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仕事のスピードはどれくらい大切か?
「仕事はスピードが命」
です。
「拙速は巧遅に勝る」
なんてことも言います。
話の前提なので最初に書いておきますが……そもそも
「仕事するのに、スピードなんて関係ないと思う」
とか
「そんなに早くやったって仕方ないと思う」
……といった考え方の人にとっては、これから書くことはまったく役に立たないと思います。
少なくとも
「スピードというのは、どんな仕事であれきわめて重要である」
という認識をここでまず共有したいと思います。
動作のスピード
その上で
ふつう「スピード」と言えば、最も原初的な意味では
「動作そのもののスピード」
がイメージされると思います。
これはごく自然で、しかも正しい認識だと私も思います。
むしろ、一見すると、日常的に仕事で求められている意味での「スピード」とは、単に動きが早いとか歩くのが早いとか……そういう意味ではないだろう、と感じている人もいるかもしれませんが、これはむしろ逆の意味で勘違いというか……やはりその人自身が持っているペースとか身体的なスピードといったものはその人自身の仕事の早さを基礎づける条件であり、結局他の面でのいろいろな意味でのスピードともかなり相関関係があるように感じます。
その意味では、あえてごく単純に言えば子供のころ、学生のころから「足が速い」人のほうが、仕事も早くなる可能性は高いと言えますね。
もちろん、実務上は単に「足が速い」「はしっこい」とかではなくて、たとえば
「書類や現金を数えるスピード」
「パソコンで文字を打つスピード」
「機材を操作するスピード」
「話すスピード」
……というような、いわゆる基本リテラシーというか単純な基本動作ですね。こういう一つひとつのことが「早い」か「遅い」か?
これは決定的に大事で、たとえばここで著しく
「遅さが目立つ」
ようであると、他の面で努力したとしてもなかなか「仕事が早い」という評価を得ることは難しいように思います。
だから、一種の原点回帰という感じで、仕事のスピードのことを意識するなら何をおいてもまず自分自身の単純な「動作のスピード」から考えていくのが結局は近道だと私は思っています。
トップスピードに自信があるか?
たしかに、仕事中のどんな場面でも常にスピード優先で良いということにはなりません。
あえてじっくりと時間をかけるべき時もありますし、顧客など相手がある仕事なら常に自分のペースで進めるわけにもいきません。
しかし、それでも前提として
「十分なトップスピードを持っている」
ということは大きな強みになります。
「別にやろうと思えばいくらでも早くできる」
という自信です。
そもそも、十分なトップスピードがあるからこそ、あえてスピードを緩めるというような調節が可能になるのであって、もともとそれ以上早くできないのならばそれは必要だからあえてゆっくり時間をかけているということになりません。
たとえば、目の前のお客様に合わせて、丁寧で行き届いたサービスを提供するとか、くつろいだ雰囲気を演出する……という時にも、その裏ではスピードが必要です。
十分に対応できるスピードがあるからこそ「行き届いた」ことができるのであって、もともとそれ以上のスピードでできないなら、それはただ遅いだけです。
全体としてスムーズで速いこと
自分の動作や基本的な作業単位ごとのスピードの問題が解決されたら、次にはトータルで業務を早くすることも考える段階になりますね。
この段階で初めて
「ペース配分」
「バランス感覚」
「動静のメリハリ」
「適切なタイミング」
といったことが視野に入ってくることになるでしょう。
いわば、最初は常に「全力で」行っていた段階から、全体として「最速であるような状態」にするにはどうすればいいのか、ということに視点を移すことになります。
いわゆる「効率」を考えるということです。
スピードと正確さは両立するか
たしかに、その仕事に就いたばかりという最初の段階では正しく行うことが最も重要でしょう。
スキルを自分のものにするには、じっくり考える時間も必要でしょう。
しかし、それは実務における自分なりのフォームを身に付けるためです。
しかし、早くその段階から脱しなければなりません。
ところで……スピードを重視するとその分クオリティが下がるとか思っていませんか?
あるいは、スピードとクオリティはトレードオフの関係にあるとか、「作業が早い=雑」という意味だと思っている人もいるかもしれません。
あるいは
「慌てて急いでやって、結局やり直しになってしまったら意味がない」
「急いでやるより、確実に丁寧にやったほうが良い結果になるはずだ」
というふうに。
本当にそう信じているのですか?
単に楽にまったりやるための言い訳とかではなく……本心から?
もちろん間違った結果や、ミスにつながるようなスピードアップは間違っているに決まっています。
しかしそれは基本的な実務の収斂がまだ不十分なためにそうなってしまうのであって、今言っている段階の話ではありません。
まず正しく行えるようにするのが当然です。
それに、そもそもその、自分がやっている業務における
「正しさとは何なのか?」
を体感できていて、それを他人にも説明できるくらいにはっきり自覚している必要があります。
むしろ、そうでないとそもそもスピードを云々する前提に立っていないと思います。
ですから、正しさとスピードはトレードオフなのではなくて、正しさを損なわないようにスピードアップするということです。
この点に関連して、多くの人が実際の業務に携わる中で
「決まったルール通りやると遅くなる」
「マニュアル通りの手順でやると遅くなる」
と考えてルールやマニュアルをおろそかにします。
つまり、決められた手順を端折ればもっと早くなると考え、それがスピードアップだと思っているということです。
しかし、それは必ずしも的を射ていない場合があります。
たしかに合理的な理由があって基本的な手順やルールを「破る」ことが有効である場合もあります。
しかし、独りよがりな判断でしかないということもあり得ますし、自分で気が付かない何か別の面で悪い影響が出ているかもしれませんよね?
個別に検討する必要がありますが、原則論として言えば、上で述べたように
「正しさを損なわない」
場合のみ有効と言えます。
もちろん、ここで言う「正しさ」とは、単に規則やマニュアル通りであるという意味ではありません。
あなたがしている仕事そのものの目的から見て、正しいという意味ですね。
言い換えれば、自分流のやり方のほうが「正しい」と証明できる、説明できると確信がある場合は大丈夫ということです。
思考・判断のスピード
作業のスピードというのは、ある意味であなたの実力を支える基礎体力のようなものと言えます。
それが仕事に必要な他のさまざまな能力やスキルの下地になります。
さて、しかし本当に重要なのは実はその先の段階です。
つまり結局はあなたの担当している
「仕事そのもののスピード」
が問題になるわけですが、これはもちろん動作とか作業自体のスピードだけでは語れません。
上司や同僚との
「連携のスピード」
「コミュニケーションの効率」
もありますし、よく言われるように
「レスポンス」
の早さも重要です。
また、たとえば自分自身の担当範囲に限定しても
① 現状を認識する
② 問題や変化を発見する
③ 改善する
④ それを周囲の仲間に伝達する
といったことが適時必要になりますよね?
こういった、現実の仕事の中で発生するさまざまな課題解決や取り組みの中のそれぞれの過程でいつもスピードが絡んできます。
特に、ある程度自分の判断を要する立場になると、その一つひとつの
「判断スピード」
がより重要度を増してきます。
判断という行為は一定のスピードを伴っていなければ著しく価値が落ちます。
判断すべきことは大小問わず日々次から次へと発生しますが、十分な判断スピードがなければ仕事が停滞する場面が多くなるはずです。
物事を決めなければならないときは特にスピードを意識することです。
しばしば、今日できることを明日に延ばすな、などと言われますが、むしろ大切なのは
「今決められることを一瞬でも延ばすな」
ということです。