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質問の仕方を振り返ろう
うまく質問できないために自力で仕事を進めることができない社員がいます。
質問が下手なのでいつも作業が遅滞する
「仕事の遅い部下」
がいます。
質問の仕方が悪い人というのは、周囲の多くの人にとってストレスや、疲労や不満のタネです。
ということは、逆に言えば自分の仕事の価値や行動の内容を
「質問」
「問い」
という切り口で振り返ることは非常に有効な方法になります。
① 同じ質問をしない
よく
「1回聞いたくらいじゃわからないよ」
という人がいます。
繰り返し同じことを聞くというのは、以前に相手の時間や労力を使ってまでわざわざ説明させたことに対する配慮も感謝もないということです。
一度やったことがムダだったという意味です。
単に理解が遅いとか、説明に時間を要するという場合なら、一度の説明に要する時間は長くなるにしても同じ説明を繰り返す必要はないはずですよね?
ですから、同じ質問を何度も聞くというのは能力の問題ではなく意識、認識の問題なのです。
いつも質問される側の人や、指導を担当している人なら、
「この人はきっと、また同じことを聞いてくるだろうな」
というのはだいたい予想が付くものです。
つまり、一度聞いたことをきちんと理解して覚えておこうという「気」が最初からないのが見え見えなのです。
案の定、少し経つと
「アレ、こないだ聞いたんだけど……何だっけ?」
と、悪びれることもなくまた聞いてくるのです。
② 質問内容をよく考えてから質問する
当たり前過ぎるようなことですが……しかし、ついやってしまうことがあります。
また、そもそもそんなことにまったく無頓着な、マイペースな人もいます。
質問するときには
「何について」
「どの部分が聞きたいのか」
を明確に提示する必要があります。
あいまいに質問を投げかけると説明する範囲が広がってしまうことになります。
論点が絞られていないと相手はどの部分について説明が必要なのか分かりません。
お酒の席での時間つぶしならそんな質問でも酒の肴になります。
しかし、通常このような質問者は疎まれます。
往々にして質問の内容自体が具体的でないために概要を何度も説明しなければなりません。
前提を共有するのに時間がかかってしまうのです。
③ 一度聞いたら持ち帰る
たとえば、何かを質問したとき相手が説明している間にさらに新たな疑問や問題点がたくさん出てくることがあるでしょう。
そういう時は特に注意が必要です。その場で
「でもこの場合は」
「じゃあこの場合は」
などとしつこく解説を求めるのはダメです。
そういう姿勢は
「意欲があるな」
などという評価を受けると思ったら大間違いです。
実際はそんなことをしても、その分全体の理解があいまいになるだけで物事は明確になりません。
第一そんな質問のしかたは問題を相手に丸投げしているだけです。
自分が納得したいという欲求を優先しているだけの、非常に自分本位な態度です。
④ 質問の経緯、背景を整理しておく
上で言ったように
「でもこの場合は」
「じゃあこの場合は」
というように相手を質問攻めにする時もそうなのですが、非常に漠然とした質問、たとえば
「~とはどういうことですか?」
「~って何ですか?」
「~についてどう思いますか?」
といったものが多いですが、このようなタイプの質問をすると、聞かれた相手はごく大雑把で一般的な概要を語るしかないでしょう。
初めから、その質問に至る経緯や、どの部分に問題意識があるのかを明示してもらえるとありがたいです。
そうすれば、その前提でそこから話せば済みますからね。
⑤ 自分で調べ、考えてから質問する
また、質問する内容について、質問者があまりにも何の前提的な知識もないまま聞かれても、いったい何から説明すればよいのか……相手は途方に暮れてしまうでしょう。
小学校の一年生がいきなり先生に
「微分ってなんですか?」
って質問してるようなもので、おそらく先生は
「毎日ちゃんと勉強してれば、いずれ分かるようになるよ」
とでもいうしかありませんよね?
