識や情報を、階層的に整理する」

ということが可能になります。

そしてこれが

「抽象的な知見を、身近な具体的な例と関連付ける」

ことを容易にするのです。

「仕事の仕方」とは何を指しているのか?

その上で、一般的に良く言われる言い方として、たとえば

「仕事にはコツがある」
「仕事ができる人の考え方」
「仕事の基本」
「ビジネスで成功するためのルール」

……とか、そういうさまざまな言い方があります。

このようなタイトルのビジネス書や自己啓発本ってたくさんあるでしょう?

あるいはビジネス関連のセミナーや企業研修で扱われるテーマも集約するとこういうものがほとんどです。

これらは大雑把に言い表せばすべて

「仕事の仕方」

ということになりますよね?

仮に、自己啓発本などを読んで得た知識も「仕事の仕方」だし。

入社時に受けた研修や、最初に先輩や上司から習った基本的な社内ルールや作業手順だって「仕事の仕方」だし。

その後、自分が実際に仕事をする中で経験を通して得た「要領」とか「コツ」みたいなものも「仕事の仕方」だし。

就業規則や会社の方針、あるいはコンプライアンスとか、業界内の暗黙のルールみたいなものだって「仕事の仕方」に含まれますよね?

こういった一連の雑多な知識や情報を、そのまま一緒くたに、または、各々をバラバラに蓄積しているだけだと、すぐに限界が訪れることになるでしょう。

この「単なる蓄積」の状態から抜け出すことこそ

「仕事の仕方を知る」

ということとほぼ同義なわけです。

上で書いたように、まずこれらをメタ的にとらえ直して、ある階層を想定して整理できるからこそ、それぞれの知識をどのように自分が今やっている仕事に当てはめ、実際に活用するのかが体感的に理解できるようになるのだと思います。

そして、どこをどう改善したり、変更したりすれば良いのかといったことも俯瞰的に、構造的に見えてくるわけです。

「仕事の仕方」を分類する

たとえば、仕事の仕方というものが概念的に下のような構造をしている、と想定してみます。

ただし、これはあくまで概念的になので、別にこれが唯一正しい見方だとかいうものではありません。

ここではごく簡単に3つの階層に分類する例を挙げてみますが、実際には自分のスキルレベルとか将来的な見通しとかに合わせてもう少し複雑な構造を想定しても良いですし、そもそもこの構造そのものに正しいとか間違っているとかいうのはありません。

つまり自分なりの捉え方に合った構造をイメージすれば良いというだけなので。

で、上の例に沿って下から順に見ていきますと、まず

「第三階層」

というのは、あなたが実際にする作業レベルのディテールそのものです。

どんな手順で何を行っているのか?

その成果物は具体的にはどんなクオリティで、どんな基準を満たしていなければならないのかといったもの、つまり

「現実の、目に見える部分」

ですね。

しかし、このようにイメージした場合には「一番下」に位置するから何となく重要度が低いように感じられるかもしれませんけど……実際には結局仕事というのはこのためにやっているので、結果的には最も重要な部分、というか、もっと言えば、現実にはこの部分だけが重要だとさえ言えますよね?

むしろ、知識やノウハウの収集が得意な人ほど結果的にこの部分をおろそかにしがちなものです。

知識や情報が増えても現実に成果が出ていないという場合、各階層間の重要度に対する感覚がアンバランスになっているというような例があります。

で、次に

「第二階層」

ですが、ごく一般的に言われるところの

「仕事の基本」
「仕事のルール」
「仕事のコツ」
「仕事の法則」

……といったものの多くはこの階層に属するものです。

たいてい、ここに含まれるものはその業界とかその職種とかに特有のものというよりは、より一般化され汎用的な説明になっています。

要するに

「どんな仕事にでも当てはまるように」

ディテールを取り去った形で表現されるということです。

典型的なものを挙げると、たとえば

「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底しろ」
「PDCAのサイクルで考えろ」
「正早安楽の順に改善しろ」

といった定型句のようなもの。

「顧客の立場で考えろ」
「チームワークを重視しろ」
「責任をもって最後までやり切れ」

といった規範的なものなど。

他にも無数にありますが、これらはおそらくどんな職種、業種においても基本的なコツ、ノウハウとして語られることが多いでしょう。

そして

「第一階層」

ですが、ここは一言で言えば

「そもそも仕事とは何か?」

ということです。

言い換えれば

「一体何のために仕事をするのか?」

いわば、仕事というものの全体をもっと広い視点から見て……たとえば、社会全体としてどうあるべきか、とか、あるいは人間にとって、またあなたという個人の人生において

「仕事というものはどういう位置付けなのか」
「仕事というのは本質的にどういう意味がある行為なのか?」

というようなこと。

ある意味高尚なというか、哲学的なというか、要するにその全体をかなり抽象的に俯瞰した場合の見方のことを言っているわけで、ふつうは

「仕事観」

とか

「価値観」
「人生観」

というのに当たるでしょう。

「仕事の仕方」を理解するとは?

仮に、一般に言われる「仕事の仕方」というのを上のような構造だと考えるとすると、ここで

「仕事の仕方を理解する」

という意味は、単に自分がやっている仕事に関連する知識や経験の「数」を増やしていくとか、実際に対応できるパターンを足し算的に積み増ししていくとかそういうことだけではなくて……

① それらを上記のような構造の中にそれぞれ位置付けて
② さらに各階層に置かれた知識や経験的事例の関係性を明らかにしながら
③ 全体像を体系化していく

ということである、と言えます。

②で

「関係性」

というのは、たとえば第三階層にある具体的な作業手順が

「なぜそのような手順でなければならないか?」

という理由が、それに対応する第二階層にあることが明確に意識されている……というような意味です。

各階層にある特定の項目が、他の階層にあるどの項目とつながっているのかを意識的に考えていくということです。

……もちろん、同時にさっき言ったように知識や経験の「数」を増やしていくとか、実際に対応できるパターンを足し算的に積み増ししていくことも必要なのは言うまでもないことですが、この分類と体系化がイメージとして把握できていないと

「お前は仕事というのもが分かってない」

とか

「少しは頭を使って仕事しろ」

とか常に言われることになるでしょう。

また

「作業はできるが仕事ができない」

とか

「仕事の本質が分かってない」

といった評価になってしまうことにもなります。

もちろん、こういうのは現実的に昇進の早さとか

「あの人は仕事ができる、できない」

というイメージを決定づける面があります。

それと……冒頭に言ったように、ここがピンと来ないとビジネス書や自己啓発本をたくさん読んでも、それらの知識や情報を自分の仕事にうまく当てはめることができないので現実的な効果が感じられないわけです。