時間がない、毎日仕事で忙しい。自分のための時間がほとんどない。精神的にも余裕がない……。これは実際そうなのでしょう。気持ちは分かります。

時間がない状況

スケジュール管理や時間を捻出する方法などのノウハウ本を読んだり、スマホで一日のスケジュールを把握する時間管理アプリなどを試しては、もっと他に良いのがないかとまた探したり……でも、そんなことよりも先に。

時間管理の第一歩は「自動思考の排除」

実際のところ

「時間がない」

と言っている人が実際に一番ムダに費やしているのは

「今すべきことに関係ないことを思い巡らせている時間

です。

これは真っ先に排除すべき時間の浪費と言えます。

そんなとき何を思い巡らせているか……私自身を振り返ると一番多いのは

① 他人の欠点や問題点について

あの人がいちいち話しかけてこなければ私はもっと時間を有効に使えるのに、とか。

ああいう人に何か指導したところでこっちの時間がムダになるだけだわ、とか。

② すぐに結論の出ないこと

経済的成功を追い求めることは人間として正しいことなのか、とか。

神様の目から見たら私は善なのか、悪なのか、とか。

③ 現状の不満などについて原因を考えること

今抱えている問題はすべて完全に私自身に起因していると証明できるだろうか、とか。

過去のどの時点からやり直せば私は成功していただろうか、とか。

④ 特定の目的意識がないままに新しい情報を探すこと

やっぱり時間を作るには短時間睡眠法かな、どれどれ……。

ていうか、やっぱり外国語スキルあったほうがいいかな効率的に学べる教材ないかな?

こんなふうに都度思い浮かぶことに逐一対応し続けていたら時間の余裕なんて生まれる余地がありません。

たとえば、あなたが今考えている

「時間管理の必要性」

というのも、そもそもそういう流れの中でたまたま浮かんできたものであるなら、現実的な効果はほとんど望めないでしょう。

時間管理はあなたが何をするときにでも非常に前提的、決定的な要素だということは間違いないのですが、まず

「時間管理アプリを探すのも、それはいったい何をするためなのか?」

といった点がはっきりしないならばすぐに次の自動思考に流されてしまうだけなのです。

⑤ 自分を正当化しようとして、勝手に考えている脳内議論

たとえば、仕事中にいつの間にかこんなことを延々と思いめぐらせていることはないでしょうか?

「最近仕事に集中できてないって思われてるよな……」
「でもそれは今まで仕事のために自分の時間を削ってきたから、バランスを取らないといけないからで……」
「でも、その場その場でやるべきことに集中するべきだって言うんでしょ?」
「でも、そうやってずっと頑張ってきたけど現状は一方に変わらないじゃん」
「それは自分の勝手な問題で、そんなんじゃ給料をもらう資格がないって言うんでしょ?」
「でも、じゃあそっちはそんなに頑張ってんの? みんな手抜いてるじゃん」

……これっていったいだれと話しているのでしょうかね?

自動思考を意識して断ち切れ

こういう思考は、だれでもいつの間にか湧き起こってくることがあります。それはほとんどの場合、意識して考えようとしたのではなくて、気が付くといつの間にかつい考えてしまっているタイプの思考です。

そして、別に結論が出ようが出まいが、気が付くと何度も何度も同じ思考の流れを反芻しています。

こういうのを私は

「自動思考」

と呼んでいます。

実は、別に意識してものを考えようとしなくても自分の脳はバックグラウンドで常に自動的にいろんなことを考えているようなものなのです。

人間にとって必要な機能とも言えるわけですが……ただ、その時に脳が考えていることはほとんど全部

「過去についての解釈」

です。

自分が積極的に何かを考えようとしている時には、意識的な思考のほうがアクティブになります

意識的に特定のことを思考している間は、自動思考はいわばバックグラウンドに回るので(動いてはいますが)自分の意識からは離れています。

しかし、自分がボーっとしているときや感情に流されているときや、意識上の思考が混乱したり行き詰ったりしたときなどには自動思考のほうが優位になってそれが意識上に映って見えたような状態になります。

ふつうは、多くの人は

「意識的に思考している状態」

「自動思考が意識を占有している状態」

とを明確に区別していません。つまりそんなこと自体意識していないわけです。

まず、今どっちがアクティブになっているかを意識して感じてみるようにします

少し慣れればすぐに区別が付くようになります。

そして、あなたがどれだけの時間を自動思考のために割いているかに気が付けばおそらく驚くのではないでしょうか?