つまり、実はそういう質問をするということは、自分がしているその質問内容が自分のキャパシティーを超えているんです。
つまり今のあなたは、まだその質問をするタイミングではなかったということです。
質問するときには、自分がそれに対する答えを受け止めるだけの下地を持っているかどうか確認しなければなりません。
あるいは、自分が受け止められる程度の質問の仕方をする必要があるのです。
仮に相手が真面目に答えてくれたとしても……概要だけ説明されれば詳細の部分で不明点が発生します。
その時に、自分が
「どこがわかっていないのか」
を細分化して具体的に挙げることができないなら、その質問はあなたのキャパを超えているということです。
それを気にせずどんどん質問を繰り返す質問攻めはなぜ相手を疲れさせるかというと……それはそもそもキャパを超えた質問をしておいて、それなのに
「私を納得させるまで帰らないぞ!」
みたいな態度だからです。
つまり、相手から見ると、あなたにそのことを理解させる見込みが立たないから
「時間がかかる」
とか
「説明がめんどくさい」
とか言う問題ではなくて
「どうせこいつは理解できない」
という絶望感、徒労感があるから嫌なのです。
原則として、他人に何か質問するという時にはまず、自分自身がそのことについて他人に質問できる程度にしておく必要があるのです。
質問の仕方がおかしい人ほど、自分の質問の仕方を振り返っていない
……というようなことを、質問の仕方が悪い人はほとんど考えてもいないのです。
ですから、上で言ったのをもう一度繰り返しますが
③ 一度聞いたら持ち帰る
という習慣をまず身につけましょう。
持ち帰ったら、相手が答えてくれたことの要点を自分なりに整理し、備忘しておくというのと同時に、その場面での言葉のやり取り自体をもう一度よく振り返ってみることをおすすめします。
いわば
「事後シミュレーション」
です。
「今の自分の質問の仕方はどこがいけなかったのか?」
「自分の質問の仕方が悪かったのではないか?」
というように質問の仕方を学ぶ機会を意識して作るのです。
⑥ 相手の了解を得る
相手が話を聞く態勢に入ってから話すことを心がけましょう。
突然話し始めるのは自分勝手であり失礼です。
相手がやっていることを強制的に中断させ、相手から時間と集中力を奪う行為なのです。
もちろん
「今ちょっといいですか」
「手が空いたらお願いします」
などと声をかける人は多いと思いますが、本当言うと
「今ちょっといいですか」
と確認したから「今ちょっといい」ことになるというわけではありません。
すでに声をかけられた時点で もう相手は「良かろうが悪かろうが」作業を中断せざるを得ないのですから。
もう中断されているから
「まあ、別にいいよ」
と答えるしかないわけで、これでは事実上自分の都合を押しつけているのと同じです。
だから本当なら、声を変えてもいい状態かどうか判断してから声をかける……というのが正しいはずですが、実際にはそこまで慎重な人はあまりいません。
ですから、話しかけてもよいかどうかを見計らった上で初めて了解を取る声をかけます。
また念のために言っておきますが、いつ声をかけていいかという問題は、実は
「相手と自分がどういう関係にあるか」
によってかなり左右されます。
ふだんから良好なコミュニケーションを築けているというなら、声をかけるタイミングは比較的たくさん、かんたんに作ることができますが……その逆だとごく慎重にならざるを得ませんよね?
つまり質問の仕方の上手下手というのはいわゆるコミュニケーション力の問題に含まれますから、これはむしろ当然です。
⑦ 所要時間を見積もる
原則としてはできるだけ
「○○のことを聞きたいのですが」
というように質問する内容を推測できるように配慮します。
その内容によっては、すぐ済む場合もあればある程度時間を要する場合もあるでしょう。
たとえば、単に
「今ちょっといいですか」
と言われても、どれくらい時間を要するかによって「いい」かどうかは変わってきます。
あるいは、質問だと思って聞いていたらだんだん議論になったりもします。
「議論したい」
のだったら最初からそう言ってほしいのですが……質問と言ってるのでそれなりの時間で済むかと思って聞いてみると議論を始めようとする人がたまにいます。
しかも、議論ということになれば時間的制約だけでなくて相手の意向や気分的な問題も含まれてきます。
そんな気分じゃないのにいきなり寝込みを襲うような形で議論を始められても相手はその内容以前に
「うっとおしいヤツだな」
とか思ってしまう可能性が高いでしょう。
⑧ 今すべき質問を今する
遅すぎるというのは取り返しがつかないという意味で早すぎるよりたちが悪いです。
しかし、逆に
「そんなこと今じゃなくていいだろ」
「あわてて何の話かと思ったらそんなことか」
と思いたくなるような場合もあります。
忙しい時間帯に
「今そんなこと聞いて何の意味があるのか」
と思うようなことをダラダラ質問しに来る部下がいたりします。
また、就業時間間際になって、あるいは上司がこれから外出するという時刻になってから
「あの件なんですけど……」
と言い始める社員がいると思います。
上司はいつでも社内にいて、自分がいつでも何でも質問できるように、ずっと見守っていてくれるとでも思っているのでしょうか?
逆に、業務上優先的に必要だという確信があるなら他のことをさしおいてでも堂々と今すぐ質問していいです。
そういう場合も実際にあるのです。
そんなときに限って
「今話しかけると怒られるかな」
などと人の顔色を見て必要なことが分からないまま待機されても困るのです。
⑨ 安易に「わかりました」と言わない
言葉に責任を持つとは、つまり自分の仕事に責任を持つことと同じです。
自分が放った言葉に対する責任感を持ちましょう。
信頼感を与えるような受け答えをしましょう。
「細かい点まで理解しているかどうか」
「その通り行われているか」「忘れていないか」
こんな点を相手がいちいち心配してくれるような状態ではないですか?
あなたが気にしていない点までいちいち面倒見てくれて、都度修正してくれたり教えてくれたりしていませんか?
これを「半人前」と言うんです。
あなたが
「わかりました」
と言ったら、それは文字通
「わかった」
ということでしょうか?
あなたが
「はい」
と言ったら周囲は安心して任せておいて間違いないと信頼してくれているでしょうか?
それとも
「何度か確認や催促をした方がいいな」
「危険だから次善策も用意しておこう」
と先回りしてませんか?
それだと、あなたの
「はい」
「わかりました」
という言葉を周囲がまったく信じてないという意味ですよね?
極端にいえば、それこそ、あなたの仕事に対する周囲の評価そのものです。
日ごろの言葉とその結果の積み重ねによって周囲の受け取り方も違ってきます。
言行一致。そして正確な伝達。
こういった面は単に言葉遣いに気をつけようという次元の話ではありません。
言葉の問題というのは、あなたが実際何をしているかということと不可分の関係にあるのです。
いわゆる交渉術とかコミュニケーションスキルといった問題は付随的なものに過ぎません。
あなたが今実際にしている仕事の価値を高めることが
「言葉の信頼感を得る」
最も有効な方法です。
その意味では、実は
「質問の仕方」
が大切というよりも、質問の仕方という切り口から見えてくる
「あなたの仕事」
そのものの評価が一番の問題なわけです。