今大切なことを優先する

そもそも、時間管理するということは、

「今、大切なことを大切にする」

ということです。

これは逆に言えば

「過去の自分が自然に大切にしてきたことに反抗する」

ということでもあるのです。

これははっきり認識する必要があります。

今大切なことを優先するということは、過去に大切にしてきたものよりもそれを優先すると宣言していることと同じなのです

時間管理の要諦は

「これは今大切なことと、過去の自分が大切にしてきたこととの闘いなんだ」

という認識です。

ふと気が付くと思い巡らせている事柄というのは、たいてい過去の自分がずっと心の中で大事にしていたことです。

ただし、大事と言っても、それは過去の自分がいつの間にか自然に大事だと思い込んできたものというだけの意味です。

それはたいていの場合、そもそも過去のあなたが

「よし、これは大事だからこれからずっと大事にしていこう」

というように意識して決めたものではないという意味です。

だから、あらためて考えれば、本当に価値のあることかもしれませんが、正直くだらないことかもしれません。

それは言い換えれば、過去のあなたの感情や思考が何にウェイトを置いてきたのかということです。

そして、あなたがどう思おうと自動思考はそれを整理したり強化したりすることにほとんどの時間を費やしています

時間管理の目的は?

たとえば、今仮に何か明確な目的があるとして、それに直結することに集中したいと考えているとします。

それに時間も割かなければなりません。

そのような、何かしらの目的意識があって、だから時間管理したいわけですよね?

しかし、もちろん私も、きっとあなたも、その今意識している目的の実現はそれはそれで強く願っているとしても一方では同時に

「他人からいい人と思われたい」
「あの人にもっと好かれたい」
「優秀な人と思われたい」
「才能や能力の劣る人間だと思われたくない」
「まっとうな人生を送りたい」
「もっと楽に生きたい」
「人より得をしたい」

……というふうに無数の異なる希望や願望を共存させて生きていると思います。

それは別に悪いことではありません。

それはふつうのことです。

悪くはないけど、しかしそれでは思考が混乱するのは当然なのです。

そのままでいるとだんだん自信を無くします。

自分は焦っているけど実際には何もしていないような無力感に襲われたりします。

それは相反する複数の目的と、そのそれぞれに合致するような自動思考がランダムに意識に現れるからです。

また、外界からのたくさんの情報に触れることによっても意識は常にブレます。そのために何が正しいのか迷ったり、どれが自分にとって重要なのか訳が分からなくなったりします。

そして、さらに新しい情報を追うことを繰り返したりもします。

そのような状態でスケジュール管理のノウハウを見たり、時間管理アプリを導入したりしても、ほとんど効果はありません。

さて、そのように表面の意識的な思考が混乱している状態。

それは、一方ではすでにあなたが持っている従来の思考のクセをそのままで放置しているということと同じです。

自動思考はもともと強力な

「概念の連鎖」

に支えられています。

意識上の思考力は、ふつうの状態ではそれに対抗する術がありません

それでは、いつもいろんなことを深く考えているようでいて、実際には現状は何も変わらないのです。

消去法で意識と時間を確保する

だから今すべき成功に直結するポイントとなる課題に集中すると心に決めるんです。

それ以外のことは、関係ないと思う順にどんどん手放して、自分の思考を意識的に整理することが第一です。

もちろん、客観的に言えばあなたの態度や言動の印象は良い方がいいに決まっています。また、精神を健全に保ち、正しいと思うことを自信をもって行うほうが良いに決まっています。

しかし、それは自分が今ある目的を達成するかどうかとは実はほとんど関係ないんです

時間管理は目的管理

私が考える、最も基礎的な時間管理法は、まず目的を管理することです。

今重要なこと以外の何か別のことを気にするのをいったんやめたらどうでしょう。

他人に対しても。自分自身に対してもです。

おそらく、それだけで「時間がない」「余裕がない」という感覚はかなり緩和されるでしょう。